ファミマがToo Good To Goと連携、売れ残り食品を割引販売
はじめに
世界最大の食品ロス削減アプリ「Too Good To Go(トゥー・グッド・トゥー・ゴー)」が、ついに日本でのサービスを開始しました。デンマーク発のこのアプリは、飲食店やコンビニの売れ残り商品を2〜7割引きで購入できる仕組みで、累計5億食以上のフードロス削減に貢献してきた実績があります。
日本ではファミリーマートやJR東日本系のコンビニ「NewDays」などが連携パートナーとして参加。物価高が続く中、消費者の節約需要と食品ロス削減を両立させる新たなサービスとして注目を集めています。
本記事では、Too Good To Goの仕組みと日本での展開、コンビニ各社の食品ロス対策について詳しく解説します。
Too Good To Goとは
世界21カ国で展開する食品ロス削減アプリ
Too Good To Goは、2015年にデンマークで設立されたフードテック企業です。飲食店やスーパー、コンビニなどで売れ残りそうな食品を、アプリを通じて消費者に割安で販売するサービスを提供しています。
世界21カ国で展開しており、日本はアジア初の進出国となります。利用者数は7,290万人を超え、登録店舗数は18万件以上。ヒルトン、カルフール、セブンイレブン(海外)など、6万を超える企業がこのプラットフォームを活用しています。
「サプライズバッグ」の仕組み
Too Good To Goの最大の特徴は、「サプライズバッグ」という販売形式です。店舗が余った食品を袋に詰め、通常価格の3分の1程度で販売します。中身は開けるまでわからないため「サプライズ」という名前がついています。
利用方法は簡単です。アプリをインストールして位置情報を共有すると、近隣の参加店舗が一覧で表示されます。気になる店舗のサプライズバッグを予約し、指定された時間帯に店舗で受け取ります。
この仕組みにより、店舗は廃棄予定だった食品から収益を得られ、消費者はお得に食品を購入でき、環境負荷も軽減されるという「三方よし」のモデルが実現しています。
収益構造
店舗側はToo Good To Goに年会費89ドルを支払い、サプライズバッグ1つあたりの売上につき1.79ドルの手数料が発生します。サプライズバッグの価格は4〜10ドル程度で設定されることが一般的です。
重要なのは、サプライズバッグが実際に購入されて初めて収益が発生する成果報酬型の仕組みである点です。店舗にとってリスクの低いビジネスモデルとなっています。
日本でのサービス展開
ファミマ・NewDaysが連携パートナーに
2026年1月28日、Too Good To Goは日本でのサービス提供を正式に開始しました。まずは新宿・渋谷・目黒エリアを中心とした東京都内の一部地域でスタートし、80店舗以上のパートナー企業と連携しています。
主要な連携パートナーとして、ファミリーマートとJR東日本系のコンビニ「NewDays」が参加しています。ファミリーマートでは、定価の半額以下となるサプライズバッグに加え、各店頭で実施しているエコ割での値下げ商品(単品商品)もアプリ内で販売されます。
このほか、クリスピー・クリーム・ドーナツや、SNSで人気のベーカリー「Dream On」など、幅広い業態の店舗が参加しています。
物価高と節約需要の追い風
日本でのサービス開始は、消費者の節約需要が高まっている時期と重なりました。物価上昇が続く中、通常価格の2〜7割引きで食品を購入できる仕組みは、家計の助けになります。
同時に、「食品ロス削減に貢献できる」という社会的意義も、消費者の利用動機となっています。サステナビリティへの関心が高まる中、お得さと社会貢献を両立できるサービスとして注目されています。
日本の食品ロスの現状
年間464万トンが廃棄
日本の食品ロスは深刻な状況にあります。環境省の発表によると、令和5年度の食品ロス発生量は約464万トンで、毎日大型トラック(10トン車)約1,270台分の食品が廃棄されている計算になります。
内訳は家庭系が約233万トン、事業系が約231万トンです。事業系食品ロスのうち、コンビニを含む食品小売業からは年間約60万トンが発生していると推計されています。
日本政府は、2030年度までに家庭系食品ロスを2000年度比で半減、事業系食品ロスを60%削減する目標を掲げています。令和4年度には事業系食品ロスが236万トンとなり、2000年度比で半減する中間目標を達成しました。
コンビニ各社の取り組み
コンビニ業界では、食品ロス削減に向けた様々な取り組みが進んでいます。
ファミリーマートは、2030年に2018年比で50%、2050年に80%の食品ロス削減を目標に掲げています。2023年度実績は28.9%の削減を達成しました。具体的な施策として、2024年10月からは値引きシールのデザインを刷新し、おにぎりのキャラクターが「たすけてください」と涙目で訴えるイラストを採用した実証実験を実施しています。
セブン&アイグループは、消費期限延長による商品のロングライフ化を推進。2025年2月時点で、オリジナルデイリー商品に占める24時間以上の販売期限がある商品の比率は約87%に達しています。
このほか、発注精度の向上や「てまえどり」(消費期限の近い商品を手前に陳列し、消費者に選んでもらう)の啓発なども行われています。
Too Good To Goを利用するメリット
消費者にとってのメリット
最大のメリットは、通常価格の3分の1程度という割安価格で食品を購入できる点です。物価高が続く中、食費を抑えながら品質の良い食品を手に入れられます。
また、「サプライズ」という要素も楽しみの一つです。何が入っているかわからないワクワク感があり、普段は買わない商品との出会いも期待できます。
さらに、アプリで予約するだけで食品ロス削減に貢献できるという手軽さも魅力です。環境問題に関心はあるものの、具体的に何をすればいいかわからないという人にとって、日常の買い物を通じた社会貢献が可能になります。
店舗にとってのメリット
店舗側にとっては、廃棄予定だった食品から収益を得られる点が大きなメリットです。廃棄コストの削減にもつながります。
また、新規顧客の獲得チャネルとしても機能します。サプライズバッグをきっかけに店舗を知り、その後リピーターになるケースも期待できます。
環境配慮への取り組みをアピールできる点も、企業イメージの向上につながります。サステナビリティを重視する消費者へのPR効果があります。
注意点・今後の展望
利用時の注意点
サプライズバッグは中身がわからない仕組みのため、アレルギーがある方は注意が必要です。アプリ上で店舗のジャンル(ベーカリー、コンビニなど)は確認できますが、具体的な商品は選べません。
また、受け取り時間が決まっているため、スケジュールの調整が必要です。営業終了間際の時間帯が多いため、仕事などの都合で受け取りが難しい場合もあります。
さらに、現時点では東京都内の一部エリアが対象のため、利用できる地域が限られています。今後のエリア拡大に期待が寄せられています。
サービス拡大への期待
Too Good To Goは日本をアジア初の進出国として位置づけており、今後の拡大が見込まれます。対象エリアの拡大や、連携パートナーの増加が期待されています。
日本の食品ロス464万トンという現状を考えると、このようなサービスの普及は大きな意義を持ちます。消費者の意識変革と、店舗の取り組み促進の両面から、食品ロス削減に貢献することが期待されています。
まとめ
世界最大の食品ロス削減アプリ「Too Good To Go」が日本でサービスを開始し、ファミリーマートやNewDaysなどが連携パートナーとして参加しました。売れ残り商品を2〜7割引きで購入できる仕組みで、物価高における節約需要と食品ロス削減を両立させるサービスとして注目されています。
日本の食品ロスは年間464万トンに上り、コンビニ各社も様々な削減努力を続けています。Too Good To Goの日本上陸は、消費者が日常の買い物を通じて食品ロス削減に参加できる新たな選択肢を提供します。
まずは東京都内の一部エリアからスタートしていますが、今後のエリア拡大と連携店舗の増加に期待が集まります。お得に買い物をしながら社会貢献もできる、新しい消費スタイルとして広がりを見せる可能性があります。
参考資料:
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