大阪府知事選が告示 都構想「3度目の正直」なるか
はじめに
2026年1月22日、大阪府知事選挙が告示されました。日本維新の会代表の吉村洋文前知事(50歳)が辞職を申し出たことによる出直し選挙で、投開票は衆議院選挙と同日の2月8日に行われます。
立候補したのは吉村氏のほか、会社経営の納藤保氏(44歳、無所属)、政治団体「無所属連合」共同代表の大西恒樹氏(61歳)の計3名です。
吉村氏は過去2度の住民投票で否決された「大阪都構想」への3度目の挑戦を公約に掲げていますが、自民・立憲民主・公明・共産の各党は「大義がない」として候補擁立を見送りました。維新の看板政策をめぐる選挙の行方を解説します。
出直し選挙に至った経緯
吉村知事・横山市長の辞職表明
2026年1月15日、吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長(44歳、維新副代表)は、任期途中で辞職し出直しダブル選挙に臨むと表明しました。
吉村氏は「大阪の成長、未来のために副首都大阪、都構想を公約に掲げて挑戦させてもらいたい」と地域政党・大阪維新の会の全体会議で述べました。
衆院選との同日選挙
高市早苗首相が衆議院解散を決断したことで、衆院選は2月8日投開票となる見通しです。吉村氏らは当初から衆院選との同日選挙を狙っており、維新は国政選挙との相乗効果を期待しています。
知事選は1月22日告示、市長選は1月25日告示で、いずれも2月8日投開票となります。
議会同意を得られず「立候補による失職」
通常、知事が辞職するには議会の同意が必要ですが、吉村氏は府議会の同意を得られませんでした。そのため、1月22日に立候補を届け出た時点で自動的に失職する形となりました。
大阪都構想とは
大阪市を廃止し特別区に再編
大阪都構想とは、大阪市を廃止して市内24区を4つの特別区に再編する大都市制度改革です。東京都と23特別区の関係をモデルにしており、大阪府を「都」に格上げして広域行政を一元化することを目指しています。
維新を創設した橋下徹元大阪市長らが掲げた結党以来の看板政策であり、府市の「二重行政」解消による行政効率化が主な目的とされています。
過去2度の住民投票で否決
大阪都構想は2015年と2020年の2度にわたり住民投票で問われ、いずれも反対多数で否決されました。
- 2015年:賛成49.6%、反対50.4%の僅差で否決
- 2020年:賛成49.4%、反対50.6%で再び否決
2020年の否決後、吉村氏は「僕自身は都構想に挑戦することはない」と明言していました。
「副首都構想」との関係
維新は近年、「副首都構想」という概念を打ち出しています。これは大阪を東京に次ぐ「副首都」として位置づけ、首都機能の一部を担わせるという構想です。
吉村氏は副首都実現の前提として都構想が必要だと主張しており、今回の出直し選挙はそのための「民主的プロセス」だと説明しています。
主要政党の対応
自民・立民・公明・共産が候補擁立を見送り
自民党大阪府連は1月17日、独自の候補者を擁立しない方針を決定しました。立憲民主党、公明党、共産党も同様に擁立を見送り、主要4党が足並みをそろえました。
自民府連の松川るい会長は「こんな突然選挙をやって、結果を得ても民意を得たことになるのか疑問だ。壮大な独り相撲だ」と批判しています。
連合大阪は「白票」呼びかけを検討
立憲民主党や国民民主党の支持団体である連合大阪は、「組合員に『白票』の投函を呼びかけることを検討する」と発表しています。対立候補を立てない代わりに、白票で抗議の意思を示す戦略です。
維新内部からも批判
出直し選挙は維新内部でも賛否が分かれています。1月15日の党全体会議では、市議団から強く反対する意見が出ました。
維新の前原誠司衆院議員は「かなりの非難の電話が事務所にあった。大阪以外の人間には意味が分からない」と述べ、党内の困惑を明かしています。
各候補者の主張
吉村洋文氏(日本維新の会)
吉村氏は大阪市での第一声で「府と市が一つになれば大阪はもっと成長できる」と強調しました。「副首都にふさわしい大阪を目指すため、都構想の設計図をつくらせてほしい」と訴えています。
3選を果たした場合、来年4月までの任期中に都構想の住民投票実施を目指す意向を示しています。
大西恒樹氏(無所属連合)
大西氏は都構想に反対の立場を明確にし、「本当に良いことなのかどうか、根本を問いたい」と述べています。
納藤保氏(無所属)
納藤氏は条件付きで都構想に理解を示し、「二重行政の撤廃、コスト削減になるのであれば良い」としています。ただし、府民の約9割が納得することを容認の条件としています。
今後の見通しと注意点
出直し選の意義をめぐる議論
主要政党が候補を立てない中での選挙は、吉村氏の圧勝が予想されます。しかし、投票率の低下や白票の増加が起きれば、「民意を得た」という主張の正当性が問われる可能性があります。
住民投票への道のり
仮に吉村氏が当選しても、都構想の実現には改めて住民投票で過半数の賛成を得る必要があります。過去2度否決されていることを踏まえると、3度目の挑戦が成功する保証はありません。
衆院選への影響
維新は国政選挙でも大阪を地盤としており、ダブル選挙で都構想への支持を訴えることで、衆院選での得票増を狙っています。ただし、出直し選への批判が逆風となる可能性もあります。
まとめ
大阪府知事選が1月22日に告示され、吉村洋文前知事ら3名が立候補しました。吉村氏は過去2度否決された大阪都構想への3度目の挑戦を公約に掲げていますが、自民・立民・公明・共産の主要4党は「大義がない」として候補擁立を見送りました。
維新内部からも批判の声が上がる中での出直し選挙は、「民主的プロセス」なのか「壮大な独り相撲」なのか、評価が分かれています。投開票は衆院選と同日の2月8日で、結果次第では3度目の住民投票へと進む可能性があります。
大阪の将来像をめぐるこの選挙の行方は、維新の国政戦略にも影響を与える重要な試金石となります。
参考資料:
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