堺正章が歩んだ多才なエンターテイナー人生と食文化
はじめに
「いただきました!星3つです!」――この名フレーズを聞けば、多くの人がタレント・堺正章さん(79歳)を思い浮かべるでしょう。約22年にわたって司会を務めた料理バラエティ番組「チューボーですよ!」での名場面は、日本のテレビ史に深く刻まれています。
しかし堺さんの活躍は料理番組だけにとどまりません。グループサウンズ「ザ・スパイダース」のボーカル、ドラマ「西遊記」の孫悟空、数々のバラエティ番組の司会と、60年以上にわたって日本のエンターテインメント界の第一線を走り続けてきました。本記事では、多才な「巨匠」堺正章さんの軌跡と食文化へのこだわりを紹介します。
ザ・スパイダースから始まったキャリア
コメディアンの息子として
堺正章さんは1946年8月6日、東京都に生まれました。父は戦後の喜劇俳優として活躍した堺駿二さんです。幼少期は神奈川県鎌倉市の広大な自宅(敷地4,000坪)で育ちました。芸能一家に生まれたことが、後のエンターテイナーとしてのDNAを育んだといえるでしょう。
16歳でスパイダースに加入
1962年、鎌倉学園在学中の16歳で田辺昭知率いる音楽バンド「ザ・スパイダース」に加入しました。その後加入した井上順さんとともにツインボーカルを務め、「夕陽が泣いている」などのヒット曲で一世を風靡しました。
グループサウンズ全盛期のスパイダースは、音楽だけでなくコミカルなパフォーマンスでも人気を博し、テレビのバラエティ番組にも頻繁に出演しました。堺さんの音楽とコメディの両方をこなす才能は、この時期に磨かれたものです。
俳優としての飛躍
「時間ですよ」での出世
1970年のスパイダース解散後、堺さんはソロの歌手活動と並行して俳優への転身を図ります。同年スタートしたTBSドラマ「時間ですよ」に第3シリーズ(1973年)まで出演し、俳優としての地位を確立しました。
銭湯を舞台にした人情ドラマでの演技は高い評価を受け、コメディアンの血を引く軽妙な演技力が存分に発揮されました。
孫悟空役で国民的人気に
堺さんを国民的スターに押し上げたのが、1978年から放送されたドラマ「西遊記」での孫悟空役です。続編「西遊記II」(1980年)と合わせ、コミカルでありながら愛嬌のある孫悟空像は、子どもから大人まで幅広い世代を魅了しました。
如意棒を振り回しながら繰り出す軽快なアクションと、三蔵法師に叱られるコミカルなやり取りは、今なお多くのファンの記憶に残っています。
「チューボーですよ!」22年の金字塔
深夜の料理バラエティ
1994年4月にスタートした「チューボーですよ!」は、TBS系列で毎週土曜日に放送された深夜の料理バラエティ番組です。堺さんがゲストとトークを交えながら料理を作るという構成で、2016年12月24日の最終回まで通算22年9カ月、1,087回の放送を重ねました。
番組の最大の魅力は、料理を通じたゲストとの自然体のトークでした。堺さんの穏やかで温かみのある司会ぶりが、ゲストのリラックスした表情を引き出し、深夜帯ならではの落ち着いた雰囲気を作り上げていました。
「星3つです!」の名フレーズ
番組の象徴となったのが、完成した料理を試食した後の「いただきました!星3つです!」という決めゼリフです。プロの料理人が審査するのではなく、堺さんとゲストが楽しみながら評価するスタイルは、料理の敷居を下げ、視聴者に「自分も作ってみよう」と思わせる効果がありました。
最も多く出演したゲストはスパイダース時代の盟友・井上順さんで、2016年12月17日放送分で13回目の出演を果たしています。最終回は15分拡大で放送され、初代アシスタントの雨宮塔子さんと俳優の唐沢寿明さんがゲストを務めました。
食を通じた人間関係
堺さんは「人の心をつかむにはまず胃袋から」という信念を持っています。22年間の料理番組を通じて培われた食への造詣は、私生活でも人間関係を築く上での重要な要素となっています。最近もこの信念を実感する出会いがあったといいます。
多才さの源泉
父・堺駿二の影響
堺さんの多才さの源泉は、コメディアンであった父・堺駿二さんの影響にあるといえるでしょう。演技、音楽、コメディ、司会と、異なるジャンルを横断する能力は、幼少期から芸能の空気を吸って育った環境がもたらしたものです。
「巨匠」と呼ばれる所以
歌手、俳優、コメディアン、司会者、そして料理愛好家と、多方面で第一線の仕事を続けてきた堺さんは、芸能界で「巨匠」(マチャアキの愛称にかけて)と呼ばれています。一つのジャンルに留まらず、時代の変化に合わせて活躍の場を広げ続ける姿勢は、エンターテイナーとしての理想像を体現しています。
注意点・今後の展望
79歳を迎えた堺さんですが、テレビ出演やイベントへの参加を続けており、その衰えを知らないエネルギーは健在です。近年は後進の育成にも関心を寄せており、若い世代のタレントとの共演機会も増えています。
60年以上のキャリアの中で蓄積された経験と人脈は、日本のエンターテインメント界にとってかけがえのない財産です。堺さんの活躍は、「多才であること」の価値を改めて示してくれています。
まとめ
堺正章さんは、スパイダースの時代から60年以上にわたり、音楽、演技、司会、食と多方面で日本のエンターテインメントを牽引してきました。「チューボーですよ!」での22年間は、食文化を通じた人間交流の豊かさを視聴者に伝え続けた金字塔です。
「人の心をつかむにはまず胃袋から」という堺さんの哲学は、エンターテインメントの枠を超えた普遍的な知恵といえるでしょう。
参考資料:
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