高市首相が通常国会冒頭解散へ、36年ぶり2月総選挙の行方
はじめに
高市早苗首相は2026年1月14日、自民党幹部に対し、23日召集予定の通常国会冒頭で衆議院を解散する意向を伝えました。投開票日は2月上中旬が軸となり、実現すれば36年ぶりの2月総選挙となります。
内閣支持率が75%と高水準を維持する中、少数与党のねじれ国会を脱却し政策推進力を高めたい高市首相。一方で予算審議の遅れや解散の大義を問う声も上がっています。本記事では、冒頭解散の背景と今後の選挙戦の展望を解説します。
冒頭解散の決断と日程
解散から投開票までのスケジュール
高市首相が検討している日程は2案あります。第一案は「1月27日公示、2月8日投開票」、第二案は「2月3日公示、2月15日投開票」です。
23日に解散して2月8日投開票となれば、解散から投開票まで16日間という戦後最短の選挙戦となります。これまでの最短記録は2021年の岸田政権時の17日間でした。なお、解散から投票日までの最短記録自体は、第1次石破内閣の8日(2024年10月1日組閣、10月9日解散)です。
首相は1月19日に記者会見を開き、衆院解散を巡る自身の考えを説明する予定です。
日韓首脳会談後の決断
高市首相は韓国の李在明大統領との日韓首脳会談(1月13日)および法隆寺視察(1月14日)という外交日程を終えてから、解散の最終判断に至りました。
今回の日韓首脳会談は、首相の地元である奈良県で開催されるという異例の形式でした。世界遺産・法隆寺を両首脳で訪問し、朝鮮半島との歴史的な交流を象徴する場所で日韓関係の強化を確認しました。首脳会談では経済・安全保障分野での協力推進や、北朝鮮の非核化に向けた日韓米の連携強化で一致しています。
高支持率を背景にした戦略的判断
75%という異例の支持率
日本経済新聞社の世論調査によれば、高市内閣の支持率は2025年12月時点で75%を記録しています。2025年10月の内閣発足以来、一貫して70%台を維持しており、これは近年の内閣としては極めて高い水準です。
この高支持率を追い風に、早期の選挙で与党の議席増を狙うのが高市首相の戦略です。時間が経過すれば支持率が下がるリスクもあり、好機を逃さない判断といえます。
ねじれ国会からの脱却
現在、自民党と日本維新の会の衆院会派の議席はぎりぎり過半数の233議席で、参院では少数与党の「ねじれ国会」となっています。この状況では法案審議が滞りやすく、政権運営は不安定です。
高市首相は「自民と維新の政策合意の内容などをしっかり進めるにあたり、国民の審判を得る必要がある」と説明しており、衆院選で勝利して安定した政権基盤を築く狙いがあります。
高市政権の政策と選挙の争点
「責任ある積極財政」路線
高市首相の経済政策の基本理念は「責任ある積極財政」です。「日本に今、必要なことは、行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させることではなく、積極財政により国力を強くすること」と首相は述べています。
経済対策の三本柱として、「生活の安全保障・物価高への対応」「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」「防衛力と外交力の強化」を掲げています。具体的には、ガソリン税と軽油引取税の旧暫定税率廃止、26年1〜3月の電気・ガス料金への計7000円程度の補助などが盛り込まれています。
安全保障政策の強化
高市首相は安全保障分野でも積極的な姿勢を示しています。「我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しくなってきている」として、2022年末に策定された「国家安全保障戦略」など防衛3文書の前倒し見直しを表明しました。
防衛費については、対GDP比2%水準を今年度中に前倒しで達成する方針を示しています。ドローン攻撃やサイバー攻撃など最新の脅威に対応するため、来年中の3文書改定に向けた検討を開始するとしています。
日米同盟と外交
外交面では、日米同盟を「新たな黄金時代」として位置づけ、トランプ米大統領との信頼関係構築を強調しています。中国については「重要な隣国」としつつも、経済安全保障を含む懸念事項の存在を指摘する現実的な姿勢をとっています。
野党と与党内の動向
立憲・公明の接近
野党側では注目すべき動きがあります。立憲民主党の野田佳彦代表と公明党の斉藤鉄夫代表は1月12日、両党が「より高いレベルで連携」することで一致しました。異なる政党の候補者を同じ比例名簿に登載する「統一名簿」方式も検討されています。
これは与党側にとっては警戒すべき動きです。公明党はこれまで自民党との連立を維持してきましたが、今回は立憲との協力関係も模索しています。
与党内の慎重論
冒頭解散案には与党内からも異論が出ています。2026年度予算案の成立が4月以降にずれ込むことへの懸念や、「解散の大義に欠ける」という批判があります。
また、自治体の選挙管理委員会も急ピッチでの準備を強いられています。特に首長選や議員選が同時期にある自治体では、職員確保などの実務的な課題に直面しています。
今後の展望と注意点
36年ぶりの2月選挙
2月の衆院選が実現すれば、1990年2月以来36年ぶりとなります。真冬の選挙は投票率低下のリスクを伴います。寒さの厳しい時期は一般的に投票率が下がり、組織票を持つ政党が相対的に有利になる傾向があります。
野党にとっては準備期間が極めて短く、候補者調整や選挙資金の確保が間に合わない可能性があります。これは高市首相の狙いの一つとも言われています。
予算審議への影響
冒頭解散の場合、2026年度予算案の審議は選挙後に持ち越されます。予算成立が4月以降にずれ込めば、年度始めの行政サービスに影響が出る可能性があります。
野党側は「予算を人質にした解散」と批判を強める構えで、選挙戦での争点の一つになることが予想されます。
政権運営への影響
選挙結果次第では、高市政権の政策推進が加速する可能性があります。与党が議席を大幅に増やせば、積極財政や安全保障強化の政策を力強く進められるでしょう。
逆に議席が伸び悩めば、野党との協調がより重要になり、政策の修正を迫られる場面も出てくるかもしれません。
まとめ
高市首相の冒頭解散の決断は、75%という高支持率とねじれ国会の解消という二つの要因に基づいています。36年ぶりの2月選挙は、真冬の投票率低下や野党の準備不足という条件で行われることになり、与党に有利とされています。
しかし、予算審議の遅れへの批判や解散の大義を問う声もあり、選挙戦の展開次第では予想外の結果となる可能性も否定できません。1月19日の首相会見で示される解散理由と、その後の各党の選挙公約が、有権者の判断材料となるでしょう。
日本の政治の方向性を決める重要な選挙となりそうです。
参考資料:
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