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by nicoxz

大阪ダブル選、維新の都構想再挑戦と懸念される選挙戦略

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はじめに

2026年1月15日、大阪府の吉村洋文知事と大阪市の横山英幸市長が、任期途中での辞職と出直し選挙への出馬を表明しました。両氏は日本維新の会の正副代表でもあり、2月8日に想定される衆院選に合わせて大阪府知事選と大阪市長選を実施することで、過去2度にわたり住民投票で否決された「大阪都構想」への3度目の挑戦を目指します。しかし、両首長の任期満了は2027年4月であり、仮に当選しても約1年後には再びダブル選挙を行うことになります。この記事では、維新の戦略と、選挙制度の観点から見た問題点について詳しく解説します。

大阪ダブル選の背景と維新の戦略

3度目の都構想挑戦

大阪都構想は、大阪市を廃止し特別区を設置することで大阪府を「大阪都」に改編する構想です。これまで2015年と2020年に住民投票が実施されましたが、いずれも僅差で否決されました。2020年の住民投票では、反対が692,996票(50.38%)、賛成が675,829票(49.62%)と、わずか17,167票差で否決されています。

維新はこの構想を「一丁目一番地」の政策と位置づけており、今回のダブル選挙はその実現に向けた重要なステップとなります。吉村知事は「都構想挑戦させてもらいたい」と述べ、ダブル選を通じて改めて府民・市民に信を問う姿勢を示しています。

衆院選との同日実施の狙い

今回のダブル選挙の特徴は、衆院選と同日実施を狙っている点です。高市早苗首相は1月14日、自民党と日本維新の会の幹部に対し、1月23日召集の通常国会で早期に衆院を解散する意向を伝えました。衆院選の投開票日は2月8日が有力とされています。

衆院選との同日実施には、以下のようなメリットがあります。

まず、投票率の向上が期待できます。国政選挙と地方選挙を同日に実施することで、有権者の関心が高まり、投票率が上昇する傾向があります。これは維新にとって有利に働く可能性があります。

次に、選挙費用の削減効果があります。選挙執行には投票所や開票所の設置、人件費など多額の費用がかかりますが、同日実施によってこれらのコストを一部共有できます。

さらに、メディア露出の増加も見込めます。国政選挙と地方選挙が重なることで、大阪都構想が全国的に注目され、維新の主張を広く発信できる機会となります。

副首都構想との関連性

維新が自民党との連立交渉で掲げている「副首都構想」も、今回のダブル選挙と深く関連しています。維新が提案する副首都構想の要件には「特別区の設置」が含まれており、事実上、大阪都構想の実現が前提となっています。

しかし、自民党内からは「副首都構想と都構想は別問題」との批判が出ており、特に大阪府連は強く反発しています。自民党大阪市議団は1月14日、横山市長が出直し市長選に立候補した場合、対抗候補を擁立しない方針を決めましたが、府連レベルでは「都構想の是非をダブル選で問うのはおかしい」と主張しています。

ダブル選挙の問題点と批判

任期途中での辞職の是非

最大の問題は、両首長の任期が2027年4月まで残っているにもかかわらず、任期途中で辞職し出直し選挙を行う点です。仮に両氏が当選しても、約1年2ヶ月後には再び選挙を実施する必要があり、短期間に複数回の選挙を行うことになります。

これに対し、日本経済新聞や北海道新聞の社説では「選挙をもてあそぶ愚行」と厳しく批判されています。選挙には多額の公費が投入されるため、短期間に繰り返し実施することは税金の無駄遣いとの指摘もあります。

党内の反発と「独裁」批判

維新の党内からも批判の声が上がっています。1月13日にダブル選の方針が明らかになった際、事前に知らされていた議員はほとんどおらず、党内は「蜂の巣をつついたような騒ぎ」となりました。一部の議員からは「独裁政党だ」との批判も出ています。

吉村知事と横山市長による「トップダウン」の意思決定プロセスは、党内の意見集約を軽視しているとの指摘もあります。維新は「身を切る改革」を掲げてきましたが、今回の決定プロセスは内部の民主的な手続きを経ているのか疑問視されています。

与党への影響

衆院選を控える与党内では、維新の独断的な行動に対するいら立ちが広がっています。自民党と維新の連立協議が進む中、大阪ダブル選挙の扱いは連立の行方を左右する可能性があります。

特に、副首都構想を巡る協議では、維新が「大阪前提」の条件を主張し続けることで、自民党内の反発が強まっています。野党の賛同も得られにくい状況で、副首都構想の実現が遠のけば、維新の自民党に対する不満が高まり、連立政権の安定性に影響を及ぼす可能性があります。

選挙制度と民主主義の観点から

住民投票の重み

大阪都構想は過去2回の住民投票で否決されています。住民投票は直接民主制の重要な手段であり、その結果には重みがあります。2020年の住民投票からわずか6年で3度目の挑戦を試みることは、民意を尊重しているのかという疑問が生じます。

維新側は「新しい政治状況の下で改めて信を問う」と主張していますが、批判的な立場からは「何度でも住民投票を繰り返すのか」との懸念が示されています。

選挙費用と税金の使途

地方選挙の執行には多額の公費が必要です。参考までに、2012年の衆院選では約587億円の予算が執行されました。大阪でのダブル選挙も相応の費用がかかると予想され、短期間に複数回実施することの合理性が問われています。

選挙公営制度により、候補者の選挙運動用自動車の使用、ビラやポスターの作成などが公費負担されます。これらの費用が適切に使われているか、有権者の監視が必要です。

今後の展望と注意点

ダブル選挙の日程

現時点では、衆院選の投開票日が2月8日、大阪府知事選の告示日が1月22日、大阪市長選の告示日が1月25日、衆院選の公示日が1月27日と想定されています。ただし、これらの日程は確定しておらず、政治情勢によって変更される可能性があります。

他党の動向

自民党大阪市議団は対抗候補を擁立しない方針を決めましたが、府連レベルでは対応が分かれています。立憲民主党や共産党などの野党がどのような戦略を取るかも注目されます。

有権者の判断

最終的には、大阪府民・市民が投票を通じて判断することになります。有権者は以下の点を考慮する必要があります。

  • 大阪都構想のメリット・デメリット
  • 任期途中での辞職の妥当性
  • 短期間での再選挙の是非
  • 維新の政治手法に対する評価
  • 副首都構想と都構想の関係性

まとめ

2026年2月に想定される大阪ダブル選挙は、維新にとって大阪都構想実現への重要なステップですが、任期途中での辞職や短期間での再選挙など、多くの問題点も抱えています。選挙制度の観点からは、公費の適切な使用や民意の尊重が求められます。

衆院選との同日実施により、大阪都構想が全国的な注目を集めることは間違いありませんが、有権者は冷静に政策の中身と政治手法の両面から判断する必要があります。今後の展開を注視し、民主主義のプロセスが適切に機能するよう、一人ひとりが責任ある投票行動を取ることが重要です。

参考資料:

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