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by nicoxz

NY株800ドル超高、グリーンランド関税撤回で急反発

by nicoxz
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はじめに

2026年1月21日、ニューヨーク株式市場は劇的な反発を見せました。トランプ大統領がグリーンランドを巡る欧州8カ国への追加関税を撤回すると発表したことで、ダウ工業株30種平均は一時800ドルを超える上昇を記録しました。

前日の20日には、同じグリーンランド問題を発端とする関税懸念から市場は大幅下落していただけに、この急反発は投資家の間で「TACOトレード」という言葉を再び呼び起こしています。

本記事では、この市場の乱高下の背景にあるグリーンランド問題から、NATOとの合意枠組み、そして今後の市場への影響まで詳しく解説します。

グリーンランド関税問題の経緯

トランプ大統領の関税発表

2026年1月17日、トランプ大統領は衝撃的な発表を行いました。デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドの欧州8カ国に対して、10%の「国家安全保障関税」を課すというものです。

この関税の引き金となったのは、欧州諸国によるグリーンランドへの共同軍事ミッションでした。トランプ政権がグリーンランドの「完全かつ全面的な購入」を繰り返し主張する中、欧州諸国はグリーンランドの自治を支援する軍事ミッションを派遣。これにトランプ大統領が反発した形です。

関税は2月1日から発動予定で、6月1日からは25%に引き上げる計画でした。

市場の急落

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デーの休日明けとなった1月20日、市場が開くと反応は即座かつ厳しいものでした。S&P500は1.39%下落、ナスダック総合指数は1.64%下落、ダウ平均は870ドル以上下落し、10月以来最悪の日となりました。

投資家は、NATO同盟国間での貿易戦争という前代未聞の事態に備え、「セル・アメリカ」の動きが広がりました。

関税撤回と市場の急反発

ダボス会議での発表

1月21日、状況は一変しました。スイス・ダボスで開催されていた世界経済フォーラム(WEF)年次総会に出席したトランプ大統領が、関税を撤回すると発表したのです。

トランプ大統領は自身のSNSで、NATOとの間で「グリーンランドと北極圏全体に関する将来の合意の枠組み」を構築したと表明。「この解決策が実現すれば、米国とすべてのNATO諸国にとって素晴らしいものになる」と述べました。

さらに、ダボス会議での演説では、グリーンランド取得のために武力行使はしないと明言し、市場の懸念を和らげました。

株価の急騰

この発表を受けて、市場は急反発しました。ダウ平均は取引時間中に806ドル高まで上昇し、終値では前日比588.64ドル(1.21%)高の4万9077.23ドルで引けました。S&P500は1.16%高の6,875.62、ナスダック指数は1.18%高の2万3224.82となりました。

セクター別では全セクターがプラスとなり、特にエネルギーが2.38%高、素材が1.87%高と好調でした。AI関連株も堅調で、エヌビディアが2.95%高、AMD が7.71%高、マイクロン・テクノロジーが6.61%高となりました。

翌22日も上昇は続き、ダウ平均はさらに306.78ドル(0.63%)上昇して4万9384.01ドルで引けました。

「TACOトレード」とは何か

パターンの再現

今回の市場の乱高下を受けて、投資家の間で「TACOトレード」という言葉が再び注目されています。TACOとは「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも尻込みする)」の略称です。

このパターンは、トランプ大統領が強硬な関税措置を発表して市場を動揺させた後、最終的には緩和、延期、または撤回するという行動を指します。2025年4月の「リベレーション・デー」関税発表の際にも同様のパターンが見られ、投資家は大統領の「脅し」への懐疑心を強めています。

投資家の学習効果

CNBCによると、この「TACOパターン」は国際的な資産ラリーを引き起こしています。投資家は、トランプ大統領の関税発言に対して以前ほど過敏に反応しなくなりつつあるようです。

ただし、この学習効果には危険も伴います。いずれ本当に関税が発動された際、市場が油断している可能性があるためです。

グリーンランドの戦略的重要性

北極圏の要衝

なぜトランプ大統領はこれほどまでにグリーンランドにこだわるのでしょうか。その答えは地政学的な重要性にあります。

グリーンランドは北極圏にまたがる世界最大の島で、面積は日本の約5.7倍に相当する約216万平方キロメートルです。北極圏は北米とユーラシアを結ぶ最短経路に近く、弾道ミサイルや航空戦力の早期警戒における重要拠点となっています。

また、グリーンランドはNATOが北大西洋におけるロシア海軍の動きを監視する「GIUKギャップ」の一部を押さえており、冷戦期から戦略的要衝とされてきました。

米軍基地の存在

米国防総省は現在、グリーンランド北西部にあるピトゥフィック宇宙基地を運用しています。この基地は1951年に米国とデンマークが締結したグリーンランド防衛条約に基づいて建設され、ミサイル警戒、ミサイル防衛、宇宙監視の任務を担っています。

トランプ政権は、この戦略的位置をより確実に確保したいという意図があると見られています。

注意点・今後の展望

NATOとの「枠組み」の実態

トランプ大統領が言及した「合意の枠組み」の具体的な内容は明らかになっていません。NATO側からの公式発表も限定的で、この「枠組み」がどの程度実質的なものかは不透明です。

デンマークのフレデリクセン首相は以前、米国がNATO加盟国であるデンマークに軍事力を行使してグリーンランドを併合しようとすれば、集団防衛を柱とするNATOの機能が「全て停止する」と警告しています。

欧州の対応強化

欧州諸国はグリーンランド問題を契機に、北極圏における防衛力強化を進めています。デンマーク政府は約146億クローネ(約3600億円)規模の計画を発表し、北極用の新型海軍艦艇3隻、長距離監視ドローン2機、衛星関連能力の整備を進める方針です。

市場への示唆

今回の事例は、トランプ政権下での投資の難しさを改めて示しました。政策発表による短期的な乱高下は今後も続く可能性が高く、長期投資家は一時的な変動に過度に反応しないことが重要です。

一方、短期トレーダーにとっては、「TACOパターン」を意識した取引機会が生まれる可能性もあります。ただし、このパターンがいつまで続くかは誰にもわかりません。

まとめ

トランプ大統領によるグリーンランド関連の関税発表と撤回は、わずか数日で市場に大きな波乱をもたらしました。ダウ平均は870ドル以上の下落から800ドル超の上昇へと、劇的な反転を見せました。

この背景には、北極圏の戦略的重要性を巡る米国と欧州の駆け引きがあります。トランプ大統領がグリーンランドの取得を目指す一方、欧州諸国はNATOの枠組みを盾にこれに対抗しています。

投資家にとっては、政策発表に一喜一憂せず、長期的な視点を持つことが重要です。「TACOトレード」のパターンは今後も繰り返される可能性がありますが、いつ本当の関税が発動されるかは予測できません。冷静な判断が求められます。

参考資料:

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