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by nicoxz

日経平均が後場急落、半導体株売りの背景を解説

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はじめに

2026年2月2日の東京株式市場は、投資家にとって激しいジェットコースターのような一日となりました。日経平均株価は朝方に一時900円を超える上昇を見せたものの、後場に入ると一転して下落に転じ、終値は前週末比667円67銭(1.25%)安の5万2655円18銭と、この日の安値圏で取引を終えています。

日中の値幅は1591円97銭に達し、約3カ月ぶりの大きさを記録しました。前場と後場でこれほど劇的に景色が変わった背景には、複数の要因が絡み合っています。本記事では、この急変劇の要因を整理し、特に半導体関連株への売り圧力の正体に迫ります。

朝方の上昇を支えた円安と「高市発言」

首相の「ホクホク」発言が円安を加速

前場の上昇を牽引したのは、円安の進行でした。高市早苗首相が1月31日の応援演説で「円安で外為特会の運用、今ホクホク状態だ」「輸出産業にとっては大チャンス」と発言したことが市場で材料視され、円相場は対ドルで155円台半ばまで下落しました。

この円安を好感し、自動車や機械など輸出関連株に買いが先行しました。日経平均は一時5万4200円台に乗せ、上げ幅は900円を超える場面もありました。高市首相の積極財政・金融緩和路線への期待、いわゆる「高市トレード」が買いを後押しした格好です。

円安の二面性

ただし、この発言は野党から強い批判を浴びました。中道改革連合の野田佳彦共同代表は「円安でスーパーの値札を見ながらホクホクしている人はいるか」と反論しています。高市首相はその後、X(旧ツイッター)で「為替変動にも強い経済構造を作りたいとの趣旨だった」と釈明しましたが、市場では円安容認と受け止められました。

円安は輸出企業の業績にプラスに働く一方、輸入物価の上昇を通じて家計を圧迫します。株式市場でも、円安による株高は海外投資家にとってドル建てでのリターンを目減りさせるため、「高市円安」が海外勢を遠ざけるリスクも指摘されています。

後場急落の引き金となった複合要因

ナスダック先物の急落

後場寄り付きのタイミングで相場が急変した最大のきっかけは、米ナスダック100指数の先物「Eミニ・ナスダック100」が日本時間午後に1%を超えて下落したことです。米国のハイテク株安が意識され、東京市場でも半導体関連株を中心にリスク回避の売りが広がりました。

前週末の米国市場でも、ハイテク株はすでに軟調な展開となっていました。FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に対する不透明感や、AI関連銘柄の割高感への警戒が背景にあります。

アジア市場全体の連鎖安

日本市場だけでなく、アジア各国の株式市場も軟調でした。特に韓国総合株価指数(KOSPI)は5%の大幅安を記録し、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まりました。韓国市場の急落は、半導体大手サムスン電子やSKハイニックスへの売りが波及する形で、東京市場の半導体関連株にも連鎖的な影響を与えたと考えられます。

海外投機筋の先物売り

後場寄りのタイミングで、海外投機筋が先物に断続的な売りを出したことも相場の下げを加速させました。先物主導の売りは現物株にも波及し、東京エレクトロンやアドバンテストなど値がさの半導体関連銘柄が一段安となっています。

東証プライムの売買代金は概算で8兆588億円と約2カ月半ぶりの高水準に膨らみ、売買が活発化したことを示しています。値下がり銘柄数は1032に対し値上がりは518と、幅広い銘柄に売りが波及しました。

半導体関連株が集中的に売られた理由

決算発表前の警戒感

半導体関連株が特に大きく売られた背景には、決算発表を控えた警戒感もあります。東京エレクトロンの決算発表が2月6日に予定されており、業績見通しに対する不透明感が売り圧力を高めました。

グローバルな半導体セクターの調整

2026年に入ってから、半導体セクターではAI関連銘柄の割高感が繰り返し意識されています。エヌビディアをはじめとする米半導体大手の株価が不安定な動きを続けており、東京市場でもアドバンテスト、レーザーテク、イビデンなどの関連銘柄に連動した売りが出やすい地合いとなっています。

トランプ関税の長期的な影

米中間の半導体を巡る規制や関税も、セクター全体の重荷となっています。トランプ政権は2025年以降、カナダ・メキシコ・中国に対して追加関税を段階的に引き上げてきました。特に半導体関連では、対中輸出規制の強化がサプライチェーン全体に不確実性をもたらしています。2026年1月時点で、カナダ産品へのIEEPA関税率は35%に達しており、貿易摩擦の深刻化が懸念されています。

注意点・展望

短期的な過剰反応に注意

日中値幅が約1600円に達する激しい値動きは、先物主導の投機的な売買が相場を大きく振らせたことを示唆しています。ファンダメンタルズ(企業業績の基礎的条件)が急変したわけではなく、短期的なセンチメント悪化による過剰反応の可能性があります。

今後の注目ポイント

今後の焦点は、2月6日の東京エレクトロンの決算発表と、米国株式市場の動向です。半導体セクターの業績が市場の期待を上回れば、株価の反発につながる可能性があります。一方、トランプ関税の合憲性について米連邦最高裁判所が2026年6月までに判断を示す見通しであり、その結果次第では貿易環境が大きく変わる可能性もあります。

また、高市首相の為替に関する発言が今後も続くようであれば、「トリプル安(株安・債券安・円安)」への警戒が高まるリスクにも注意が必要です。

まとめ

2月2日の東京株式市場は、朝方の900円高から終値667円安へと、前場と後場で全く異なる展開となりました。円安を追い風にした買いが先行したものの、ナスダック先物の下落やアジア市場の連鎖安を受け、海外投機筋の先物売りが後場の急落を引き起こしています。

半導体関連株は決算前の警戒感やグローバルなセクター調整の影響で集中的に売られました。投資家としては、短期的なボラティリティに振り回されず、決算内容や米国の金融政策、貿易政策の動向を冷静に見極めることが重要です。

参考資料:

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