【社長が語る】資生堂が挑戦する「次の一手」
資生堂が挑戦する「次の一手」
資生堂は2025年、構造改革をほぼ完了させ、新たな成長ステージに入った。米州事業の減損による赤字を経て、主要ブランドの回復が進むなか、同社は2030年に向けた中期経営戦略を発表。藤原憲太郎社長がその「次の一手」を語った。
新たな岐路に立つ資生堂
2025年12月期第3四半期決算では、通期最終損益を520億円の赤字に下方修正。一方で「エリクシール」「クレ・ド・ポー ボーテ」など注力ブランドの好調で、利益率が改善。構造改革費用を今期に集中計上し、新たなスタートに向けた基盤整備が進んでいる。
中国では高価格帯商品の販売が回復し、成長の芽が見え始めている。課題は、グローバルでブランド価値をどう高めるかだ。
選ばれるブランドであり続けるために
世界のビューティー市場では競争が激化。消費者の価値観が多様化し、「自分の価値観に合うブランド」を選ぶ時代になった。藤原社長はこう語る:
「今の生活者はブランドがもたらす“体験”や“共感”に価値を見出しています。科学的な裏付けと社会的意義、その両輪で価値をつくることが資生堂の強みです。」
その象徴が日焼け止めブランド「アネッサ」。屋外活動が減る子どもたちの成長を支援するプロジェクトをアジア12地域で展開し、ブランドの社会的意義を拡大している。
また、グミ状洗顔料「肌グミ」など、生活者の声から生まれた新商品の成功も新市場開拓のヒントとなった。
言葉の力を活かすマーケティング
資生堂は「生活者に届く言葉」を重視する。SNSで生活者が生み出す言葉を観察し、共感されるコピーを追求。中国では「SHISEIDO アルティミューン」が赤いボトルの形状から「紅腰子(赤い腎臓)」と呼ばれ、愛称として公式でも活用されている。
生活者の自然発信をマーケティングに取り込むことで、ブランドとの距離を縮めている。
技術をスケールアップする挑戦
韓国コスメ(K-Beauty)のスピード感を認めつつ、資生堂は独自の研究開発力を軸に戦う。IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)で最多受賞歴を誇る同社は、技術を迅速に世界へ展開する体制づくりを進めている。
従来はブランド単位で技術搭載を決めていたが、今後はグループ全体で横断的に展開し、市場でのスケールアップを加速する。
「自社の技術を市場のスタンダードに押し上げる発想が求められている。」
「価値創造力」と「価値伝達力」の両輪で成長へ
中期経営戦略では、「ブランド力の向上を通じた成長加速」を柱に、R&D起点の技術力(価値創造力)と、生活者に響くマーケティング力(価値伝達力)の強化を掲げる。
また、人の感性を科学的に捉える「感性科学」の研究成果を、商品やサービスにも展開予定だ。
資生堂だからこそ、できること
世界情勢が不安定な今、消費者は「安心感」「信頼」を求めている。資生堂の研究は、目に見える肌トラブルだけでなく、将来起こりうる課題を予防する長期視点に立つ。
「未来の肌に起こりうるトラブルを科学的に探り、解決する研究こそが資生堂の本質です。」
アンチエイジング分野での特許実績が示す通り、資生堂は“未来を見据えた研究企業”としての信頼を積み上げてきた。
まとめ:資生堂の「次の一手」
- ブランド価値を再定義し、体験と共感を重視
- 生活者の言葉を活かす柔軟なマーケティング
- 研究技術をグローバルでスケールアップ
- 「価値創造」と「価値伝達」で持続成長へ
「一瞬も 一生も 美しく」——資生堂の次の挑戦は、“美”を通じて社会と人を豊かにすることにある。
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