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by nicoxz

米国株決算で進むセクターローテーション、IT以外に広がる投資機会

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はじめに

2026年1月、米国株式市場は歴史的な転換点を迎えています。S&P500指数が初めて7,000ポイントを突破する中、これまで相場を牽引してきたIT大手「マグニフィセント・セブン」から、素材・資本財・消費財といった幅広いセクターへと資金が流れる「セクターローテーション」が鮮明になっています。

この動きの背景には、トランプ政権による大型減税法案「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」の成立や、AIデータセンター建設に伴う設備投資の急拡大があります。本記事では、2026年の米国決算シーズンで注目すべきセクターと、物色対象の広がりがもたらす投資機会について詳しく解説します。

2026年決算シーズンの全体像

S&P500は15%の増益予想

ファクトセットの集計によると、2026年のS&P500構成企業の利益成長率は前年比15.0%と予想されています。これは過去10年平均の8.6%を大きく上回る水準で、実現すれば6年連続の増益かつ3年連続の2ケタ成長となります。

注目すべきは、S&P500を構成する全11セクターで増益が見込まれている点です。2018年以来初めて、すべてのセクターが同時にプラス成長を達成する見通しとなっており、市場の裾野が大きく広がっています。

IT株への集中から分散へ

2024年後半までは、マグニフィセント・セブン(Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Alphabet、Meta、Tesla)と「S&P493」(残りの493銘柄)の利益成長率には約30ポイントもの差がありました。しかし2026年には、マグニフィセント・セブンの成長率が22.7%である一方、S&P493は12.5〜15%へと加速しており、その差は7ポイント程度まで縮小しています。

この「利益成長率の収斂」が、セクターローテーションを加速させる最大の要因となっています。

セクター別の注目ポイント

素材セクター:20%超の増益期待

素材セクターは2026年に約20.3%の増益が見込まれており、最も高い成長率が期待されるセクターの一つです。

AIデータセンターの建設ラッシュが、鉄鋼・アルミニウム・銅などの需要を押し上げています。また、エネルギー転換に伴う送電網のアップグレードや再生可能エネルギー関連設備の増設も、素材需要を下支えしています。

2026年1月の株式市場では、素材セクターは年初から約9%上昇しており、同期間で0.4%下落したテクノロジーセクターを大きくアウトパフォームしています。

資本財・工業セクター:11%成長の見通し

資本財・工業(インダストリアル)セクターは約11.1%の増益が予想されています。景気拡大期には企業の設備投資意欲が高まり、工場建設や機械購入、航空輸送・物流需要が増加する傾向があります。

特にAI関連では、データセンターの電力需要が急増しており、国際エネルギー機関(IEA)の予測では、データセンターの電力消費量は2022年の460テラワット時から2026年には800テラワット時へと約1.7倍に拡大する見通しです。これに伴い、発電設備や送電インフラへの投資も活発化しています。

米国のデータセンター投資は5年前と比較して約4.5倍に拡大しており、建設支出全体の5.6%を占めるまでになっています。

消費財セクター:回復の兆し

一般消費財(Consumer Discretionary)セクターは2025年にS&P500をアンダーパフォームしましたが、2026年に入って回復の兆しを見せています。AmazonやTeslaなどの大手企業を含むこのセクターでは、約11.5%の増益が予想されています。

ただし、低所得層を中心に消費者ストレスの兆候も見られるため、銘柄選別が重要になります。

減税策が企業業績を押し上げる構図

One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)の影響

2025年7月に成立したOBBBAは、2017年の税制改革法以来最大の減税法案です。Tax Foundationの分析によると、2026年にC法人全体で約1,372億ドルの税負担軽減効果が見込まれています。

特に恩恵を受けるのは製造業です。OBBBAは国内での有形資産生産を促進する目的で設計されており、製造業、情報産業、鉱業が最も大きな減税メリットを享受する見通しです。

設備投資の即時償却が復活

OBBBAの重要なポイントの一つが、100%ボーナス償却の復活です。現行法では設備投資の即時償却率は60%に制限され、2027年には0%まで段階的に引き下げられる予定でした。しかし新法により、機械設備や建物改良への投資を100%即時償却できるようになり、製造業の設備投資を後押ししています。

通信大手AT&Tは、新税制により2025年の現金税負担が15〜20億ドル軽減される見通しを発表しており、企業業績への具体的な好影響が明らかになりつつあります。

AIインフラ投資が循環セクターを押し上げる

ビッグテックの設備投資拡大

Meta、Microsoft、Alphabetの3社は、2026年の設備投資が2025年を大幅に上回ると表明しています。特にMetaのAIデータセンター投資は総額数千億ドル規模に達するとされ、オハイオ州の大型施設「Prometheus」は2026年に稼働開始予定です。

OpenAIも、Broadcomとの提携により2026年後半から2029年末にかけてAI向け半導体とネットワーク機器の開発を進める計画を発表しています。

半導体市場の急成長

世界半導体貿易統計(WSTS)によると、2026年の世界半導体市場は9,755億ドルに達する見通しで、2025年の7,722億ドルから約26.3%の成長が予想されています。米国市場だけでも3,386億ドルと、前年比34.4%の高成長が見込まれています。

この半導体需要の急拡大は、製造装置メーカーや素材サプライヤー、電力・冷却システム関連企業など、サプライチェーン全体に恩恵をもたらしています。

注意点と今後の展望

バリュエーションの二極化に注意

マグニフィセント・セブンの時価総額はピークアウトの兆候を見せている一方、循環セクターには出遅れ修正の余地があります。ただし、過度な期待からの巻き戻しリスクには注意が必要です。

また、減税の効果についても、2017年の税制改革時には企業が新規投資よりも自社株買いに資金を振り向けた経緯があり、今回も同様のパターンが繰り返される可能性は否定できません。

金融政策と経済環境

2026年の米国経済は「ゴルディロックス(適温経済)」環境が続くと予想されています。市場では、政策金利が年末までに3.00〜3.25%程度まで引き下げられるとの見方が大勢です。景気拡大と利下げの組み合わせは、金利敏感な循環セクターにとって追い風となります。

中間選挙年の株価変動

2026年は米国の中間選挙年にあたり、歴史的に株価のボラティリティが高まりやすい傾向があります。分散投資と押し目買いを基本戦略とし、過度なポジション集中は避けることが賢明です。

まとめ

2026年の米国決算シーズンでは、IT株一強の構図から、素材・資本財・消費財といった幅広いセクターへの資金シフトが進んでいます。この「グレート・ローテーション」を支えているのは、全セクターでの増益期待、OBBBAによる減税効果、そしてAIインフラ投資の急拡大です。

投資家にとっては、マグニフィセント・セブン以外にも目を向け、物色対象を広げる好機といえます。ただし、中間選挙年特有の変動リスクや、減税効果の持続性には引き続き注意が必要です。セクター分散を意識しながら、個別企業の業績動向を丁寧に見極めていくことが求められます。

参考資料:

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