OLC純利益4%増、ディズニーホテル好調が牽引
はじめに
東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)が、2026年3月期第3四半期(2025年4〜12月)の連結決算を発表しました。純利益は前年同期比4%増の995億円で、事前の市場予想(QUICKコンセンサス945億円)を上回る結果です。
入園者数がほぼ横ばいの中でも増収増益を達成した背景には、ホテル事業の好調と園内の客単価上昇があります。本記事では、OLCの決算内容を詳しく分析し、成長を支える要因と今後の課題を解説します。
ホテル事業が過去最高を更新
ファンタジースプリングスホテルの通期寄与
今回の決算で最も注目すべきポイントは、ホテル事業の躍進です。2025年4〜9月期(上半期)の時点で、ホテル事業の売上高は前年同期比12%増の561億円、営業利益は41%増の175億円を記録し、上半期として過去最高を達成していました。
この好調を支えたのが、2024年6月に開業した東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルです。ラグジュアリータイプの「グランドシャトー」とデラックスタイプの「ファンタジーシャトー」の2タイプで構成され、1泊6万円台から30万円台まで幅広い価格帯で展開しています。
平均客室単価の大幅上昇
ディズニーホテル全体の平均客室単価(ADR)は、上半期で前年同期比9%増の6万6,806円に達しました。ファンタジースプリングスホテルという高単価施設が加わったことで、ホテルポートフォリオ全体の収益性が向上しています。
バケーションパッケージと組み合わせた宿泊プランでは、1泊2日で1人あたり10万円超の消費も珍しくなく、「泊まること自体が体験価値」というディズニーならではのビジネスモデルが結果を出しています。
テーマパーク事業の「量から質」への転換
入園者数横ばいでも売上増
2025年4〜12月期の売上高は前年同期比5%増の5,302億円、営業利益は5%増の1,414億円でした。入園者数はほぼ横ばいでしたが、ゲスト1人あたりの消費額が上昇したことで増収を実現しています。
上半期の実績では、テーマパーク事業のゲスト単価は前年同期比5%増の1万8,196円と過去最高を記録しました。これはOLCが推進する「量から質」への戦略転換が着実に成果を上げていることを示しています。
ダイナミックプライシングとプレミアアクセス
収益性向上の鍵となっているのが、変動価格制(ダイナミックプライシング)とディズニー・プレミアアクセスです。混雑日には入園チケット価格を引き上げ、人気アトラクションには有料のファストパス的サービスを提供することで、入園者数を抑制しながら1人あたりの売上を最大化しています。
2025年4月からは、ファンタジースプリングス内のアトラクションも通常の待ち列またはプレミアアクセス(有料)で体験できる方式に変更されました。これによりプレミアアクセスの利用がさらに拡大し、追加収入の柱として定着しています。
決算の詳細と通期見通し
第3四半期の進捗率は良好
通期計画の経常利益1,608億円に対する第3四半期までの進捗率は88.5%で、過去5年平均の80.5%を大きく上回っています。10〜12月期単体の経常利益は前年同期比1.4%増の729億円でした。ただし、売上営業利益率は34.5%から34.2%にわずかに低下しており、人件費や諸経費の増加が利益率を圧迫しています。
通期予想は据え置き
通期の業績予想は据え置きで、売上高6,933億円(前期比2%増)、営業利益1,600億円を見込んでいます。純利益の通期予想は1,133億円(前期比9%減)としていますが、第3四半期までの進捗を考えると、上振れの可能性も意識されます。配当は年間14円(中間7円、期末7円)の予定です。
財務基盤は堅固
総資産は1兆5,868億円で前期末から約1,482億円増加しました。自己資本比率は67.8%と高水準を維持しており、大型投資を行いながらも財務の健全性を保っています。
注意点・展望
OLCの決算は堅調ですが、いくつかの懸念材料もあります。決算発表前日には株価が5年5カ月ぶりの安値を記録しており、市場はテーマパーク事業の成長鈍化を警戒している面があります。
入園者数が頭打ちとなる中、客単価の引き上げにはいずれ限界が訪れます。今後の成長には、新たなエリアやアトラクションの開発、インバウンド需要のさらなる取り込みが不可欠です。
また、人件費の上昇は構造的な課題です。テーマパーク運営は労働集約型のビジネスであり、賃上げ圧力が続く中で利益率を維持・向上させるためには、デジタル技術の活用やオペレーションの効率化が求められます。
まとめ
OLCの2025年4〜12月期決算は、ホテル事業の好調と客単価上昇を背景に増収増益を達成しました。ファンタジースプリングスの通期寄与やダイナミックプライシングの効果が明確に表れています。
今後の焦点は、入園者数の伸び悩みを単価向上でカバーし続けられるかという点です。テーマパークビジネスの「量から質」への転換は成功していますが、次の成長の種をどう育てるかが中長期的な課題となるでしょう。
参考資料:
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