日経平均は最高値更新なるか?円急伸と衆院選が左右する株式相場
はじめに
2026年1月の日本株市場は、不安定な動きを見せています。日経平均株価は最高値(5万2411円)まで残り約1%に迫りながらも、複数の不確定要素が投資家心理を揺さぶっています。
特に注目されるのが、1月23日から24日にかけての円相場の急伸です。対ドルで3円以上も円高が進行し、週明けの株式市場への影響が懸念されています。さらに、27日公示・2月8日投開票の衆議院選挙も、相場の行方を左右する重要なイベントです。
本記事では、日経平均株価の現状と見通し、円高と衆院選のリスク、そして最高値更新の鍵を握る半導体関連の動向について解説します。
2026年の日経平均株価の動向
年初からの好調なスタート
2026年の日本株市場は好調なスタートを切りました。大発会となる1月5日の日経平均株価は前年末比1493円(2.97%)高の5万1832円と大幅に上昇し、約2カ月ぶりの高値を記録しました。1日の上げ幅としては過去8番目の大きさです。
その後も上昇基調は続き、1月13日には取引時間中に初めて5万3000円台に乗せ、史上最高値を更新しました。1月14日時点の年初来高値は5万4487円に達しています。
半導体関連株が牽引
日経平均の上昇を牽引しているのは、AI・半導体関連株です。1月2日の米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)が前日比4.01%高と大幅上昇したことを受け、東京市場でも半導体関連株に買いが集まりました。
大発会では、アドバンテストが日経平均を411円、東京エレクトロンが261円、ソフトバンクグループが172円それぞれ押し上げ、わずか3銘柄で846円の寄与となりました。その後も半導体製造装置のSCREENホールディングスは年初来28%高、レーザーテックは23%高、東京エレクトロンは21%高と好調を維持しています。
円急伸が株式市場に与える影響
週末の急激な円高
1月23日から24日にかけて、円相場は対ドルで159円台から155円台へと急伸しました。日米当局が「レートチェック」を実施したとの観測が広がり、為替介入への警戒感から円買いが進んだためです。
この円高進行は、輸出企業の収益悪化懸念を通じて株式市場にネガティブな影響を与えます。日経平均の先物価格は24日早朝までの取引で大きく下落し、週明けの株式市場は売り先行でスタートする可能性が高いと見られています。
為替と企業業績の関係
日本の主要輸出企業にとって、為替レートは業績を大きく左右します。一般的に1円の円高はトヨタ自動車で年間約400億円、ホンダで約100億円の営業利益減少要因になるとされています。
ただし、現在の為替水準(154〜155円台)は依然として歴史的な円安水準にあり、多くの企業の想定為替レート(140〜145円程度)と比較すると、業績へのマイナス影響は限定的との見方もあります。
衆院選の影響と政治リスク
選挙の構図
27日に公示される衆議院選挙は、連立与党を構成する自民党と日本維新の会に対し、立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」が挑む構図です。自民党総裁の高市早苗首相は「与党で過半数」を目標に掲げ、「内閣総理大臣としての進退をかける」と表明しています。
「高市トレード」の行方
高市首相は「責任ある積極財政」を掲げ、「危機管理投資」と「成長投資」による強い経済の構築を訴えています。この政策への期待から形成された「高市トレード」は、日経平均を押し上げる要因となってきました。
しかし、今後の選挙情勢をめぐる報道で与党苦戦が伝えられた場合、高市政権の継続性に対する懸念が高まり、日経平均が急落するリスクがあります。選挙結果次第では、積極財政路線の修正を迫られる可能性もあり、市場の不確実性は高まっています。
最高値更新の条件
経営者・アナリストの見通し
主要企業の経営者20人に行った調査では、全員が2026年中に日経平均が最高値を更新すると予想しています。高値予想の平均は5万7350円です。また、金融機関11社の予測では、2026年末の日経平均は5万3000円〜6万1000円の範囲と見られています。
野村證券は2026年末5万5000円をメインシナリオとし、上値の目途として最大5万9000円まであり得ると分析しています。これは、AI・DX投資が生産性向上に寄与し、ROE改善につながる事業ポートフォリオ改革やM&Aブームが生じた場合のシナリオです。
企業業績の拡大が鍵
2026年度の企業業績は、AI向けを含む半導体およびデータセンター需要の増加などから大きく持ち直すと予想されています。具体的には、売上高+3.7%、営業利益+14.6%、経常利益+13.2%、純利益+15.0%と2桁の増益が見込まれています。
今週から本格化する4〜12月期決算発表は、こうした業績期待を確認する重要な機会となります。特に半導体関連企業の決算内容が、最高値更新への鍵を握っています。
注意すべきリスク要因
AI相場への期待の揺らぎ
2026年の日本株を取り巻くリスクとして、AI相場への期待が揺らぐ材料には特に注意が必要です。生成AIブームを背景に半導体関連株は大きく上昇してきましたが、期待通りの収益化が進まない場合、株価調整のリスクがあります。
長期金利の上昇
長期金利の上昇も株価にとっての悪材料です。1月6日の終値で長期金利は2.129%をつけ、約26年11カ月ぶりの高水準に達しました。金利水準の上昇は、株式投資の相対的な魅力を低下させる要因となります。
米国の政策動向
トランプ政権の関税政策も不確実性の一つです。対日関税の引き上げが実施された場合、輸出企業の業績悪化を通じて日本株にネガティブな影響を与える可能性があります。
まとめ
日経平均株価は最高値更新まであと一歩のところまで迫っていますが、円急伸と衆院選という2つの不確定要素が相場の行方を左右しています。
週明けの市場は円高を受けて売り先行が予想されますが、今週から本格化する決算発表で企業業績の堅調さが確認されれば、再び上昇基調に戻る可能性があります。特に半導体関連企業の決算内容が、市場のセンチメントを大きく左右するでしょう。
衆院選の結果も重要です。与党が過半数を維持し高市政権の継続性が確認されれば、積極財政への期待から株価上昇の追い風となります。一方、与党苦戦となれば、「高市トレード」の巻き戻しによる株価下落リスクに注意が必要です。
参考資料:
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