住友鉱が金急騰で最高値、三菱重は衆院選報道で急反発
はじめに
2026年1月29日の東京株式市場で日経平均株価は3日続伸し、終値は前日比16円89銭(0.03%)高の5万3,375円60銭でした。小幅な上昇にとどまりましたが、個別銘柄では明暗が分かれる展開となりました。
金価格の急騰を追い風に住友金属鉱山が上場来高値を更新する一方、三菱重工業は衆院総選挙に関する報道を材料に8営業日ぶりの反発を記録しました。この記事では、注目銘柄の値動きとその背景について解説します。
住友金属鉱山:金急騰で最高値更新
金価格高騰の恩恵を直接享受
住友金属鉱山(5713)は金価格の急騰を受けて上場来高値を更新しました。同社は国内最大級の金鉱山である菱刈鉱山(鹿児島県)を保有し、金の製錬・販売を主力事業の一つとしています。金価格の上昇は同社の収益に直結するため、金の国際価格が1トロイオンス5,500ドルを超える水準まで急騰する中、投資家の買いが集中しました。
1月に入ってからの金価格上昇は目覚ましく、国内の店頭小売価格は1グラム2万6,000円台から2万9,815円まで急騰しています。住友鉱の株価もこの流れに連動し、年初から連日の高値更新が続いています。
業績面でも追い風
2026年3月期の中間決算では、連結の税引前利益が778億1,500万円(前年同期比6.6%増)、親会社帰属利益が539億4,000万円(同16.0%増)と増益を達成しました。資源事業の好調や海外銅鉱山の業績改善が寄与しており、通期予想も上方修正されています。
金だけでなく銅の価格もロンドン金属取引所(LME)で最高値圏にあり、非鉄金属全般の好調が同社の追い風となっています。
非鉄セクター全体に波及
住友鉱の上昇に連動する形で、三菱マテリアルや三井金属など非鉄金属セクター全体に買いが広がりました。トランプ政権の関税政策による地政学リスクの高まりや、中央銀行による金購入の継続が、セクター全体の支援材料となっています。
三菱重工業:衆院選報道で急反発
8営業日ぶりの反発
三菱重工業(7011)は前日比94円高の4,528円で取引を終え、8営業日ぶりに反発しました。高値は4,635円まであり、日中は買い意欲の強さが目立つ展開でした。
急反発の材料となったのは、衆院総選挙に関する報道です。自民党が過半数を確保する勢いとの情勢報道が流れ、高市政権の安全保障政策が継続されるとの期待が防衛関連株への買いにつながりました。
防衛予算拡大への期待
高市政権は防衛費のGDP比2%目標の達成に向けた取り組みを進めており、衆院選での自民党勝利は防衛予算のさらなる拡大を意味します。三菱重工は戦闘機、護衛艦、ミサイルなど幅広い防衛装備品を手がける国内最大の防衛企業であり、政策恩恵を最も受ける銘柄の一つです。
同社の株価は2025年2月の安値1,978円から右肩上がりの上昇トレンドが続いており、1年で安値から2.3倍超に成長する非常に強い推移を見せています。アナリストのコンセンサスは「買い」で、平均目標株価は4,784円です。
アドバンテストが日経平均を下支え
AI半導体の好調で決算上方修正
29日の日経平均を最も押し上げたのはアドバンテスト(6857)です。同社は28日に2026年3月期の連結純利益が前期比71%増の2,750億円になる見通しだと発表しました。従来予想から535億円の上方修正で、2年連続の最高益更新です。
AI向け先端半導体の需要拡大を背景に、高性能テスタ(半導体試験装置)の販売が急伸しています。第3四半期累計の売上高は8,005億円(前年同期比46.3%増)、営業利益は3,460億円(同110.8%増)と大幅な増収増益を記録しました。
好決算を受けて29日の株価は一時15%高と急騰し、日経平均を352円分押し上げました。
日経平均ウエート引き下げの可能性
一方で、ブルームバーグの試算ではアドバンテストの日経平均におけるウエート(構成比率)は28日時点で12.8%に達しています。10%を超えると4月の定期見直しで引き下げ対象となるルールがあり、機械的な売り需要が発生する可能性が指摘されています。
半導体関連株は利益確定売りも
ASML好決算の余韻と調整
前日28日にはオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングの好決算を受けて、東京エレクトロンやレーザーテクなど半導体関連株が後場終盤に急騰しました。しかし29日は利益確定売りに押される展開となり、半導体セクターは高安まちまちの動きでした。
ASMLの2025年10〜12月期の売上高は97億1,800万ユーロと市場予想を上回りましたが、2026年の中国向け売上高は大幅に減少する見通しを示しており、半導体株の先行きには慎重な見方も残っています。
注意点・展望
選挙結果で相場の方向性が変わる
2月の衆院選の結果は、日本株市場の方向性を大きく左右します。自民党が安定多数を確保すれば防衛・インフラ関連株への追い風が続く一方、与野党が拮抗する展開になれば政策の不透明感から調整局面に入る可能性があります。
金価格の持続性
住友鉱などの非鉄株が最高値圏を維持できるかは、金価格の動向に大きく依存します。短期的にはサーキットブレーカーが発動するほどの急騰であり、調整リスクも意識する必要があります。
まとめ
1月29日の東京株式市場は、金急騰による住友鉱の最高値更新と、衆院選報道を材料とした三菱重工の反発が目立つ展開でした。アドバンテストの好決算が日経平均を下支えする一方、半導体関連株の一部では利益確定売りも見られました。
今後は2月の衆院選の行方と、金・半導体関連の業績動向が市場の焦点となります。個別銘柄の選別が進む局面であり、各セクターの材料を丁寧に見極めることが重要です。
参考資料:
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