ウクライナ・ロシア・米国が初の三者協議 和平へ一歩前進
はじめに
2026年1月24日、ウクライナ情勢をめぐる歴史的な転換点が訪れました。ウクライナ、ロシア、米国の3カ国当局者がアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに集まり、2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始以来、初めてとなる三者協議を実施したのです。
ウクライナのゼレンスキー大統領は協議について「建設的だった」とSNSに投稿し、来週にも改めて協議を実施する可能性があると表明しました。約4年にわたる紛争の終結に向けた動きが加速しています。
本記事では、今回の三者協議の内容と、今後の和平プロセスの見通しについて解説します。
歴史的な三者協議の実現
協議の経緯
トランプ米大統領の就任後、ウクライナ和平に向けた外交努力が急速に進展しています。2025年12月には、ベルリンでゼレンスキー大統領とトランプ大統領の特使であるスティーブ・ウィトコフ氏、娘婿のジャレッド・クシュナー氏との間で5時間にわたる協議が行われました。
その後、2026年1月22日にはウィトコフ特使らがモスクワでプーチン大統領と会談。この一連の外交活動を経て、24日の三者協議が実現しました。
協議の雰囲気
2日間にわたる協議の後、各国は前向きな反応を示しています。ウクライナ側は「建設的だった」と評価し、米国も雰囲気は「非常に前向きだった」と発表しました。ゼレンスキー大統領は、ウクライナは次回協議に参加する用意があると表明しています。
次回協議は2月1日、再びアブダビで開催される予定です。
最大の焦点:ドンバス地域の領土問題
ロシアの要求
今回の協議で最大の焦点となったのは、ウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク州、ルハンスク州)をめぐる領土問題です。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナがドンバス地方から撤退する必要があるとの立場を繰り返し表明しています。1月22日のモスクワでの会談後も、ロシア大統領府はこの要求が依然として有効であると述べました。
ウクライナの立場
一方、ウクライナはドンバス地域の割譲を明確に拒否しています。ゼレンスキー大統領は「最も公正な選択肢は『現状維持』だ。これは停戦だからだ」と主張し、米国にこの立場を支持してほしいと訴えています。
現在、ウクライナはドンバス地域の約20%を依然として支配しており、この地域の放棄は受け入れられないとの姿勢を堅持しています。
ドンバス地方の戦略的重要性
ドンバス地方は、かつてウクライナの工業の中心地でした。この地域には、ウクライナ防衛の要となる工業都市、鉄道、道路からなる「要塞地帯」が存在します。
ウクライナは長年にわたりこの地域の防備を固めてきました。ここを失えば、ウクライナ東部の他地域が無防備な状態となる恐れがあり、安全保障上の観点からも容易に妥協できない問題となっています。
和平案の進展と課題
修正和平案の作成
24日の協議では、米国がトランプ大統領主導で作成した和平案について議論が行われました。ウクライナ政府高官によると、米ウクライナ間で条件を見直した修正案が作成されたとのことです。
詳細は明らかになっていませんが、兵力の制限などでウクライナの主権に配慮した内容になっているとみられます。ただし、領土のロシアへの割譲については、結論が米ウクライナ首脳協議に持ち越されました。
安全保障の枠組み
領土問題と並んで重要なのが、ウクライナの安全保障をどう確保するかという問題です。米欧は、NATO条約第5条(集団防衛義務)に類似した内容を含む安全保障の枠組みを検討しています。
ゼレンスキー大統領は、相応の安全保障が得られれば、NATO加盟を断念する用意があると表明しています。ただし、その保証が十分なものでなければ、ロシアによる再侵攻のリスクが残ります。
協議中の4文書
現在、米国とウクライナは以下の4文書について協議を進めています。
- 20項目の和平案
- 米欧による多国間の安全保障の枠組み
- 米国による2国間の安全保障の枠組み
- ウクライナの復興計画
これらの文書がまとまれば、ロシア側に正式に提示されることになりますが、ロシアがそのまま受け入れる可能性は低く、大幅な修正を求めるとみられています。
今後の見通しと注意点
楽観できない現実
協議が「建設的」だったとはいえ、楽観視はできません。領土問題という最も困難な課題は未解決のままです。ロシアは依然としてドンバス地域の完全な支配を要求しており、ウクライナはこれを拒否しています。
この溝を埋めるには、さらなる交渉と妥協が必要です。2月1日の次回協議で進展があるかどうかが注目されます。
各国の思惑
トランプ大統領は、就任後早期にウクライナ紛争を終結させるという公約を掲げています。そのため、米国は積極的に仲介役を務めていますが、両国の立場の隔たりは依然として大きいです。
ウクライナは領土を守りつつ、将来的な安全保障を確保したいと考えています。一方、ロシアは軍事的に獲得した地域の支配を正当化したいと考えており、この根本的な対立の解消は容易ではありません。
欧州の役割
今回の協議は米国主導で進められていますが、欧州諸国の関与も重要です。ウクライナの安全保障には欧州の協力が不可欠であり、和平案の実効性を高めるためにも、欧州との連携が求められます。
まとめ
2026年1月24日の三者協議は、約4年にわたるウクライナ紛争の終結に向けた重要な一歩となりました。ウクライナ、ロシア、米国の当局者が初めて一堂に会し、和平案について直接協議したことの意義は大きいです。
ただし、ドンバス地域の領土問題という最大の懸案は未解決のままです。2月1日に予定されている次回協議で、この問題にどのような進展があるかが注目されます。
和平実現への道のりは依然として険しいものの、対話の糸口が開かれたことは確かです。今後の交渉の行方を注視していく必要があります。
参考資料:
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