ソニーG株価が高値比3割安、メモリー価格高騰が逆風に
はじめに
2026年1月27日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比448円高の5万3,333円と反発しました。半導体関連株が相場を牽引する中、ソニーグループの株価は高値から約3割安の水準で推移しています。
ソニーG株の低迷の背景には、メモリー価格高騰への懸念があります。AI需要の急拡大でDRAMやNANDフラッシュメモリの価格が急騰しており、ゲーム機の製造コスト増加や、スマートフォン市場の縮小を通じた画像センサー事業への悪影響が警戒されています。
この記事では、ソニーG株の下落要因と、メモリー価格高騰が同社の各事業に与える影響について解説します。
ソニーG株価の推移
高値から約3割の下落
ソニーグループの株価は2025年11月につけた高値(4,700円台)から大きく値を下げています。2026年1月21日時点では3,701円と、高値比で20%以上の下落となっています。
1月27日を含む直近の取引では続落が続いており、投資家の売り圧力が継続しています。ゲーム関連株全体に半導体価格上昇によるコスト増懸念や、年末商戦への期待低下を背景とした売りが出ているためです。
アナリストの見方は分かれる
一方で、アナリストの評価は必ずしも悲観的ではありません。2026年1月27日時点のコンセンサスは「強気買い」を維持しており、平均目標株価は5,064円と、現在の株価から45%以上の上昇余地があるとの見方が示されています。
モルガン・スタンレーMUFGはソニーGの目標株価を引き下げましたが、メモリ価格高騰の影響への懸念は「相当程度織り込まれた」との見解を示しています。
メモリー価格高騰の影響
ゲーム事業への逆風
ソニーのゲーム&ネットワークサービス(G&NS)部門は、グループ全体の売上高の約36%を占める主要事業です。2025年3月期の売上高は約4兆6,700億円に達し、営業利益は前年比43%増の4,148億円を記録しました。
しかし、メモリー価格の高騰はこの収益性に影響を与えかねません。PlayStation本体の製造にはDRAMが不可欠であり、価格上昇は製造コストの増加に直結します。
PS6発売への懸念
次世代機PlayStation 6についても、メモリー価格高騰の影響が懸念されています。PS6では近年のゲームに対応するため、メモリ容量を大幅に増強する計画とされています。報道によると、据え置き型には合計30GB程度のメモリを搭載する構想があります。
2027年発売を計画している場合、2026年中にメモリを含む部品の調達契約を進める必要があります。しかし2026年はDRAM価格が高止まりする時期と予測されており、このタイミングでの契約はPS6のコストを大きく押し上げる可能性があります。
一部報道では、ソニーがメモリ価格の下落が見込まれる2028年以降へのPS6発売延期を検討しているとも伝えられています。
現行機の値上げ可能性
現行のPS5についても、2026年に追加の値上げが行われる可能性が指摘されています。業界全体がRAMの供給不足とその影響を懸念しており、次世代機だけでなく現世代機の価格上昇も避けられないとの見方があります。
ソニーは2025年11月の決算説明会で、「今期に関しては既に部材は確保済みで影響はないが、部材価格が高くなるとハードウェアの収益性に影響があるため、注意深く市場動向を見ている」と回答しています。
画像センサー事業への影響
世界シェア53%を誇る圧倒的地位
ソニーセミコンダクタソリューションズグループは、スマートフォン向けCMOSイメージセンサー(CIS)で世界シェア53%を握っています。スマートフォン、デジタルカメラ、自動車、セキュリティカメラなど幅広い分野で使用されており、同社はシェアを60%まで引き上げる計画を掲げています。
2024年の世界スマートフォン用CISの出荷台数は前年比2%増の44億台となり、ソニーが首位を維持しました。
スマホ市場縮小の懸念
しかし、メモリー価格の高騰はスマートフォン市場全体に悪影響を及ぼす可能性があります。スマートフォンのコストが上昇すれば、出荷台数の減少につながりかねません。スマホ1台当たりのカメラ数の減少傾向も続いており、CIS需要の押し下げ要因となっています。
市場調査会社は、地政学的緊張やマクロ経済の不確実性に起因する課題から、2025年のCIS出荷台数が前年比で若干減少すると予測しています。
Apple向け取引への不安
一部報道では、AppleがiPhone用CISをソニー製からSamsung製に乗り換える可能性も伝えられています。Samsungは3層積層CISを開発しており、米国の半導体関税政策を踏まえた製造戦略が影響しているとされています。
Appleはソニーにとって最大の顧客の一つであり、この動向は今後の業績に大きな影響を与える可能性があります。
日経平均の動向と半導体関連株
1月27日は反発
2026年1月27日の日経平均株価は前日比448円高の5万3,333円と反発しました。前日に急落した反動から自律反発狙いの買いが入りやすく、前日の米株高も投資家心理を支えました。
午後には値がさの半導体関連株が騰勢を強め、日経平均の上げ幅が拡大。東京外国為替市場での円安・ドル高進展も追い風となりました。
DeepSeekショックからの回復
中国のAI開発企業DeepSeekが低コストで高性能なAIモデルを開発したことを受け、米国市場ではエヌビディアなどAI半導体関連株が一時急落する「DeepSeekショック」が発生しました。
しかし時間の経過とともにショックは和らぎ、急落していたAI半導体関連株には買い戻しが入っています。
ソニーGは半導体銘柄と異なる動き
日経平均を牽引したのはアドバンテストや東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどの半導体・AI関連株でした。これらの銘柄がAI需要の恩恵を受ける一方、ソニーGはメモリー価格高騰による「逆風」が意識され、異なる株価の動きを見せています。
メモリーを「買う側」のソニーと、「売る側」のキオクシアなどメモリーメーカーでは、価格高騰の影響が正反対に作用している形です。
今後の展望と注意点
決算発表が焦点に
ソニーGの次回決算発表が投資家の注目を集めています。ゲーム事業や半導体事業について強気な見通しが示されれば、急落してきた株価が反発する可能性があります。
特に、メモリー調達コストの見通しや、PS6の開発状況についてどのような説明がなされるかが焦点となります。
中長期的な成長力は維持
短期的にはメモリー価格高騰が逆風となっていますが、ソニーGの中長期的な成長力を疑問視する声は少数派です。ゲーム事業の安定した収益基盤、画像センサーの圧倒的シェア、そしてエンターテインメントコンテンツの強さは、同社の競争優位性を支えています。
メモリー価格は2027〜2028年頃に正常化するとの予測もあり、中長期投資家にとっては押し目買いの機会と見る向きもあります。
リスク要因
投資家が注視すべきリスク要因としては、(1)メモリー価格のさらなる高騰、(2)Apple向けCIS取引の減少、(3)ゲーム機の販売不振、(4)為替の円高進行などが挙げられます。
まとめ
ソニーグループの株価が高値から約3割下落している背景には、メモリー価格高騰への懸念があります。PlayStation事業ではゲーム機の製造コスト増加やPS6発売延期の可能性が、画像センサー事業ではスマートフォン市場縮小の影響が警戒されています。
一方、日経平均株価は半導体関連株に牽引されて反発しており、メモリーを「売る側」と「買う側」で明暗が分かれる状況となっています。
ソニーGの次回決算発表では、メモリー調達コストの見通しや各事業の今後の方向性が注目されます。中長期的な成長力は維持されているとの見方が多いものの、短期的にはメモリー価格動向に左右される展開が続きそうです。
参考資料:
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