トランプ大統領「イラン抗議者に支援届く」、デモ継続促す
はじめに
トランプ米大統領は2026年1月13日、自身のSNSでイラン政府への抗議デモについて「イランの愛国者たちよ、抗議を続けよう」と呼びかけ、「もうすぐ支援が届く」と投稿しました。具体的な支援内容には触れていませんが、イラン政権への圧力を強める姿勢を鮮明にしています。
イランでは2025年末から反政府デモが全土に拡大し、人権団体によると544人以上が死亡しています。トランプ政権はイランとの貿易国に25%の関税を課すなど、強硬な制裁措置を次々と打ち出しています。
イランの抗議デモの現状
全土に拡大するデモ
2025年12月に発生したイランの抗議デモは、2026年1月9日までに全土に拡大しました。当初は長引く経済制裁下での生活苦への不満から始まりましたが、一部のデモ参加者はイスラム聖職者による指導体制そのものにも矛先を向けています。
人権団体のニュースサイトHRANAは1月11日、2025年末からの累計で544人が死亡したと報告しました。治安当局による鎮圧でデモ隊の被害は一段と拡大しています。
通信遮断と情報統制
イラン当局はデモの拡大を抑えるため、全土でインターネット接続を遮断しています。イーロン・マスク氏が率いるスペースXの衛星通信サービス「スターリンク」も妨害対象となっており、デモ参加者の情報共有や外部への発信が困難な状況です。
一方、ハメネイ最高指導者は「デモで喜ぶのは米国だ」と述べ、外国勢力の関与を示唆して国民の団結を呼びかけています。
トランプ政権の対応
抗議者への支援表明
トランプ大統領は1月13日の投稿で「イランの愛国者たちよ、抗議を続けよう。あなたたちの組織を乗っ取れ」と呼びかけました。「もうすぐ支援が届く」とも記しましたが、具体的な支援内容は明らかにしていません。
これに先立つ1月2日には「(イラン当局が)暴力的に殺害すれば米国は救出に駆けつける」と投稿しており、イラン政権への圧力を強めています。
イラン貿易国への25%関税
トランプ大統領は1月12日、「イランと取引する国は米国とのあらゆるビジネスに25%の関税を課す」とSNSに投稿しました。即時適用するとしており、イラン治安当局によるデモ鎮圧を受けた制裁措置と位置づけています。
この措置は、イランと経済関係を持つ国々に対する「二次制裁」の性格を持ち、イランの国際的な孤立を深めることを狙っています。
軍事介入の示唆
トランプ大統領は1月11日、「非常に強力な選択肢を検討している」と述べました。米メディアによると、サイバー攻撃や追加の経済制裁に加え、軍事攻撃も選択肢として浮上しているとされています。
1月5日にも「イラン政府がデモ隊に弾圧を加えれば米国が軍事攻撃を行う可能性」を示唆しており、強硬姿勢を一貫して維持しています。
デモの特徴と背景
過去の抗議運動との違い
フォーリン・ポリシー誌の分析によると、今回の抗議運動は2022年の「マフサ・アミニ抗議運動」とは異なる特徴を持っています。大都市だけでなく小都市にも広がり、学生、労働者、女性、少数民族など幅広い層が参加しています。
経済的な不満を起点としながらも、体制そのものへの批判に発展している点が注目されます。
経済制裁の影響
イランは米国を中心とする経済制裁を長年受けており、通貨リアルの下落やインフレ、失業率の高止まりに苦しんでいます。国民の生活水準は悪化し続けており、特に若年層の不満が高まっています。
今回のデモの直接的なきっかけも経済苦境への抗議でしたが、長年の鬱積した不満が一気に噴出した形です。
今後の展望
米イラン関係の緊張激化
トランプ政権のイランに対する強硬姿勢は、両国関係の緊張をさらに高める可能性があります。軍事介入が実行されれば、中東地域全体の不安定化につながりかねません。
一方、経済制裁の強化がイラン国内のデモをどこまで後押しできるかは不透明です。過去の制裁も体制変革には至っておらず、効果は限定的との見方もあります。
地域への波及
イランの不安定化は、周辺国にも影響を及ぼす可能性があります。イランが支援するヒズボラやイエメンのフーシ派などの武装組織の動向も注視が必要です。
国際社会はイランの人権状況を懸念しつつ、地域の安定維持との間で難しい判断を迫られています。
まとめ
トランプ大統領はイランの反政府デモ参加者への支援を表明し、デモ継続を呼びかけています。イラン貿易国への25%関税や軍事介入の示唆など、強硬姿勢を次々と打ち出しています。
イランでは544人以上が死亡する深刻な状況が続いており、米イラン関係の緊張激化が懸念されます。今後の展開は中東地域全体の安定に影響を及ぼす可能性があり、国際社会の注目が集まっています。
参考資料:
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