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by nicoxz

米国家防衛戦略、同盟国にGDP比5%の国防費を要求

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はじめに

2026年1月23日、米国防総省は第2次トランプ政権として初めての国家防衛戦略(National Defense Strategy、NDS)を発表しました。この34ページの文書は、米国の安全保障政策の根幹を示すものです。

今回のNDSの特徴は、本土防衛を最優先課題として位置づけたこと、そして日本を含むすべての同盟国に対し、国防費をGDP比5%まで引き上げるよう求めた点にあります。これは従来の戦略からの大きな転換を意味し、日本の防衛政策にも大きな影響を与える可能性があります。

国家防衛戦略(NDS)の概要

4つの優先事項

2026年のNDSは、以下の4つを主要な取り組みとして掲げています。

  1. 米国本土の防衛
  2. インド太平洋地域における中国の抑止
  3. 同盟国・パートナーとの負担分担強化
  4. 米国防衛産業基盤の活性化

注目すべきは、従来の戦略で最優先とされていた「中国との大国間競争」から、「本土防衛」へと優先順位が変更された点です。

本土防衛の重視

NDSは、本土防衛を最優先課題として明確に位置づけています。具体的には以下の項目が含まれます。

  • 国境の安全確保
  • 麻薬テロリストへの対処
  • 西半球における重要拠点の防護(パナマ運河、グリーンランドを含む)
  • 「ゴールデンドーム」ミサイル防衛システムの整備
  • ドローン対策
  • 核戦力の近代化
  • サイバー防護
  • 持続可能な対テロ作戦

これは「トランプ系モンロー主義」とも呼ばれ、西半球における米国の優位性を確保する姿勢を示しています。

中国への対応

「抑止」であって「対決」ではない

今回のNDSは、中国に対するアプローチを従来から変化させています。バイデン政権が中国を最大の敵対勢力と位置づけていたのに対し、トランプ政権のNDSは「対決ではなく、強さによる抑止」を掲げています。

文書には以下のような記述があります。

「我々の目標は中国を支配することでも、締め上げることでも、屈辱を与えることでもない。むしろ、我々の目標は単純明快である。中国を含む誰もが、我々や同盟国を支配できないようにすること、つまりインド太平洋地域における勢力均衡を維持し、すべての国が穏やかな平和を享受できる軍事的条件を整えることだ」

台湾への言及なし

注目すべきは、この戦略文書に台湾への言及がないことです。中国が自国領土と主張し、必要であれば武力行使も辞さないとしている台湾について、米国がどのような姿勢を取るのか、明確な記述がありません。

一方で、人民解放軍との軍事対話を拡大する意向が示されており、戦略的安定を重視する姿勢がうかがえます。

同盟国への要求

GDP比5%という新基準

NDSは、同盟国に対して国防費をGDP比5%まで引き上げることを求めています。この5%の内訳は以下の通りです。

  • 3.5%:中核的な軍事支出
  • 1.5%:安全保障関連支出

これは従来のNATO基準である2%を大幅に上回る水準であり、すべての同盟国・パートナーに対してこの基準達成を求めています。

NATO加盟国の合意

2025年6月25日、NATO加盟国はオランダ・ハーグでの首脳会議で、防衛費をGDP比5%に引き上げる新目標に合意しました。ルッテNATO事務総長は「抑止と防衛にとって構造的な転換点となる」と述べ、トランプ大統領も「歴史的な合意」と評価しました。

同盟国への警告

ヘグセス国防長官は2025年12月の演説で、「役割を果たさない同盟国は厳しい結果に直面することになる」と警告しています。これは、負担分担を怠る同盟国に対しては、米国からの支援が縮小される可能性を示唆するものです。

NDS文書にも「米軍が本土防衛とインド太平洋に集中する中、欧州やその他の地域の同盟国・パートナーは、米軍からの重要だがより限定的な支援の下、自国防衛に主要な責任を負うことになる」と明記されています。

日本への影響

米国からの増額要求

日本を含むアジア太平洋の同盟国に対しても、GDP比5%への増額が求められています。国防総省のパーネル報道官は「中国の大規模な軍事力増強、北朝鮮の核・ミサイル開発を考慮すると、アジア太平洋地域の同盟国が欧州の水準に迅速に追いつくべきなのは当然だ」と述べました。

日本政府の対応

日本政府は、米国からの要求に対して慎重な姿勢を示しています。石破首相は参院予算委員会で「日本の防衛費は日本が決める」と述べ、「最初から何%ありきというような粗雑な議論をするつもりはない」と表明しました。

現行の防衛3文書では、2027年度までに防衛費をGDP比2%に引き上げる目標が設定されています。ただし、石破首相は「必要であれば2%を超えることはある」との見解も示しています。

財政面の課題

仮に日本がGDP比3.5%(関連支出を含めて5%)まで防衛費を引き上げた場合、三菱総合研究所の試算によると、約9.2兆円の追加予算が必要となります。国民一人当たりの追加負担額は約7.7万円と試算されています。

さらに、現行の防衛費増強計画でも、最終年度に1兆円強を増税で賄う予定でしたが、少数与党となった現政権下では増税策が宙に浮いている状況です。

注意点・今後の展望

同盟関係の変質

今回のNDSは、米国が同盟国への支援を「重要だがより限定的」なものにする方針を明確にしています。これは、冷戦期以来の米国主導の安全保障体制からの転換を意味する可能性があります。

日本の対応の難しさ

日本は、米国との同盟関係を維持しながらも、財政的制約の中で防衛費増額にどう対応するかという難しい選択を迫られています。GDP比5%という要求をそのまま受け入れることは現実的に困難であり、何をもって「応分の負担」とするかの議論が必要です。

地域情勢への影響

米国が本土防衛を優先し、インド太平洋への関与が相対的に低下する場合、地域の安全保障環境に変化が生じる可能性があります。日本としては、自主防衛力の強化と同盟関係のバランスを慎重に検討する必要があります。

まとめ

第2次トランプ政権が発表した国家防衛戦略(NDS)は、本土防衛を最優先とし、同盟国にGDP比5%の国防費を求める内容となりました。これは従来の米国の安全保障戦略からの大きな転換です。

日本を含む同盟国は、増大する防衛費負担にどう対応するかという課題に直面しています。米国との同盟関係を維持しつつ、現実的な防衛力整備を進めるバランスが求められます。

今後、日米間でどのような協議が行われ、日本の防衛政策にどのような影響が出るのか、注視が必要です。

参考資料:

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