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by nicoxz

衆院選2026、東京の選挙区で候補者乱立が顕著に多党化の象徴

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はじめに

2026年1月27日公示、2月8日投開票の衆議院選挙で、東京の小選挙区における候補者の乱立が顕著になっています。与野党の公認候補が4人以上競う構図の選挙区が30選挙区中29に達し、5人以上でも半数を超える見通しです。

この状況は、日本政治の多党化と、政党間の選挙区調整が機能しなくなっている現実を映し出しています。首都・東京の浮動票をめぐり、各党が競うように候補者を擁立する構図が鮮明になってきました。

本記事では、東京の選挙区で進む候補者乱立の背景と、その影響について解説します。

東京で進む候補者乱立

5人以上の候補者が半数超

日本経済新聞が衆院選に公認候補を立てる予定の与野党10党について、1月23日時点の擁立状況をまとめたところ、東京30選挙区のうち29選挙区で政党候補者が4人以上競う構図となることが判明しました。5人以上の候補者が立つ選挙区も半数を超えています。

従来の小選挙区選挙では、与党候補と野党統一候補による「一騎打ち」あるいは「三つ巴」の構図が一般的でした。しかし今回は、多党化と政党間調整の減少により、選挙区によっては6人、7人もの候補者が乱立する事態となっています。

全国的な候補者数

時事通信の集計によると、第51回衆院選には約1,230人が出馬を予定しています。内訳は女性約300人で、前回2024年衆院選の1,344人を下回る見込みですが、依然として多くの候補者が名乗りを上げています。

各党の状況を見ると、自民党は約340人、中道改革連合は239人、日本維新の会は87人、国民民主党は57人(2次公認含む)が出馬を予定しています。

多党化の背景

政界再編の影響

2024年10月の前回衆院選で自由民主党が大敗し、1955年以来69年ぶりに第1党が200議席を割り込んだことが、今回の多党化の引き金となりました。

その後、2025年10月の自民党総裁選で高市早苗氏が勝利。しかし、公明党が連立政権から離脱し、日本維新の会が連立に参加するという大きな政界再編が起きました。一方、野党側では立憲民主党と公明党が合流して新党「中道改革連合」を結成しました。

こうした政界再編の結果、従来の「自公vs野党連合」という構図が崩れ、各党が独自に候補者を擁立する傾向が強まっています。

選挙区調整の機能不全

従来、野党間では選挙区調整(候補者の一本化)が行われ、与党候補に対抗する野党統一候補を立てる動きがありました。しかし今回は、野党間の調整がほとんど進んでいません。

立憲民主党と公明党は「中道改革連合」として合流しましたが、国民民主党、共産党、れいわ新選組などとの調整は行われていません。各党が独自に候補者を擁立した結果、同じ選挙区に複数の野党候補が立つ状況が生まれています。

与党側も同様で、自民党と維新の会は80超の選挙区で競合しています。連立を組んでいるにもかかわらず、候補者調整は限定的です。維新は自民候補108人を推薦していますが、競合する選挙区では独自候補を立てています。

東京が「戦場」となる理由

浮動票の存在

東京は全国でも有数の「浮動票」が多い地域です。特定の政党や候補者を一貫して支持するのではなく、その時々の状況で投票先を決める有権者が多いことが特徴です。

こうした浮動票を取り込むため、各党は東京に重点的に候補者を投入しています。知名度の高い候補者や新人候補を擁立し、メディア露出を増やすことで支持拡大を狙っています。

選挙区の特性

東京30選挙区は、都心部から郊外まで多様な地域特性を持っています。ビジネス街が中心の選挙区、住宅街が広がる選挙区、下町情緒が残る選挙区など、それぞれに異なる有権者層が存在します。

この多様性が、各党にとって「勝機あり」と映り、積極的な候補者擁立につながっています。特定の選挙区で強固な地盤を持つ候補者が少ないことも、新人候補の参入を促しています。

接戦区増加の可能性

票の分散効果

候補者が乱立すると、得票が分散します。小選挙区制では最多得票の候補者が当選するため、票の分散は予測困難な結果を生む可能性があります。

例えば、5人の候補者がいる選挙区で票が均等に分かれれば、20%台の得票でも当選する可能性があります。これは、組織票を持つ政党に有利に働く場合もあれば、無党派層の支持を集めた候補者が逆転勝利する場合もあります。

「漁夫の利」のシナリオ

野党候補同士が票を食い合った結果、与党候補が「漁夫の利」を得るシナリオも考えられます。逆に、与党内(自民と維新)の競合によって野党候補が浮上するケースもあり得ます。

多党乱立の状況では、選挙戦終盤の情勢変化が結果を大きく左右します。各党の戦略と有権者の動向を注視する必要があります。

主要政党の戦略

自民党・維新連立

自民党は全国で約340人を擁立し、小選挙区のほぼ全てに候補者を立てています。連立を組む維新との競合が80超の選挙区で発生していますが、「切磋琢磨」の姿勢で臨んでいます。

維新は87人が出馬を予定。自民候補108人を推薦する一方、都市部を中心に独自候補を擁立しています。大阪での圧倒的な強さを首都圏でも発揮できるかが課題です。

中道改革連合

立憲民主党と公明党が結成した「中道改革連合」は239人を擁立し、比較第1党を目指しています。公明党出身者は小選挙区からの立候補を見送り、比例代表に回っています。

焦点は、1選挙区1万〜2万票とされる公明票が、立民出身の候補にどの程度流れるかです。創価学会を支持母体とする公明党の組織票が、立民候補の勝利に貢献できるかが試されます。

その他の政党

国民民主党は57人を2次公認し、「年収の壁」問題などを訴えています。共産党、れいわ新選組、参政党、日本保守党なども独自に候補者を擁立しており、選挙区によっては6〜7人の候補者が競う状況が生まれています。

注意点・今後の展望

投票率への影響

候補者が多すぎると、有権者が「誰に投票すべきかわからない」と感じ、投票率が低下する可能性があります。一方で、多様な選択肢があることで政治への関心が高まり、投票率が上がる可能性もあります。

選挙結果の不透明さ

多党乱立の選挙では、事前の予測が難しくなります。従来の「与党vs野党」という単純な構図ではないため、世論調査の結果と実際の選挙結果が乖離する可能性もあります。

専門家の分析によれば、今回の選挙は「多極化したまま収束しない分散戦」であり、支持率と議席数が素直に連動しない選挙になると予想されています。

まとめ

2026年衆院選の東京選挙区では、5人以上の候補者が乱立する選挙区が半数を超える見通しです。この状況は、日本政治の多党化と政党間調整の機能不全を象徴しています。

浮動票の多い東京で、各党がしのぎを削る構図は、選挙結果を予測困難にしています。有権者一人ひとりが候補者の主張を吟味し、自らの判断で投票先を決めることが、かつてなく重要になっています。

参考資料:

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