高市円安に転機か?市場で浮上するTACO観測の全容
はじめに
2025年10月の高市早苗政権発足以来、「責任ある積極財政」の看板のもとで進行してきた円安トレンドに変調の兆しが見え始めています。2026年1月23日、米ニューヨーク連銀が民間銀行に対してレートチェックを実施したとの報道を受け、ドル円相場は158円台から155円台へ急落しました。
外国為替市場の一部では、高市政権が掲げてきた消費税減税などの積極財政姿勢に変化が出るのではないかとの「TACO観測」が浮上しています。この記事では、円安転換の背景とTACOトレードの意味、そして今後の為替見通しについて詳しく解説します。
TACOトレードとは何か
ウォール街発の造語が日本に波及
TACOとは、もともと米国のトランプ大統領の政策姿勢を皮肉った造語です。フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ロバート・アームストロング氏が考案した「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも尻込みする)」の頭文字に由来します。
トランプ大統領が強硬な関税政策を打ち出しながらも、株価や経済への悪影響を懸念して方針を撤回・延期するパターンが繰り返されたことから、「下落は買い場」とする投資戦略が生まれました。これがTACOトレードです。
日本版TACO=高市トレードへの展開
この概念が日本市場にも波及し、「日本版TACO」として高市政権の政策姿勢と結びつけられています。東洋経済オンラインでは「Takaichi Always Challenges Officials(高市はいつも官僚を目の敵にする)」という解釈も紹介されました。
市場関係者の間では、高市首相が掲げる積極財政路線も、市場の反応や財政への悪影響を受けて最終的には軌道修正されるのではないかという観測が「TACO観測」と呼ばれています。消費税減税の実現可能性に対する懐疑的な見方がその中心にあります。
円安一服の背景
日米当局の協調姿勢
2026年1月23日、ブルームバーグは米ニューヨーク連銀が民間銀行に対しレートチェックを実施したと報じました。レートチェックとは、中央銀行が市場参加者に為替レートの水準を問い合わせる行為で、実弾介入の前段階と位置づけられます。
ドル円相場は158.20円付近から155.60円付近へと約2.6円の急落を記録しました。日銀に続き米FRBもレートチェックに動いたことで、日米当局が協調して円安抑制に乗り出すとの見方が広がりました。160円が事実上の「防衛ライン」として強く意識されています。
高市政権の財政姿勢に「ブレ」
高市首相は「私の悲願」とまで語っていた消費税減税について、発言に曖昧さが目立ち始めています。東京新聞の報道によれば、食料品消費税ゼロの具体的な実施時期を明言せず、「国民会議」での議論に委ねる姿勢を示しています。
野村総合研究所(NRI)の分析では、食料品消費税をゼロにした場合、国と地方を合わせて約5兆円の税収減が発生すると試算されています。財政悪化への懸念が金融市場に広がる中、高市首相の姿勢変化は「TACO的な軌道修正」として受け止められています。
為替市場のテクニカル分析
チャート上の「分水嶺」
為替ディーラーの間では、ドル円相場がテクニカル的な分水嶺に差しかかっているとの見方が出ています。155円台への急落により、2025年秋以降の円安トレンドラインを下回る場面があり、チャート上で円高・ドル安が持続的に進む転換点となる可能性が意識されています。
複数の市場関係者からは「円安の終焉だろう」「転換点になるのではないか」との声が上がっています。
日米金利差の縮小見通し
マネックス証券のレポートによれば、2026年は日米金利差の縮小が円高への転換を招く可能性があります。米FRBの利下げ見通しと日銀の追加利上げ観測が重なることで、政策金利差は現在より0.75〜1.0%程度縮小する見通しです。
IG証券は1月26日週のドル円予想レンジを153〜158円とし、日米当局の協調による円安けん制姿勢を重視しています。
注意点・展望
積極財政の転換はまだ確定ではない
TACO観測はあくまで市場の一部で浮上している見方であり、高市政権が積極財政路線を正式に撤回したわけではありません。通常国会冒頭での衆院解散が取り沙汰される中、選挙戦では消費税減税を公約に掲げる可能性も残っています。
大和総研の試算では、高市政権が拡張的な財政運営を続けた場合、2034年度の純債務残高対GDP比が2024年度から20〜50%ポイント上昇するリスクがあると指摘されています。
選挙と為替の不透明な関係
2026年2月上中旬に実施される見通しの衆院総選挙の結果次第で、為替市場の方向性は大きく変わります。高市政権が安定した政治基盤を築ければ日銀の利上げがやりやすくなり、3月または4月の追加利上げの可能性が高まるとの見方もあります。
一方、与野党ともに消費税減税を競い合う展開になれば、財政悪化懸念から再び円安圧力が強まるシナリオも否定できません。
まとめ
高市政権発足以来の円安トレンドに、日米当局のレートチェック観測やTACO観測という新たな変数が加わり、為替市場は転換点を迎えつつあります。消費税減税をめぐる高市首相の姿勢変化、日米金利差の縮小見通し、そして衆院総選挙の行方が、今後の円相場を左右する重要な要因です。
為替相場に関心のある方は、2月の衆院選と日銀の金融政策決定会合の動向を注視することが重要です。TACOトレードの教訓が示すように、政治家の発言と実際の政策には乖離が生じることがあり、冷静な情報収集と判断が求められます。
参考資料:
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