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by nicoxz

東京建物がデータセンター事業参入、大阪に1000億円投資

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はじめに

東京建物がデータセンター(DC)事業に参入します。第1弾としてシンガポールの専門企業SCゼウス・データセンターと提携し、2028年までに大阪市内に大型施設を建設する計画です。総投資額は約1,000億円に上ります。

生成AI(人工知能)の普及でデータセンター需要が急増する中、従来オフィスや住宅を主力としてきた不動産デベロッパーが続々とDC事業に参入しています。東京建物の動きは、不動産業界の事業ポートフォリオ変革を象徴する出来事です。

東京建物のDC参入戦略

SCゼウスとの提携

パートナーとなるSCゼウス・データセンターは、シンガポールの投資会社SCキャピタル・パートナーズ(SCCP)傘下の企業です。2021年に創業し、アジア太平洋地域でハイパースケール・データセンターの企画・開発・運営を手がけています。

SCゼウスがDCの企画や設備の設計を担い、東京建物は不動産開発のノウハウや国内ネットワークを活かす分業体制となります。自社単独での参入ではなく、DC運営の専門知識を持つ海外パートナーと組むことで、事業リスクを抑えつつノウハウを吸収する狙いがあります。

大阪市内の好立地に建設

大阪市内で約4,000坪の用地を確保しており、大阪中心部のインターネットエクスチェンジやデータセンター群に近接する好立地です。施設は50メガワット規模のデータセンター2棟で構成され、第1フェーズの25メガワットは2027年に稼働を予定しています。

中期経営計画との整合性

東京建物は中期経営計画(2025〜2027年度)で、従来のオフィス・住宅中心の事業ポートフォリオから、商業施設、ホテル、物流施設などへアセットタイプを多様化する方針を掲げています。データセンター事業への参入はこの戦略の一環であり、成長市場への投資を加速させるものです。

急拡大するデータセンター市場

生成AIが需要を押し上げ

国内のデータセンター市場規模は2022年の2兆938億円から、2027年には4兆1,862億円へと約2倍に拡大する見通しです。年平均成長率(CAGR)は14.9%に達します。

この急拡大の最大の要因は生成AIの普及です。大規模言語モデル(LLM)の学習や推論処理には膨大な計算資源が必要であり、高性能GPUを大量に搭載したAIサーバーの設置需要が爆発的に増加しています。

国内データセンターのIT機器容量は、2023年末の2,021メガVAから2028年末には3,470.9メガVAへ、年平均11.4%のペースで拡大する見通しです。

電力消費の急増という課題

データセンターの拡大は電力消費の急増を伴います。世界のデータセンターの消費電力は2026年に2022年の約2倍に達する見込みです。日本国内でも2050年には2021年比で4割弱増えるとの予測があり、電力供給の確保が重要な課題となっています。

不動産デベロッパーの参入が加速

物流施設開発のノウハウを転用

不動産デベロッパーのDC市場参入は5〜6年前から顕著になっています。先行したのは物流施設の開発を得意とするGoodman、GLP、ESRなどの外資系企業です。Goodmanは2019年に千葉県印西市でGoogleのデータセンターを誘致した実績があります。

データセンターと物流施設は、大規模な床面積、高い電力容量、郊外立地といった共通点が多く、物流施設開発のノウハウが転用しやすい特徴があります。

大林組など建設会社も参入

不動産デベロッパーだけでなく、建設会社の参入も目立ちます。大林組は新会社を設立し、既存ビルをデータセンターに転換する都心開発に1,000億円を投じる計画を発表しています。

データセンターの建設ラッシュは特に関東と関西で顕著であり、国内外から30社近くがDCの開設・拡張を計画している状況です。

SCゼウスの資金力

SCゼウスの背後にはアブダビ投資庁(ADIA)からの最大20億ドル(約3,000億円)の出資があり、他の投資家を含めたファンド規模は30億ドルに達する見通しです。2030年までに首都圏および関西圏で合計200メガワットの開発を視野に入れています。

注意点・展望

過熱感への警戒

データセンター市場への資金流入は急速に拡大していますが、過熱感を指摘する声もあります。建設コストは2〜3年前の約2倍に上昇しており、用地確保と電力供給制約という二つの深刻な課題が存在します。需要が供給を大幅に上回る状況ではあるものの、中長期的な需給バランスの変化には注意が必要です。

日本市場の優位性

一方で、日本はDC建設地として高い優位性を持っています。北米・欧州・アジア各地域との接続の良さ、政治的安定性、光ファイバー敷設率の高さ、停電の少なさなどが評価されており、海外の投資マネーを引きつけ続けています。

東京建物の今後

東京建物にとって、DC事業が安定した収益源に育つかどうかは、SCゼウスとの協業による知見の蓄積と、テナント獲得の成否にかかっています。大阪の第1弾プロジェクトの成功が、今後の事業拡大の試金石となります。

まとめ

東京建物のデータセンター事業参入は、生成AI時代における不動産業界の事業転換を象徴する動きです。約1,000億円を投じた大阪の大型施設は、SCゼウスの専門ノウハウと東京建物の不動産開発力を組み合わせたプロジェクトとして注目されます。

データセンター市場は2027年に4兆円規模に拡大する見通しであり、成長余地は大きいものの、建設コストの高騰や電力確保といった課題も存在します。投資家や関連業界にとっては、個別企業の戦略と市場全体の動向を見極めることが重要です。

参考資料:

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