銀行株が軒並み上昇、日銀の利上げ継続期待で買い集まる
はじめに
2026年1月23日の東京株式市場で、銀行株が軒並み上昇しました。業種別日経平均「銀行」は前日比1.7%高となり、全36業種の中で上昇率が2番目に高い結果となりました。
この上昇の背景には、日銀が同日開催した金融政策決定会合で2026年度の経済成長率や物価上昇率の見通しを引き上げたことがあります。早期の利上げが銀行の利ざや改善につながるとの期待が広がり、買いが集まりました。
日銀金融政策決定会合の結果
政策金利は据え置き
日銀は1月22〜23日に金融政策決定会合を開催し、政策金利を0.75%で維持することを8対1の賛成多数で決定しました。2025年12月に利上げを実施したばかりであり、当面は国内経済・物価への影響を見極める方針です。
高田創審議委員のみが利上げを求めましたが、否決されました。2月の総選挙を控えた中での決定となり、慎重な姿勢が示されました。
展望レポートの上方修正
注目されたのは、経済・物価情勢の展望(展望レポート)における見通しの上方修正です。
実質GDP成長率の見通し
- 2025年度:+0.9%(前回+0.7%)
- 2026年度:+1.0%(前回+0.7%)
- 2027年度:+0.8%(前回+1.0%)
消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通し
- 2025年度:+2.7%(前回+2.7%)
- 2026年度:+2.0%(前回+1.9%)
- 2027年度:+2.0%(前回+2.0%)
2026年度の物価上昇率見通しが2.0%に達したことは、政府・日銀が目標とする物価2%が持続的に達成されるとの見方を示しています。
今後の金融政策運営
日銀は、経済・物価の見通しが実現していけば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との方針を維持しました。これは追加利上げの可能性を示唆するもので、市場では2026年中にさらなる利上げがあるとの見方が広がっています。
銀行株上昇の要因
利ざや改善への期待
金利上昇局面では、銀行の利ざや(貸出金利と預金金利の差)が改善する傾向があります。長期金利の上昇により貸出金利が上がる一方、預金金利の引き上げは相対的に遅れるためです。
日銀が利上げ継続姿勢を維持したことで、銀行の収益改善期待が高まり、株価上昇につながりました。
個別銘柄の動き
1月23日の銀行株の動きは以下の通りです。
- りそなホールディングス:4%高
- 千葉銀行:3%高
- ふくおかフィナンシャルグループ:上昇
メガバンクから地方銀行まで幅広く買いが入り、セクター全体で上昇しました。
金利上昇と銀行株の関係
長期金利との連動
2023年以降、銀行セクターの相対株価(対TOPIX)は日本10年国債利回りに概ね連動する動きを見せています。金利上昇期待が銀行株の上昇を後押しする構図が続いています。
3メガバンクは2025年度中間決算時に通期業績予想を上方修正しており、日銀の利上げが続けば、さらなる業績上方修正も期待できます。
株主還元の積極化
銀行各社は増配や自社株買いなど、株主還元を積極化しています。長期金利の上昇、増益基調、株主還元の積極化と、好条件がそろった銀行株への注目が続いています。
懸念材料:債券含み損
地銀の含み損拡大
一方で、銀行株には懸念材料もあります。金利上昇に伴い、保有する債券の価格が下落(含み損が拡大)しているためです。
2025年6月末時点で、地方銀行の円建て債券の含み損は約2兆6,300億円と、1年前に比べ2倍の水準に達しています。長期金利が1.5%を超える局面では、含み損はさらに膨らんでいるとみられます。
メガバンクと地銀の格差
大手銀行は金利上昇への備えを進めていたため、国債利回り上昇による含み損拡大の影響は比較的限定的です。しかし、小規模な地方銀行では含み損が経営の重荷となる可能性があり、収益力の格差が鮮明になっています。
2025年4〜6月期の地銀決算では、債券の売却損は約700億円と前年同期から4割増加しました。一部の銀行は、株高で含み益が出ている政策保有株を売却し、債券売却損の穴埋めに充てています。
PBR1倍割れが続く
銀行株は高値圏にあるものの、PBR(株価純資産倍率)は1倍を下回っている銘柄が8割を占めています。経営効率への懸念や、債券含み損リスクが意識されていることが背景です。
注意点・今後の展望
金利動向の注視
銀行株の今後は、日銀の金融政策と長期金利の動向に大きく左右されます。利上げが継続すれば利ざや改善期待で買いが続く一方、急激な金利上昇は債券含み損の拡大につながるリスクもあります。
地銀再編の可能性
小規模地銀の中には、金利上昇局面で収益改善が進まない銀行も出てきています。長期的には、地銀の再編・統合が進む可能性も指摘されています。
総選挙後の政策動向
2月の総選挙の結果次第では、金融政策への政治的な影響も考えられます。選挙後の政権運営と日銀の独立性に注目が集まっています。
まとめ
日銀が金融政策決定会合で経済・物価見通しを上方修正したことを受け、銀行株が軒並み上昇しました。利上げ継続への期待が高まり、利ざや改善を見込んだ買いが入っています。
ただし、債券含み損の拡大やPBR1倍割れといった課題も残っています。金利上昇の恩恵と含み損リスクの両面を踏まえた慎重な判断が求められます。
今後の日銀の金融政策と長期金利の動向が、銀行株のパフォーマンスを左右する重要な要素となるでしょう。
参考資料:
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