日経平均5万3500円突破、高市トレード再燃で史上最高値
はじめに
2026年1月13日、東京株式市場で日経平均株価が史上初めて5万3000円台に突入し、終値で5万3549円を記録しました。前週末比1609円(3.10%)高という大幅上昇で、東証株価指数(TOPIX)とともに最高値を更新しています。
この急騰の背景にあるのは、高市早苗首相が通常国会の冒頭で衆議院を解散する意向を固めたとの報道です。2025年10月に見られた「高市トレード」が再燃し、防衛関連や半導体関連銘柄を中心に幅広く買いが入りました。
この記事では、歴史的高値更新の詳細と「高市トレード」の仕組み、そして今後の市場見通しについて解説します。
日経平均株価、歴史的な高値更新
3連休明けの急騰
1月13日の東京株式市場は、3連休明けの取引開始直後から買いが優勢となりました。日経平均株価は寄り付きから史上最高値を更新し、ほどなくして1874円高の5万3814円79銭で高値をつけています。
その後は利益確定売りが上値を抑えたものの、終値でも5万3549円16銭と堅調に推移しました。一日で1600円を超える上昇は、投資家の強い買い意欲を示すものといえます。
主要銘柄の動き
この日の上昇を牽引したのは、指数寄与度の高い銘柄群でした。半導体製造装置大手のアドバンテストと東京エレクトロンがそれぞれ8%超の上昇を記録しています。
また、ソフトバンクグループが4%超高、ファーストリテイリングが1%超高となり、これら4銘柄だけで日経平均を1018円押し上げました。高市政権が戦略分野に掲げるAI・半導体関連や防衛関連の三菱重工業なども物色されています。
TOPIXも最高値を更新
日経平均株価だけでなく、東証株価指数(TOPIX)も最高値を更新しました。幅広い銘柄に買いが入ったことを示しており、相場全体の上昇基調の強さがうかがえます。
「高市トレード」とは何か
政策期待に基づく投資行動
「高市トレード」とは、高市早苗首相が推進する政策によって恩恵を受ける銘柄の値上がりを見込んで売買する投資行動のことです。2025年10月4日の自民党総裁選で高市氏が選出された際に初めて見られ、財政拡張・金融緩和路線への期待から株高・円安が進みました。
今回は衆院解散観測を受けて、この「高市トレード」が再加速しています。市場関係者の間では「高市トレード第2幕」とも呼ばれています。
注目される「高市銘柄」
高市首相は「経済安全保障の強化と関連産業の育成」を掲げており、成長分野としてAI、半導体、防衛、サイバーセキュリティ、宇宙開発などを挙げています。
具体的には以下の分野が「高市銘柄」として注目されています。
- AI・半導体: 経済安全保障の観点から国産化を推進
- 防衛関連: GDP比2%を上回る防衛費増額も視野
- サイバーセキュリティ: 国家レベルの対策強化
- 宇宙開発: 民間参入の促進
- 造船: 安全保障上の重要産業
防衛費増額への期待
特に防衛関連については、2027年度の防衛費GDP比2%という政府目標を上回ることも容認する姿勢が示されています。米国のトランプ政権も日本との対中抑止での連携強化に期待を寄せており、今後の防衛費増額を後押しする可能性があります。
衆院解散観測の影響
冒頭解散の可能性
高市首相は、1月23日召集の通常国会の冒頭で衆院を解散する案を検討しています。解散後の選挙日程は「1月27日公示、2月8日投開票」が有力視されています。
この報道を受けて、市場は「選挙は買い」というアノマリー(経験則)に基づいて動きました。東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は、実際に自民党が議席数を伸ばす可能性は高く、高市首相も政権基盤の強化に伴い政策運営が行いやすくなると分析しています。
高い内閣支持率
早期解散の背景には、高い内閣支持率があります。読売新聞の世論調査では、2025年10月の政権発足時に71%を記録し、12月時点でも73%と7割台を維持しています。共同通信の調査でも64%と高水準です。
内閣支持率が高く、衆院選で議席増が期待できることが、冒頭解散を検討する理由の一つとなっています。
野党への影響
2月の衆院選は36年ぶりとなります。通常国会冒頭での解散となれば、所信表明演説も行われないまま選挙に突入することになり、野党側は準備不足を突かれる形となります。
市場への懸念材料
円安と長期金利の上昇
株高が進む一方で、財政悪化への懸念から円安と長期金利上昇(債券安)も進行しています。高市首相の積極財政路線は株式市場には好感されていますが、財政規律の観点からは懸念材料ともなりえます。
為替市場では1ドル159円台まで円安が進み、輸入物価の上昇を通じたインフレ圧力が意識されています。
過熱感への警戒
「高市銘柄」は株式市場で注目を集めているだけに、短期的に急騰した結果、過熱感が高まって下落する可能性も指摘されています。投資家からは「急落には警戒した方がよい」との声も上がっています。
一方で、国が政策として関連分野全体を後押しするため、中長期的には安定した成長が期待できるとの見方もあります。
与野党の反応と今後の展開
冒頭解散への異論
国会冒頭での解散案に対しては、与野党から異論が出ています。2026年度予算案の成立が4月以降に遅れることへの反発や、解散の大義に欠けるといった批判があります。
物価高対策を最優先課題と掲げながら、その効果を国民が実感する前に「信を問う」形となれば、「大義なき解散」との批判が出る可能性があります。
ねじれ国会の解消を目指す
現在、与党は昨年の臨時国会で無所属議員の自民会派入りにより、衆院で定数465のうち233議席を確保しています。ぎりぎり過半数を回復した状態ですが、参院では少数にとどまる「ねじれ国会」の状態が続いています。
衆院選で自民党が議席を伸ばせば、政権運営の安定性が高まるとの期待が市場にはあります。
まとめ
2026年1月13日、日経平均株価は終値で5万3549円を記録し、史上初の5万3000円台に到達しました。高市早苗首相による通常国会冒頭での衆院解散観測を受けて「高市トレード」が再燃し、防衛・半導体関連を中心に幅広い銘柄が買われています。
「選挙は買い」というアノマリーに加え、高い内閣支持率を背景に自民党の議席増が期待されることが株価を押し上げています。一方で、急激な上昇による過熱感や、円安・長期金利上昇といった副作用も意識されています。
今後は解散の正式決定と選挙結果が市場の方向性を左右することになります。投資家は政治動向と市場の過熱感の両方に注意を払いながら、慎重な判断が求められます。
参考資料:
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