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by nicoxz

トランプ・ゼレンスキー会談、和平実現へ詰めの協議

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はじめに

トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は2026年1月22日、スイス東部のダボスで会談しました。トランプ大統領は和平実現に「かなり近づいている」と述べ、ウクライナが求める戦闘終結後の「安全の保証」の詳細について協議が行われました。

同日、米国のウィトコフ中東担当特使はモスクワでプーチン大統領と会談し、「大きな前進があった」と発言しました。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は間もなく4年を迎えます。和平に向けた動きが加速する中、本記事ではその最新動向と課題を解説します。

ダボス会談の概要

両首脳の対面は12月以来

トランプ・ゼレンスキー両大統領の対面会談は、2025年12月28日に米南部フロリダ州のトランプ氏私邸で行って以来のことです。当初は1月21日に会談予定でしたが、ロシアによるキーウへのミサイル攻撃でエネルギーインフラが壊滅的な被害を受け、ゼレンスキー氏がダボス行きを見合わせていました。

ダボスで開催されている世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)は「対話の力」をテーマに19日に開幕し、地政学的な緊張の高まりやAIの安全な活用といった課題を議論しています。

協議の焦点

今回の会談では、策定中の20項目の和平案のほか、ロシアとの戦闘終結後の「安全の保証」や復興計画で進展があるかどうかが焦点でした。トランプ大統領は21日、訪問先のダボスで「ロシアとウクライナは合意しなくてはならない。あまりにも多くの人が亡くなっている」と述べていました。

ウクライナの「安全の保証」とは

NATO加盟断念の可能性

ゼレンスキー大統領は2025年12月14日、停戦後の再侵攻を防ぐための確固とした「安全の保証」があれば、北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念する用意があると表明しました。これは大きな譲歩とみられています。

当初ウクライナはNATO加盟を求めていましたが、トランプ政権の意向もあり、米国が参加する欧州有志国連合による安全保証へと要求を変更しています。トランプ大統領は、ウクライナのNATO加盟は「非現実的」との見解を示しています。

4つの文書を協議中

現在、米国とウクライナは以下の4つの文書について協議を進めています。

  1. 20項目の和平案
  2. 米欧による多国間の安全の保証の枠組み
  3. 米国による2国間の安全の保証の枠組み
  4. 復興計画

2025年12月15日には、米国、ウクライナ、欧州諸国が修正案の内容を確認し、停戦後の再侵攻を防ぐ「安全の保証」に関して、米国を中心とした停戦監視の仕組みや欧州主導の多国籍部隊をつくる方針を固めました。

トランプ政権の和平アプローチ

ウィトコフ特使の役割

トランプ政権の対ロ交渉で存在感を高めているのが、スティーブン・ウィトコフ中東担当特使です。トランプ大統領の40年来の友人で、同氏と同じ「不動産王」として知られています。

ウィトコフ氏は1月22日、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏とともにモスクワを訪問し、プーチン大統領と会談しました。ダボスでの取材に対し「この6〜8週間で大きな進展があった」と語り、懸案となってきた「土地取引」をめぐって「非常に良い案があり、進展が期待できる」と述べました。

ディール重視の交渉スタイル

トランプ政権の基本理念は、ディール(取引)を重視する権力政治です。安全の保証については、欧州主導でなされるべきとして、米軍の直接関与には消極的な姿勢を示しています。

2025年11月には、ウクライナ東部2州のロシアへの割譲やウクライナの保有軍備の制限など、ロシアに有利な28項目の和平案を提示したこともありました。これに対して米議会と欧州首脳が危機感を募らせ、ルビオ国務長官を通じた妥協案の作成につながりました。

欧州の対応と課題

パリでの緊急首脳会議

2025年2月17日、フランスのマクロン大統領が英独など欧州8カ国の首脳らを招集してパリで緊急会議を開きました。各国は停戦実現後にロシアの再侵略を防ぐため、欧州がウクライナへの「安全の保証」提供で主体的な役割を果たす方針で一致しました。

ただし、戦闘終結後のウクライナへの派兵に関しては意見が分かれており、欧州内での調整が課題となっています。

米国の関与が焦点

ゼレンスキー大統領にとって、米ロの接近でトランプ政権が仲介する和平が「ロシア寄り」にならないよう布石を打つことが重要な課題です。欧州主導の安全保証だけでは抑止力として不十分との懸念があり、米国の何らかの関与を確保することが焦点となっています。

今後の見通しと注意点

領土問題が最大の難関

前回のフロリダ会談では、最大の焦点であるウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク州とルハンスク州)の領土問題で合意に至りませんでした。ロシアが占領地域の割譲を求める一方、ウクライナは領土保全を主張しており、この溝を埋めることが和平実現の最大の課題です。

ウィトコフ氏が言及した「土地取引」の詳細は明らかになっていませんが、何らかの妥協案が模索されているとみられます。

戦争は5年目に突入

ロシア・ウクライナ戦争は2026年2月に5年目に突入します。これは第1次世界大戦より長く、約6年余りにわたった第2次大戦に次ぐ長い戦争となっています。人的・経済的な被害は甚大であり、早期の停戦が望まれています。

ロシアの姿勢

プーチン大統領はこれまで、ウクライナ交渉で基本的な立場を譲らない姿勢を示してきました。また「欧州と戦争する準備はできている」と警告を発するなど、強硬な態度を崩していません。ウィトコフ氏との会談で「大きな進展」があったとされますが、ロシア側の実際の譲歩がどこまであるかは不透明です。

まとめ

トランプ・ゼレンスキー会談はダボスで行われ、和平実現に向けた詰めの協議が進んでいます。ウクライナはNATO加盟を断念する代わりに、米国を含む確固とした「安全の保証」を求めています。

同時にウィトコフ特使がモスクワでプーチン大統領と会談し、「大きな進展があった」と報告しました。領土問題という最大の難関が残っていますが、トランプ政権のディール重視の外交が和平をもたらすか、今後の展開が注目されます。

参考資料:

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