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by nicoxz

銀が史上初の100ドル突破、金に連れ高で急騰

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はじめに

銀(シルバー)の価格が、史上初めて1トロイオンス(約31.1グラム)あたり100ドルを突破しました。2026年1月23日のニューヨーク先物市場で、銀は前日比7.45%高の103.30ドルで取引を終え、歴史的な節目を超えました。

この急騰の背景には、デンマーク自治領グリーンランドを巡る米欧間の緊張、中国による銀の輸出規制強化、そして安全資産としての金(ゴールド)への需要急増があります。金価格も5,000ドルに迫る水準まで上昇しており、貴金属全体に投機マネーが流入しています。

銀価格急騰の経緯

歴史的な100ドル突破

銀の国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は、2026年1月23日の取引で初めて100ドルの大台を突破しました。終値は103.30ドルで、前年同期比では約214%もの上昇となっています。

2026年1月の動きを振り返ると、以下のような急ピッチの上昇が続きました。

  • 1月6日:一時82.2ドルの史上最高値を記録
  • 1月19日頃:95.5ドルを超え新記録更新
  • 1月23日:99ドルを経て、100ドル突破

わずか数週間で20%以上の上昇を見せる、まさに「銀の暴騰」と呼べる展開となりました。

金も5,000ドルに迫る

銀の急騰は、金価格の上昇と連動しています。金は同日1.61%上昇し、1トロイオンスあたり4,988.56ドルに達しました。5,000ドルの大台突破も目前の水準です。金は年間で77%の上昇を記録しており、貴金属全体への投資資金の流入が続いています。

急騰の背景

グリーンランドを巡る米欧対立

銀価格急騰の直接的なきっかけは、グリーンランドを巡る地政学的緊張の高まりです。

トランプ大統領は、デンマーク自治領グリーンランドの「完全かつ全面的な購入」に向けた取引が成立するまで、欧州8カ国からの輸入品に関税を課すと発表しました。この動きにより、米国と欧州の関係に亀裂が生じ、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。

グリーンランドは、北極圏に位置し、レアアースなどの鉱物資源が豊富とされています。トランプ大統領は以前からグリーンランドの買収に関心を示していましたが、今回の強硬姿勢は市場に大きな動揺を与えました。

中国による銀の輸出規制

もう一つの大きな要因は、中国の政策変更です。2026年1月1日、中国は銀を「戦略的デュアルユース金属」に再分類し、レアアース元素と同じ厳格な輸出許可制度の下に置きました。

この措置により、西側の精錬業者への銀供給が事実上絞り込まれ、認可を受けた44社のみが輸出を許可される状況となりました。供給懸念が高まり、銀価格上昇に拍車をかけています。

世界的な供給不足

銀は4年連続で世界的な供給不足が続いており、物理的な需給逼迫が価格を下支えしています。産業用需要の拡大、特に太陽光パネル向けの需要急増が大きな要因です。

2024年の太陽光発電向け銀消費量は約2億4,000万オンスに達し、2020年比で約158%増加しています。再生可能エネルギーへの転換が進む中、銀の産業需要は今後も増加が見込まれています。

金銀比率の変化

歴史的な比率縮小

銀価格の急騰により、金と銀の価格比率(ゴールド・シルバー・レシオ)が大きく変化しています。金が5,000ドル近辺、銀が100ドルで取引される現在、その比率は約50となっています。

2025年1月時点では、この比率は約100でした。つまり、金1オンスで銀100オンスが買えた状況から、金1オンスで銀50オンスしか買えない状況へと変化したのです。これは銀の相対的な価値上昇を示しています。

投資家の見方

市場関係者の間では、「貴金属はもはや単なるヘッジではなく、不確実な時代における戦略的ポートフォリオの中核となりつつある」との見方が広がっています。中央銀行の金買い増しや、ドル離れの動きも、貴金属全体の上昇を支えています。

日本国内への影響

国内小売価格も最高値更新

銀の国際価格上昇を受け、日本国内の小売価格も史上最高値を更新しています。1月23日に発表された銀の店頭小売価格(税込)は、1グラムあたり551.54円に達しました。

2026年に入ってからの上昇ペースは著しく、投資目的での銀購入への関心も高まっています。

産業への影響

銀は電子機器や太陽光パネルなど、多くの産業で使用される重要な素材です。価格高騰が続けば、これらの製品の製造コスト上昇につながる可能性があります。

一部では、太陽光パネルでの銀使用量を削減する技術や、銅への代替技術の開発が進められており、長期的には価格高騰の緩和要因となる可能性もあります。

注意点・今後の展望

投機的な動きへの警戒

銀価格の急騰には、投機的なショートスクイーズ(空売りの買い戻し)も影響しています。短期間での急激な価格変動は、投機マネーの流入を示しており、反動で急落するリスクも内包しています。

地政学リスクの動向

グリーンランド問題や米欧関係の行方は、今後の貴金属価格を左右する重要な要素です。トランプ政権の外交政策次第では、さらなる上昇も、あるいは緊張緩和による調整もありえます。

長期的な需給見通し

産業需要の拡大と供給制約という構造的要因を考えると、銀価格の高止まりは当面続く可能性があります。ただし、100ドルを超える水準が持続可能かどうかは、多くの専門家の間でも見解が分かれています。

まとめ

銀価格が史上初めて100ドルを突破したことは、貴金属市場における歴史的な出来事です。グリーンランドを巡る米欧対立、中国の輸出規制、そして世界的な供給不足が複合的に作用し、銀への投資資金が急増しています。

金価格も5,000ドルに迫る水準まで上昇しており、地政学的リスクの高まりを反映しています。貴金属は不確実な時代における「安全資産」としての存在感を増していますが、投機的な側面も強く、価格変動リスクには注意が必要です。

今後の地政学情勢や中央銀行の金融政策を注視しながら、市場動向を見守る必要があります。

参考資料:

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