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by nicoxz

清水建設が超高層ビル建て替えの工期2割短縮する新工法を開発

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はじめに

清水建設が、老朽化した超高層ビルの建て替え工期を約2割短縮できる新たな工法を開発しました。最大のポイントは、既存ビルの基礎を再利用して杭打ち作業を省くことです。第1弾として導入する東京都内の再開発事業では、従来に比べ約2割の工期短縮が見込まれています。

建設業界では人手不足を背景に大型工事の中止や遅れが相次いでおり、工期短縮は受注競争を左右する重要な差別化要因となっています。本記事では、清水建設の新工法の仕組みと、建設業界が直面する課題を解説します。

新工法の仕組み:既存基礎の再利用

杭打ち作業を省略する発想

従来、超高層ビルを建て替える際には、既存の建物を解体した後に土砂の埋め立てや新たな杭打ちを行うのが一般的でした。杭打ち作業は超高層ビル建設において最も時間のかかる工程のひとつで、地盤の状況によっては数カ月を要することもあります。

清水建設の新工法は、既存ビルの基礎構造物をそのまま再利用するという発想に基づいています。新築する建物の荷重や構造特性に合わせて既存基礎の健全性を評価し、使用可能と判断された基礎を活かすことで、杭打ち工程を大幅に削減します。

技術的背景

清水建設は基礎技術の分野で豊富な実績を持っています。同社が開発した「スリムパイルヘッド構法」は、杭と基礎の接合部を半剛状態にすることで杭頭部に生じる曲げ応力を最大40%低減し、基礎躯体費用を約10%縮減する技術です。

さらに、400メートルクラスの超高層ビルに対応する「花びら拡底杭」も開発しており、従来の杭に比べ排土量を20〜33%、施工期間を10〜20%削減できます。今回の基礎再利用工法は、こうした杭・基礎技術の蓄積の上に成り立っています。

清水建設本社ビルでの先行実績

基礎の再利用は清水建設にとって初めての試みではありません。同社の本社ビル(東京都中央区)の建設にあたっては、旧建物のCFT柱(コンクリート充填鋼管柱)と地下耐圧壁の一部を再利用した実績があります。この経験が、超高層ビル全般への展開を可能にしたと考えられます。

建設業界の人手不足と工期問題

深刻化する担い手不足

建設業界では2024年4月から時間外労働の上限規制が本格適用され、いわゆる「2024年問題」が顕在化しています。労働時間の制約により、従来と同じ工期を維持することが困難になっており、人件費の高騰も避けられない状況です。

清水建設の新村達也社長も「大型プロジェクトで人手不足に拍車がかかっている」と述べており、業界全体の課題であることを認めています。また、同社の井上和幸前社長も「短工期の案件は受注が難しくなっている」と指摘していました。

大型工事の中止・遅延が相次ぐ

人手不足と資材高騰の影響で、ビルの建て替えが延期される事例が相次いでいます。建設現場の監督者の求人倍率は10年間で31倍にまで上昇しており、都市計画にも影響が出始めています。

こうした状況の中、工期を短縮できる技術は受注競争における大きなアドバンテージとなります。清水建設が新工法をテコに受注増を目指すのは、業界の構造的課題への戦略的な対応といえます。

既存杭再利用の業界動向

コスト7割削減の可能性

日本建設業連合会がまとめた「既存杭利用の手引き」によれば、既存杭の利用により基礎工事のコストが約70%削減され、工期が約70日短縮されるという大きな効果が確認されています。杭の撤去・新設という工程そのものを省くことで、工期とコストの両面でメリットが生まれます。

ただし、既存杭を再利用するには、杭の健全性調査や耐荷力の評価が不可欠です。既存杭の材質や劣化状態、地盤条件との適合性を慎重に見極める必要があり、技術的なハードルは決して低くありません。

環境面でのメリット

基礎の再利用は工期短縮だけでなく、環境負荷の低減にもつながります。新たな杭打ちに伴う排土の削減、セメントや鉄筋の使用量削減など、CO2排出量の低減効果が期待されます。清水建設は建材の再利用・リサイクル建材の採用比率を2030年に25%以上、2050年に50%以上へ高める目標を掲げており、基礎再利用はこの戦略とも整合しています。

注意点・今後の展望

適用範囲と技術的課題

既存基礎の再利用は、すべての建て替え案件に適用できるわけではありません。既存建物の基礎の状態や、新築建物の設計条件によっては再利用が困難なケースもあります。特に、既存の基礎が現行の耐震基準を満たしているか、新しい建物の荷重に耐えられるかの見極めが重要です。

ゼネコン各社の技術競争

超高層ビルの建設効率化は、清水建設だけでなくゼネコン各社が取り組むテーマです。鹿島建設、大成建設、大林組なども独自の工期短縮技術や省人化技術を開発しており、技術競争は今後さらに激化する見通しです。人手不足が構造的な問題である以上、技術革新による生産性向上は業界全体の課題となっています。

まとめ

清水建設が開発した超高層ビル建て替えの新工法は、既存基礎の再利用により杭打ち作業を省き、工期を約2割短縮するものです。人手不足や資材高騰に苦しむ建設業界において、工期短縮技術は受注力の強化に直結します。環境負荷の低減にもつながるこの技術が、超高層ビルの建て替え需要が高まる中でどれだけ普及するか、今後の動向が注目されます。

参考資料:

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