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by nicoxz

円安156円台に下落、高市首相の為替発言が市場を動かす

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はじめに

2026年2月3日のニューヨーク外国為替市場で、円は対ドルで一時156円台まで下落しました。1月23日以来の円安水準であり、高市早苗首相が1月31日に行った為替に関する発言が「円安容認」と受け止められ、円売り・ドル買いの流れが続いています。

2月8日の衆院選を控え、為替市場は高市首相の発言と日本当局の介入姿勢を注視しています。本記事では、円安進行の背景と、日銀の金融政策、介入の可能性について解説します。

高市首相発言の衝撃

「円安は輸出産業にチャンス」

高市首相は1月31日の選挙演説で「今、円安は良くないと言われていますが、輸出産業にとっては大きなチャンスです」と発言しました。2月8日の衆院選を前にした遊説での発言であり、円安のメリットを強調する内容でした。

この発言を受け、円相場は週明けの月曜日に155円台後半まで下落。火曜日の朝には155.50円付近で推移し、1月23日以来の安値水準となりました。市場では、政府が円安是正のための介入に消極的になったとの見方が広がりました。

政府の火消し対応

発言後、高市首相は釈明を行いました。X(旧Twitter)への投稿で「円高が良い、円安が悪いとは言っていない」と強調。為替変動に耐えられる経済を作る必要性を訴えたに過ぎないと説明しました。

片山さつき財務大臣も「首相は円安のメリットを特に強調したわけではなく、弱い通貨が及ぼす影響について教科書的な説明をしただけだ」とフォロー。日米当局との緊密な連携を続けると表明しました。

介入観測と市場の反応

レートチェックの動き

1月23日には、日米当局が為替介入の準備段階とされる「レートチェック」を実施したとの報道がありました。ニューヨーク連邦準備銀行がドル円のレートチェックを行ったとされ、日米共同介入の可能性が一時取り沙汰されました。

しかし、米国のスコット・ベッセント財務長官はこの報道を否定し、「米国は強いドル政策を維持する」と再確認。共同介入の観測は後退しましたが、日本単独での介入の可能性については、トレーダーの間で警戒感が残っています。

介入水準への接近

過去の実績から、158〜160円の水準は介入警戒ゾーンとされています。2024年夏には、この水準付近で日銀が約1000億ドル規模の介入を実施しました。現在の156円台は介入水準に近づきつつあり、市場参加者は当局の動向を注視しています。

多くの日本の輸出企業は155円付近を「痛みの閾値」としており、これを超えるとコスト上昇が顕著になるとされています。当局も160円を超える動きを「過度」と見なしており、急激な円安進行には警戒姿勢を維持しています。

日銀の金融政策と今後の見通し

政策金利は0.75%で据え置き

日銀は2026年1月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に据え置きました。これは1995年9月以来の高水準であり、8対1の賛成多数での決定。田方肇審議委員のみが1%への利上げを提案しましたが、否決されました。

据え置きの背景には、2月8日の衆院選を控えた政治的配慮もあったとみられています。また、1月には日本国債市場が歴史的な急落を経験しており、追加利上げによる市場混乱を回避する狙いもあったと考えられます。

次回利上げは7月以降か

ロイターの調査によると、アナリストの多くは次回の利上げを7月と予想しています。75%以上が9月までに政策金利が1%以上に達すると見込んでいます。

State Streetのベースケースでは、2026年に1回、2027年に1回の利上げで、ターミナルレートは1.25%。ただし、円が160円を突破した場合、今年中に2回の利上げがあり得るとし、早ければ4月にも利上げが実施され、ターミナルレートは1.5%まで上昇する可能性を指摘しています。

注意点と今後の展望

選挙結果が政策の方向性を左右

2月8日の衆院選で自民党が議席を伸ばせば、高市首相の財政拡張路線が加速する可能性があります。消費税の食料品への適用停止など、大規模な景気刺激策が実行されれば、財政悪化懸念から円安圧力が強まることも考えられます。

一方で、選挙後に財政健全化への取り組みが示されれば、円相場の安定要因となり得ます。市場は選挙結果と、その後の政策発表を注視しています。

テクニカル分析の視点

テクニカル的には、ドル円は200日移動平均線(152.04円付近)を上回っており、上昇トレンドが継続しています。50日移動平均線は156.60円付近に位置しており、これを明確に上抜けた場合、61.8%フィボナッチ・リトレースメントと200期間SMAが重なる156.45円が次の焦点となります。

2026年通年では、ドル円は147.85〜159.40円のレンジで推移し、年間平均は153.24円と予想されています。

まとめ

円相場は高市首相の「円安はチャンス」発言を受け、156円台まで下落しました。政府は火消しに追われていますが、介入への消極姿勢と受け止められ、円安基調が続いています。

日銀は政策金利を0.75%に据え置いており、次回利上げは7月以降が有力視されています。2月8日の衆院選の結果と、その後の財政・金融政策の方向性が、今後の円相場を左右する重要なポイントとなります。為替市場に関わる方は、選挙動向と当局者発言に引き続き注意が必要です。

参考資料:

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