日経平均1000円超安、円急騰と為替介入観測が直撃
はじめに
2026年1月26日の東京株式市場で、日経平均株価が大幅に反落しました。下げ幅は一時1,100円を超え、終値でも前週末比961円安の52,885円となりました。
この急落の直接的な引き金となったのは、為替市場での急激な円高です。前週末に米国の金融当局がドル円相場のレートチェックを実施したとの報道を受け、日米協調による為替介入への警戒感が急速に高まりました。円相場は一時153円台まで上昇し、円高が業績の重荷となる輸出関連企業、特に自動車株を中心に売りが広がりました。
本記事では、急落の背景と為替介入観測の詳細、そして今後の相場見通しについて解説します。
1月26日の日経平均株価の動き
一時1,100円超の下落
1月26日の日経平均株価は寄り付きから売り優勢となり、下げ幅を拡大していきました。
| 時点 | 株価 | 前日比 |
|---|---|---|
| 午前終値 | 52,812円 | -1,034円 |
| 安値(場中) | 約52,700円 | -1,100円超 |
| 終値 | 52,885円 | -961円 |
3日ぶりの反落となり、前週までの上昇分を一気に吐き出す展開となりました。
輸出関連株が軒並み下落
円高進行を受け、為替の影響を受けやすい輸出関連株が軒並み下落しました。
トヨタ自動車は一時4%安、ホンダも同様に一時4%安まで売り込まれました。自動車セクター全体に売りが広がり、機械、電機などの輸出関連銘柄も軟調に推移しました。
日本の輸出企業は円安による収益改善期待が株価を押し上げてきた経緯があり、円高への反転は業績見通しの悪化につながると警戒されています。
為替介入観測の高まり
米連邦準備銀行がレートチェック実施
市場を動揺させた直接のきっかけは、前週末(1月24日金曜日)に浮上した為替介入観測です。
ロイター通信によると、ニューヨーク連邦準備銀行がディーラーに対してドル円相場のレートチェックを実施したとのことです。レートチェックとは、中央銀行が市場参加者に為替レートを照会する行為で、実際の介入の前段階として行われることが多いとされています。
これを受けて、市場では日米協調による為替介入への警戒感が一気に高まりました。
円相場は5カ月ぶりの上昇幅
レートチェック報道を受け、円は対ドルで急騰しました。26日の東京外国為替市場では一時153円台後半まで円高が進行し、2カ月ぶりの円高水準となりました。
直近2営業日でドル円は約3%下落(円高方向)し、これは2025年4月の「解放の日」関税ショック以来の大きな動きです。
BMOキャピタルマーケッツのVipan Rai氏は「ニューヨーク連銀が直接価格を照会したという事実は、潜在的な介入が日本単独の行動ではないことを強く示唆している」と指摘しています。
日米協調介入の可能性
市場関係者の間では、今回の動きが日米協調による為替介入につながる可能性が議論されています。
野村のG10為替戦略責任者Dominic Bunning氏は「日本の財務省と米財務省の両方がドル円の上昇を抑えようとしているなら、それはより強力なドライバーになる」と述べています。
米国が為替市場に介入したのは、ニューヨーク連銀のウェブサイトによると1996年以降わずか3回のみで、直近では2011年の東日本大震災後にG7諸国と協調して円売り介入を実施しています。
米国側の思惑
米財務長官のScott Bessent氏が、日本国債(特に超長期債)の利回り急騰と価格下落、そして米国債市場への波及リスクを注視しているとの報道があります。
高市早苗首相の積極財政政策への懸念から日本国債の利回りが上昇しており、米国側としても日本の金融市場の安定に関心を持っているとみられます。
日本の財務官である三村淳氏は、レートチェックについてのコメントを控えつつも、為替について米国と緊密に連携し、適切に対応すると述べています。
高市内閣支持率の動向
発足以来初の下落局面
26日の株式市場下落には、高市内閣の支持率低下も影響しているとの見方があります。
NHK世論調査(1月26日発表)によると、高市内閣の支持率は59%で、2週間前の調査から3ポイント低下しました。不支持率は5ポイント上昇して26%となっています。
選挙ドットコムとJX通信社の調査でも、電話調査で63.4%と前月比6.7ポイントの大幅下落を記録しました。依然として高い水準ではあるものの、JX通信社の米重克洋氏は「高市内閣が始まって以来初めて支持率が下落局面に入った可能性がある」と指摘しています。
支持率低下の要因
支持率低下の主な要因として、通常国会冒頭での衆議院解散判断が挙げられています。2月8日投開票という短期決戦への批判や、予算成立前の解散に対する疑問の声が影響しているとみられます。
また、高市内閣の支持率(約60〜75%)と自民党の政党支持率(28.6%)の間には約47ポイントもの乖離があり、高市首相個人への支持が党全体には及んでいない状況が続いています。
今後の見通しと注意点
為替介入リスクは継続
今後も為替介入への警戒は続くとみられます。市場関係者の間では、1ドル160円を超える円安進行には、政府・日銀が為替介入と追加利上げで対応するとの見方が根強くあります。
一方で、衆議院選挙を控えた「高市トレード」への期待や円キャリー取引による円安圧力もあり、円相場は方向感を見定めにくい状況が続く可能性があります。
輸出関連株への影響
円高が定着した場合、輸出企業の業績見通しは悪化し、株価に下押し圧力がかかる可能性があります。特に以下の点が注目されます。
業種別の感応度: 自動車、機械、電機などの輸出比率の高いセクターは円高の影響を直接受けます。一方、為替ヘッジを積極的に行っている企業や、国内売上比率の高い企業は相対的に影響が限定的です。
価格転嫁力: 高付加価値製品を扱う企業や、競争力のあるブランドを持つ企業は、為替変動分を価格に転嫁しやすいとされています。
サプライチェーンの分散: 生産拠点の海外分散が進んでいる企業は、円高による輸出採算の悪化を一定程度吸収できます。
2026年の日経平均見通し
円高リスクはあるものの、証券各社は2026年の日経平均について概ね強気の見通しを維持しています。
野村證券はメインシナリオで55,000円、上値の目途として59,000円を予想しています。IG証券は45,800円〜59,000円のレンジを想定しています。
脱デフレの「転換点」が鮮明になりつつあることや、AI関連投資の拡大、企業統治改革の進展などが株価を下支えするとの見方です。ただし、為替変動や地政学リスクによる短期的な調整局面には注意が必要です。
まとめ
1月26日の日経平均株価は、日米協調による為替介入観測を受けた円急騰により、一時1,000円超の大幅下落となりました。ニューヨーク連銀によるレートチェック実施の報道が市場を動揺させ、輸出関連株を中心に売りが広がりました。
高市内閣の支持率が発足以来初めて下落局面に入った可能性も、市場心理に影響を与えています。2月8日の衆議院選挙投開票を控え、政治情勢の不透明感も相場の変動要因となっています。
為替介入リスクと選挙を巡る思惑が交錯する中、今後しばらくは神経質な相場展開が続く可能性があります。輸出関連株への投資にあたっては、為替感応度や企業の対応力を慎重に見極める必要があるでしょう。
参考資料:
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