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by nicoxz

清水建設、超高層ビル建替え工期2割短縮の新工法を開発

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はじめに

清水建設が老朽化した超高層ビルの建て替えにおいて、既存ビルの基礎を再利用し杭打ち作業を省く新工法を開発しました。第1弾として導入される東京都内の再開発事業では、従来と比べて工期が約2割短縮される見通しです。

建設業界では人手不足を背景に大型工事の中止や遅れが相次いでおり、工期を短縮する新技術への期待が高まっています。この記事では、清水建設の新工法の仕組みと、建設業界が直面する構造的な課題について解説します。

既存基礎再利用の新工法とは

従来工法の課題

これまで超高層ビルを建て替える場合、既存の基礎や杭をすべて撤去し、土砂による埋め立てや新たな杭打ちを施す工法が一般的でした。地下数十メートルに達する杭の撤去と再施工は膨大な時間と費用を要し、建替え事業のボトルネックとなっていました。

特に都心部の再開発では、周辺への影響を最小限に抑えながら作業を進める必要があり、地下工事は全体工程の3割以上を占めることも珍しくありません。

基礎を「活かす」発想への転換

清水建設の新工法は、既存ビルの基礎構造を撤去せずにそのまま再利用するという発想の転換に基づいています。新築する建物の荷重や構造を既存基礎の耐力に合わせて設計することで、杭打ち作業を大幅に削減します。

日本建設業連合会の「既存杭利用の手引き」によれば、既存杭が健全な状態にあり耐久性に問題がなければ、新築建物の杭として再利用できます。コスト面では約70%削減、工期では約70日短縮という効果が確認された事例もあります。

環境面でのメリット

既存基礎の再利用は環境負荷の低減にも大きく貢献します。杭の撤去・再施工に伴うCO2排出量は、既存杭を利用することで5〜7割削減された事例が報告されています。大量の産業廃棄物の発生を抑制できる点も、持続可能な建設を目指す業界の方向性と合致しています。

超高層ビル更新時代の到来

老朽化する第一世代の超高層ビル

日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」が竣工した1968年から半世紀以上が経過し、高度成長期に建設された超高層ビルが次々と更新期を迎えています。建築基準法の改正や耐震基準の強化に伴い、旧基準で建てられたビルの建替え需要は今後さらに増加する見通しです。

清水建設自身も、東京・京橋の本社ビル建替えにおいて旧建物のCFT柱と地下耐圧壁の一部を再利用した実績があります。

業界他社の取り組み

大林組も東京・丸の内で既存建物の地下躯体を最大限に活用するプロジェクトを実施しています。上階の荷重が少ない箇所では仮設の山留め壁を本設として取り込むことで杭打設を不要にし、既存地下躯体の障害物撤去も最小限に抑えました。

清水建設はさらに、超高層ビルの解体工程にも注力しています。環境配慮型超高層解体工法「グリーン サイクル デモリッション」を開発し、デジタル・ロボット技術を取り入れた効率的な解体プロセスを実用化しています。

深刻化する建設業の人手不足

構造的な労働力不足

建設業界では少子高齢化に加え、長時間労働や過酷な現場環境のイメージから若手の入職者が減少し、深刻な人手不足に直面しています。2024年4月の時間外労働の上限規制適用以降、労働時間の制約が一層厳しくなり、従来のような長時間労働で短工期を実現する手法が通用しなくなりました。

建設現場では、受注の選別が進み、特命案件でなければ引き受けないという「売り手市場」の様相を呈しています。半導体工場やデータセンターなど新規需要が急増する中、ゼネコン各社は手一杯の状態です。

技術革新による生産性向上

人手不足への対策として、AIやロボット、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用が加速しています。清水建設も芝浦プロジェクトで76人乗りの新型エレベーターを導入するなど、現場の生産性向上に取り組んでいます。

今回の基礎再利用工法も、少ない人員で効率的に建替えを進めるための技術革新の一つと位置づけられます。杭打ち工程の省略により、熟練工の確保が難しい地下工事の負担を大幅に軽減できます。

注意点・展望

適用条件の制約

既存基礎の再利用には、基礎の健全性評価や耐久性の確認が不可欠です。新築建物の規模が既存建物より大きくなる場合は、既存杭だけでは全荷重を負担できず、杭の増設が必要になることもあります。すべての建替え案件に適用できるわけではない点には注意が必要です。

今後の展開

高度成長期に建設された超高層ビルの更新需要は2030年代にかけてさらに拡大すると見込まれています。清水建設は今回の新工法をテコに受注増を目指す方針で、都市再開発における競争力の強化を図ります。

建設業界全体としても、既存ストックを活かした効率的な更新手法の確立は喫緊の課題です。基礎再利用、ロボット活用、解体工法の革新など、複数の技術を組み合わせた総合的なソリューションが求められています。

まとめ

清水建設の新工法は、既存基礎の再利用という合理的なアプローチで超高層ビル建替えの工期を2割短縮するものです。人手不足、環境配慮、コスト削減という建設業界の三重課題に対する実践的な解決策として注目されます。

超高層ビルの更新時代を迎える中、こうした工期短縮技術は都市再開発のスピードを左右する重要な要素です。今後は適用実績の蓄積とともに、他のゼネコンにも同様の技術開発が広がることが期待されます。

参考資料:

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