Research

Research

by nicoxz

米国防戦略、同盟国にGDP比5%の国防費を要求

by nicoxz
URLをコピーしました

はじめに

米国防総省は2026年1月23日、第2次トランプ政権で初となる国家防衛戦略(NDS)を発表しました。その中で、日本を含む全ての同盟国に対し、国防費を国内総生産(GDP)比5%以上に引き上げるよう求める方針が明記されました。

防衛費のGDP比5%という数値が米国の公式文書に記載されたのは初めてです。2025年6月にNATOが合意した目標を「新たな国際標準」として、同盟国に大幅な負担増を迫る内容となっています。

国家防衛戦略の概要

最優先事項

今回の国家防衛戦略では、以下の3点が最優先事項として掲げられました。

第一に、インド太平洋地域における中国の軍事行動の抑止です。第二に、西半球を含めた「本土防衛」の強化です。第三に、同盟国・パートナー国の負担強化です。

特に同盟国の負担強化については、従来の戦略よりも踏み込んだ内容となっています。

台湾への言及なし

注目すべきは、今回の国家防衛戦略では台湾について言及されていない点です。バイデン前政権下では台湾海峡の平和と安定が強調されていましたが、今回の文書ではこうした記述が見られません。

中国への対処を最優先としながらも、台湾問題への直接的な言及を避けた形となっています。

GDP比5%の根拠

NATOハーグ・サミットの合意

GDP比5%という数値は、2025年6月25日にNATO加盟国がハーグで開催した首脳会議で合意された目標に基づいています。この会議では、防衛費を現行の対GDP比2%から5%に引き上げることが決定されました。

具体的には、3.5%をNATOが定義する「防衛費」に、1.5%を広義の安全保障関連支出に充てるという構成です。達成期限は2035年とされています。

従来目標からの大幅引き上げ

NATOの従来の目標はGDP比2%でしたが、今回の合意で一気に2.5倍の5%に引き上げられました。欧州諸国にとっては大きな負担増となりますが、トランプ大統領の強い要求を受けて合意に至りました。

米国は自国の防衛費をGDP比で約3.4%支出しており、同盟国にも応分の負担を求める姿勢を強めています。

同盟国への要求

「模範的な同盟国」への優遇

国家防衛戦略では、「模範的な同盟国」には武器売却や情報共有などで優先的に処遇すると明記されました。防衛費の引き上げに積極的に取り組む国は、米国との安全保障協力でメリットを得られることを示しています。

逆に言えば、防衛費の引き上げに消極的な国は、米国からの支援において後回しにされる可能性があります。

ヘグセス国防長官の発言

ヘグセス米国防長官は2025年12月の演説で、日本などのアジアの同盟国に対しても数年以内にGDP比5%まで国防費を引き上げる目標を導入するよう求めました。「NATOはできた」として、アジアの同盟国にも同様の取り組みを促しています。

日本への影響

現状の防衛費

日本の2024年度の防衛費は約7.9兆円で、GDP比では約1.5%程度です。政府は2027年度までにGDP比2%を目指す方針を示していますが、5%という数値はこれを大きく上回ります。

仮にGDP比5%を達成しようとすれば、防衛費は現在の3倍以上となる約25兆円規模に膨らむ計算になります。

専門家の見方

専門家からは、日本も10年後までに対GDP比3.5%という目標を検討すべきとの意見も出ています。欧州諸国や台湾、韓国が防衛費増額を打ち出している中、日本だけが低い水準にとどまることは難しいとの見方です。

一方で、財政制約がある中で防衛費を大幅に増やすことの難しさも指摘されています。

各国の対応

欧州諸国

NATO加盟国は2035年までに5%目標の達成を約束しましたが、実現には大きな課題があります。ドイツやフランスなど主要国でも、現在の防衛費はGDP比2%前後にとどまっており、財政的な制約から急激な増額は困難との見方もあります。

アジア諸国

韓国は防衛費をGDP比3.5%に増額する方針を示しています。台湾も5%を目標とするなど、アジア太平洋地域でも防衛費増額の動きが広がっています。

日本がこうした動きに追随するかどうかが注目されています。

注意点・展望

財政への影響

防衛費の大幅増額は、日本の財政に大きな影響を与えます。社会保障費や教育費など他の予算を圧迫する可能性があり、国民的な議論が必要です。

また、防衛費を増やしても、それを効果的に使える体制が整っていなければ意味がありません。装備の調達だけでなく、人員の確保や訓練の充実なども課題となります。

米国との交渉

トランプ政権の要求に対し、日本がどこまで応じるかは今後の日米交渉次第です。単純に数値目標を受け入れるのではなく、日本の安全保障環境や財政状況を踏まえた現実的な対応を模索する必要があるでしょう。

同時に、防衛費以外の面での日本の貢献をアピールすることも重要です。在日米軍への支援や、インド太平洋地域での外交的役割など、金額だけでは測れない貢献もあります。

まとめ

第2次トランプ政権の国家防衛戦略は、同盟国に対してGDP比5%という高い防衛費目標を求める内容となりました。NATOの合意を「新たな国際標準」として、日本を含むアジアの同盟国にも同様の負担を求める姿勢が明確になっています。

日本にとっては、防衛費を現状の3倍以上に増やすことは容易ではありません。財政制約との兼ね合いの中で、どのような対応を取るかが今後の日米関係の重要な焦点となるでしょう。

参考資料:

関連記事

最新ニュース