日経平均5万3000円突破、衆院解散観測で最高値更新
はじめに
2026年1月13日、東京株式市場で日経平均株価が史上初の5万3000円台に到達しました。前週末からの上げ幅は一時1800円を超え、6日に記録した最高値(5万2518円)を大きく上回る展開となりました。
この急騰の背景には、高市早苗首相が23日召集予定の通常国会の冒頭で衆議院を解散する可能性が報じられたことがあります。市場では「高市トレード」と呼ばれる買いが再加速し、投資家の期待感が一気に高まりました。
本記事では、日経平均の史上最高値更新の詳細と、その背景にある政治情勢、さらに長期金利上昇の動向について解説します。
日経平均株価が史上初の5万3000円台へ
取引時間中に1800円超の上昇
2026年1月13日の東京株式市場では、取引開始直後から買いが先行しました。日経平均株価は前営業日比で1609円27銭高の5万3549円16銭で取引を終え、終値ベースでも史上最高値を更新しています。
取引時間中には上げ幅が一時1800円を超え、5万3000円台で推移する場面がありました。これは取引時間中としても史上初の水準です。TOPIXも2.41%高の3598.89ポイントとなり、こちらも史上最高値を更新しました。
「高市トレード」の再加速
市場では、高市政権が掲げる積極財政への期待から「高市トレード」と呼ばれる買いが活発化しました。具体的には、財政拡張を意識した投資家が日本株を買い進める動きです。
「年内の解散はある程度想定されていたが、国会冒頭での解散は予想されておらず、サプライズになった」との声が市場関係者から聞かれました。予想外のタイミングでの解散観測が、投資家心理を大きく刺激した形です。
個別銘柄の動向
指数への寄与度が高い銘柄では、アドバンテストと東京エレクトロンが8%超の上昇を記録しました。また、ソフトバンクグループが4%超高、ファーストリテイリングが1%超高となり、この4銘柄だけで日経平均を1018円押し上げる結果となりました。
為替市場では円相場が1ドル=158円台まで円安・ドル高方向に振れたことで、トヨタ自動車など輸出関連株の上昇も目立ちました。輸出採算の改善期待が買いを集めています。
通常国会冒頭解散の観測
高市首相の決断
高市早苗首相は1月9日、23日召集予定の通常国会の冒頭で衆議院を解散する検討に入ったことを自民党幹部に伝えました。首相は「選択肢のひとつ」と述べ、早期解散の可能性を示唆しています。
通常国会冒頭で解散する場合、衆院選の日程は「2月3日公示・15日投開票」や「1月27日公示・2月8日投開票」が候補となります。いわゆる「真冬の決戦」となる可能性が高まっています。
高い内閣支持率が後押し
高市首相が早期解散を検討する最大の理由は、内閣支持率の高さにあります。読売新聞の世論調査では、2025年10月の政権発足時に71%を記録し、12月時点でも73%と7割台を維持しています。共同通信の調査でも64%と高水準です。
時事通信の12月世論調査では59.9%で、自民党が政権に復帰して以降の歴代内閣と比べても、発足2カ月後の支持率としては第2次安倍晋三内閣(61.4%)に次ぐ高さとなっています。
政権基盤強化の狙い
現在、自民会派は衆院で199議席であり、日本維新の会と合わせて計233議席とかろうじて過半数を維持しています。しかし参院では少数与党の「ねじれ国会」が続いている状況です。
高市政権としては、高い支持率を背景に総選挙で与党の議席を増やし、政策推進力を強化したい考えがあります。野党の準備が整わないうちに選挙を実施することで、有利に戦える可能性があるとの思惑も指摘されています。
長期金利も2.14%に上昇
27年ぶりの高水準
株式市場の高騰と並行して、債券市場でも大きな動きがありました。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時2.14%に上昇し、1999年2月以来およそ27年ぶりの高水準となっています。
長期金利上昇の背景には、積極財政を掲げる高市政権のもとでの財政悪化懸念があります。また、2025年12月19日に日銀が追加利上げを決定したことも影響しています。
日銀の利上げペース加速観測
2025年12月19日の日銀金融政策決定会合では、政策金利が0.75%へ引き上げられました。これは30年ぶりの高水準であり、投資家の間では日銀の利上げペースがさらに速まるとの観測が広がっています。
植田和男総裁は、経済と物価の動向が予測通りであれば利上げを続ける方針を改めて表明しており、長期金利上昇への圧力は今後も続く可能性があります。
今後の金利見通し
市場関係者の間では、長期金利の次の節目として1999年2月につけた2.440%が意識されています。専門家からは「これも通過点となりそうで、3%台に上昇しても何ら不思議ではない」との見方も出ています。
財政拡張への懸念に加え、日銀がインフレ抑制で後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」のリスクへの警戒感が、債券売り(金利上昇)につながっています。
注意点・今後の展望
支持率と政党支持率のギャップ
高市内閣の支持率は高水準ですが、自民党の政党支持率は必ずしも同じペースで回復していないとの指摘があります。「高市人気」が「自民党人気」に直結していないことは、選挙結果に影響する可能性があります。
専門家からは「高市首相の高い内閣支持率は、実態は『支持率』でなく『期待値』です。暮らしが良くなったと国民が実感する状況にならなければ、実際の解散は難しい」との見方も出ています。
株価上昇の持続性
衆院解散観測による株価上昇が一時的なものか、持続的なものかは注視が必要です。選挙結果や政策実行力によっては、株価が調整局面を迎える可能性もあります。
また、長期金利の上昇は企業の借入コスト増加につながるため、株式市場にとってマイナス要因となる可能性もあります。金利と株価のバランスを見極めることが重要です。
為替動向への注意
円安の進行は輸出企業にとってプラスですが、輸入物価の上昇を通じてインフレ圧力を高める側面もあります。日銀の金融政策や米国の動向によっては、為替相場が大きく変動する可能性があります。
まとめ
2026年1月13日、日経平均株価は史上初の5万3000円台に到達し、最高値を更新しました。高市首相が通常国会冒頭での衆院解散を検討しているとの観測が、「高市トレード」を再加速させた形です。
一方で、長期金利も2.14%と27年ぶりの高水準に達しており、財政拡張への懸念と日銀の利上げ観測が影響しています。今後は解散の有無、選挙結果、そして金利動向に注目が集まります。
投資家にとっては、政治情勢と金融政策の両面から市場動向を見極めることが求められる局面といえます。
参考資料:
関連記事
日経平均先物が急騰、高市首相の解散検討報道で投資家心理好転
2026年1月13日の夜間取引で日経平均先物が2000円超の急騰。高市早苗首相による通常国会冒頭での衆院解散検討報道を受け、政権安定期待から買いが優勢に。背景と今後の見通しを解説。
日経平均5万4000円突破、高市政権の解散観測で半導体株が急騰
日経平均株価が史上初めて5万4000円台に到達。高市首相の早期解散観測による「高市トレード」が半導体関連株を押し上げています。背景と今後の展望を解説します。
日経平均が史上初の5万3000円台、衆院解散観測で急騰
日経平均株価が史上初の5万3000円台を記録。高市早苗首相の衆院解散検討報道を受け、積極財政継続への期待から「高市トレード」が再燃しています。
高市相場が解散風で再燃、日経平均5万3549円の最高値
衆院解散観測を受けて「高市トレード」が再加速し、日経平均株価は史上最高値の5万3549円を記録しました。株高・円安・債券安の背景と今後の見通しを解説します。
日経平均5万4000円突破・解散株高の持続性を検証
衆院解散観測を受けて日経平均株価が史上初の5万4000円台に到達。「選挙は買い」のアノマリーと、小泉・安倍政権時との比較から今後の展望を解説します。
最新ニュース
南鳥島でレアアース試掘開始・中国依存脱却への挑戦
探査船「ちきゅう」が南鳥島沖でレアアース泥の試掘を開始。水深6000メートルからの世界初の採掘試験と、日本の経済安全保障における意義を解説します。
1年4カ月で国政選挙3回、頻繁な選挙が招く政策停滞
高市首相が通常国会冒頭での衆院解散を検討。国政選挙が短期間に3回目となり、社会保障改革など長期的視点の政策が後回しになる懸念が高まっています。
第174回芥川賞・直木賞が決定、3氏が受賞の栄誉
第174回芥川賞に鳥山まこと氏「時の家」と畠山丑雄氏「叫び」、直木賞に嶋津輝氏「カフェーの帰り道」が決定。前回の両賞該当なしから一転、充実の受賞作が揃いました。受賞作の魅力と作家の経歴を詳しく解説します。
日本人創業のアルパカがユニコーンに、米国初の快挙
証券取引APIを提供するフィンテック企業アルパカが企業価値10億ドルを突破。日本人だけで創業した新興企業として米国初のユニコーン達成の背景を解説します。
三六協定の締結率5割どまり、残業規制緩和の是非を問う
三六協定を締結している事業所は5割にとどまり、残業規制緩和の議論が活発化しています。働き方改革の効果と今後の労働政策の方向性について、最新データをもとに解説します。