日経平均最高値更新へ、円相場は介入警戒で神経質な展開

by nicoxz

はじめに

2026年1月第2週、日本の金融市場は大きな転換点を迎えています。1月9日夜、高市早苗首相が衆院解散を検討しているとの報道を受け、円安・ドル高が急速に進行し、日経平均先物は1,710円の急伸を記録しました。市場は同日発表された米国雇用統計よりも、国内政治の動向に強く反応した形です。一方で、円相場は1ドル=158円台に下落したことで、為替介入への警戒感が高まり、神経質な展開が予想されます。本記事では、今週の日本株と為替市場の見通しを、米銀決算や政治動向を踏まえて解説します。

高市首相の解散検討が市場に与える影響

政治イベントが引き起こした円安加速

2026年1月9日夜、読売新聞が「高市首相が1月23日召集の通常国会冒頭での衆院解散を検討している」と報じたことで、市場は大きく動きました。解散・総選挙は2月上旬から中旬に実施される見通しで、「2月3日公示-2月15日投開票」または「1月27日公示-2月8日投開票」のスケジュールが浮上しています。

高市政権は2025年10月に発足した日本初の女性首相による内閣で、自民党と日本維新の会の連立政権です。高い内閣支持率を背景に、解散により政策実現の推進力を得る必要があると判断したとみられます。高市首相は「責任ある積極財政」を掲げ、2025年度補正予算では一般会計が18兆円超とコロナ禍以降最大規模の経済対策を打ち出しています。

株式市場の反応:日経平均先物が急伸

解散報道を受けて、日経平均先物は1,710円急騰し53,790円に達しました。現物市場では1月9日の日経平均株価の終値は51,939円でしたが、1月6日には685円高の最高値更新を記録しており、市場関係者からは「年後半に59,000円も視野に入る」との声も出ています。

経営者20人全員が2026年の日経平均株価の最高値更新を予想しており、予想レンジは45,800円から59,000円となっています。株高の持続性は高市政権の支持率に大きく依存するとの分析もあり、「高市トレード」という言葉も市場で使われ始めています。

円相場の動向と為替介入リスク

158円台突入で警戒感高まる

1月9日のニューヨーク外国為替市場で、円は約1年ぶりの安値となる1ドル=158円台まで下落しました。この背景には、高市政権の拡張的財政政策と、日本銀行の緩やかな利上げペースへの期待感から、投機的な円売りが加速したことがあります。

市場関係者によると、ドル円相場が158~162円のレンジに入ると、為替介入のリスクが高まるとの指摘があります。2024年には4月29日に160.17円で為替介入が実施された前例があり、次週以降も158円以上で定着すれば、まずは口先介入、その後実弾介入の可能性も意識されています。

財務省の姿勢と介入の可能性

2024年には累計15兆円超の円買い・ドル売り介入が実施され、過去最大の介入規模となりました。具体的には、4~6月期に約9.7兆円、7~9月期に約5.5兆円の介入が行われました。

高市政権発足後、従来の「官僚主導」から「政治主導」の為替介入に変わった可能性があり、160円未満での介入再開の可能性も示唆されています。ただし、専門家は「ドル円相場は年末に向けて徐々に円高方向に転換する」と予測しており、2026年末の水準は150円程度と見込まれています。

米国雇用統計と決算シーズンの影響

雇用統計の評価:おおむね予想通り

1月9日夜に発表された12月の米国雇用統計は、市場予想とおおむね一致する内容でした。直近の11月の雇用統計では、失業率が4.6%と市場予想の4.5%を上回り、2021年9月以来の高水準を記録していました。非農業部門雇用者数(NFP)も前月比6.4万人増にとどまり、労働市場の軟化が懸念されていました。

ただし、43日間に及んだ政府機関閉鎖が終了したことで、統計データのノイズが大幅に低減したと見込まれています。パウエルFRB議長は12月のFOMC後の記者会見で労働市場の下振れリスクに言及しており、今後の金融政策への影響が注目されます。

米銀決算が相場のカギ

2026年1月13日(火)には、JPモルガン・チェースが2025年第4四半期決算を発表し、米国の決算シーズンが本格的に始まります。アナリストの予想EPSは4.87ドル、売上高は455.7億ドルとなっています。

注目されるのは、CFOが示唆した2026年の経費が約1,050億ドルに膨らむ可能性です。これは投資銀行部門の好調によるインセンティブ報酬の増加と、AIを活用した自動化と支店拡大への大規模なインフラ投資によるものです。

翌1月14日(水)には、シティグループが決算を発表します。アナリストは1株当たり利益を1.62ドル(前年同期1.35ドル)、売上高を204.5億ドル(前年同期195.8億ドル)と予想しており、増益が期待されています。

米銀決算の内容次第では、株価上昇に弾みがつく可能性があります。特に投資銀行業務の好調さが確認されれば、金融セクターを中心にポジティブな反応が期待されます。

注意点と今後の展望

為替市場の不安定化リスク

158円台に達した円相場は、財務省の発言や日銀の政策決定によって大きく変動する可能性があります。追加利上げで政策金利が0.75%に引き上げられれば、一時的に円高方向に動く可能性がありますが、拡張的財政政策による円安圧力は依然として強いと考えられます。

投資家は、財務大臣や日銀総裁の発言に注意を払う必要があります。為替介入は財務大臣の権限で実施され、日本銀行が代理人として実務を遂行する仕組みです。口先介入から実弾介入への移行タイミングを見極めることが重要です。

解散・総選挙の影響

1月23日の国会冒頭での解散が実施された場合、2026年度予算の成立が遅れる可能性があります。高市首相は「考えている暇はない」と述べており、慎重に判断する姿勢を示していますが、高支持率の今こそ解散のチャンスという意見も政権内にあるとされます。

解散が実施されれば、選挙戦を通じて経済政策の議論が活発化し、市場は政策期待で上昇する可能性があります。一方で、政治的不透明感から短期的には調整局面も想定されます。

日米金利差の動向

米国の労働市場軟化が鮮明になれば、FRBの利下げペースが加速する可能性があります。一方、日銀は緩やかな利上げ継続の姿勢を示しており、日米金利差の縮小が円高圧力となるシナリオも考えられます。

ただし、失業率が4.6%を超えると、実体経済へのダメージ(消費減退・企業業績悪化)が意識され、「悪いニュースは悪いニュース」として株価の重石になるフェーズに入る可能性もあります。

まとめ

今週の日本市場は、高市首相の解散検討報道を受けた政治イベントと、米銀決算という2つの大きな材料に注目が集まります。日経平均株価は最高値更新への期待が高まる一方、円相場は158円台到達により為替介入リスクが意識され、神経質な展開が予想されます。

投資家にとっては、米国雇用統計や米銀決算の内容を精査しつつ、日本の政治動向や財務省・日銀の発言に細心の注意を払うことが求められます。拡張的財政政策による株高期待と、為替介入リスクによる円高可能性という相反する要素が混在する中、短期的な変動に惑わされず、中長期的な視点で投資判断を行うことが重要です。

参考資料:

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