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by nicoxz

日経平均が一時1000円高 半導体株に買い集中の背景

by nicoxz
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はじめに

2026年1月22日、東京株式市場で日経平均株価が急反発しました。午前中には一時1000円を超える上昇を記録し、前日比986円高の5万3760円で前場を終えています。

この急騰には複数の要因が重なっています。トランプ大統領による欧州への関税脅迫撤回で米欧対立懸念が後退したこと、そして半導体製造装置大手ディスコの好決算をきっかけに半導体関連銘柄への買いが集中したことが主な背景です。

この記事では、1月22日の株価急反発の要因と、半導体セクターの見通しについて解説します。

米欧対立懸念の後退が追い風に

トランプ氏の方針転換

1月21日、トランプ大統領はダボス会議でグリーンランド取得を巡る欧州諸国への関税脅迫を撤回しました。2月1日に予定されていた欧州8カ国への10%追加関税は見送られ、市場の緊張が緩和しました。

前日の米国株式市場ではダウ平均が588ドル高と急反発しており、この流れを受けて東京市場でも買いが優勢となりました。

リスク回避姿勢の巻き戻し

地政学的リスクの後退により、投資家のリスク回避姿勢が和らぎました。VIX指数(恐怖指数)も低下し、リスク資産への資金回帰が見られています。

円相場も158円台半ばまで下落しており、輸出企業にとっては追い風となっています。

金利上昇の一服

国内長期金利の上昇ペースが一服したことも株式市場を支えました。日銀の金融政策決定会合を控え、市場では利上げ観測が高まっていましたが、急激な金利上昇に対する警戒感が薄れたことで、株式への買い安心感が広がりました。

ディスコ好決算が半導体株を牽引

17%超の株価急騰

半導体製造装置大手のディスコ(6146)が1月21日に発表した2026年3月期第3四半期決算が市場の期待を上回り、翌22日の株価は17%超の急騰となりました。

決算内容は、売上高3,038億2,800万円(前年同期比11.5%増)、営業利益1,262億1,200万円(同9.7%増)と増収増益を達成しています。

AI需要が業績を押し上げ

ディスコの好業績の背景には、人工知能(AI)関連の旺盛な半導体需要があります。同社は半導体ウエハーを切断・研削する装置で世界シェア首位を誇り、先端パッケージング技術の進化に伴う設備投資増加の恩恵を受けています。

特に、AIチップの製造に不可欠な後工程(組立・検査)関連の設備投資は、市場全体の成長を上回るペースで拡大しています。

半導体関連銘柄全般に買い波及

ディスコの好決算を受けて、半導体関連銘柄全般に買いが広がりました。東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENホールディングスなどの値がさ株が上昇し、日経平均の押し上げに貢献しています。

ダボス会議に出席したNVIDIAのジェンスン・ファンCEOが「グローバルAI構築には数兆ドル規模の投資が必要」と発言したことも、半導体需要への期待を高めました。

日本の半導体産業の現状

輸出は4カ月連続増加

1月22日に発表された貿易統計によると、日本の2025年12月の輸出は4カ月連続で増加しました。データセンター関連の需要が堅調で、アジアや欧州向けの半導体等電子部品の輸出が伸びています。

ただし、対米輸出は11.1%減少しており、自動車や自動車部品、半導体製造装置の落ち込みが目立ちます。トランプ政権の関税政策が日本の輸出にどう影響するかは、引き続き注視が必要です。

キオクシアの株価も連日高値

NAND型フラッシュメモリ大手のキオクシアホールディングスも株価が連日高値を更新しています。メモリ需給の逼迫が続くとの見方が広がっており、半導体セクター全体への追い風となっています。

後工程への注目

従来、半導体産業では前工程(回路形成)が投資の中心でしたが、AI時代には後工程の重要性が増しています。複数のチップを一つのパッケージに統合する先端パッケージング技術は、AIチップの性能向上に不可欠であり、この分野で強みを持つディスコなどの日本企業に注目が集まっています。

今後の見通しと注意点

日銀の金融政策決定会合

1月22日時点では、日銀の金融政策決定会合が翌日に控えていました。市場では利上げ観測が高まっており、金融政策の決定内容によっては株価が大きく変動する可能性があります。

利上げが決定された場合、銀行株にはプラス材料となる一方、成長株には逆風となる可能性があります。

衆議院解散と総選挙

高市早苗首相が近く衆議院を解散し、総選挙に打って出るとの観測が広がっています。政治情勢の変化は市場にボラティリティをもたらす可能性があり、投資家は政治日程にも注意を払う必要があります。

トランプ関税リスクは継続

グリーンランド問題は一時的に落ち着きましたが、トランプ政権の通商政策は予測困難です。対日関税の可能性も完全には排除できず、輸出企業への影響には引き続き警戒が必要です。

半導体サイクルの持続性

半導体需要は現在好調ですが、過去には需要の急増後に調整局面が訪れた例もあります。AI需要がどこまで持続するか、設備投資の過熱感はないかなど、サイクルの見極めが重要です。

まとめ

1月22日の日経平均株価は、米欧対立懸念の後退と半導体関連の好決算を受けて一時1000円を超える上昇を記録しました。ディスコの決算がAI時代における半導体需要の強さを改めて示し、関連銘柄への買いが集中しました。

日本の半導体産業は、後工程の装置メーカーを中心にAIブームの恩恵を受けています。ただし、日銀の金融政策、政治情勢、トランプ政権の通商政策など、市場を動かす要因は多く、今後もボラティリティの高い展開が続く可能性があります。

投資家は短期的な値動きに一喜一憂せず、中長期的な視点で半導体産業の成長性と各種リスク要因を冷静に評価することが重要です。

参考資料:

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