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by nicoxz

日本の労働力人口が初の7000万人超え、女性と高齢者が牽引

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はじめに

総務省が2026年1月30日に発表した2025年の労働力調査によると、日本の労働力人口が7004万人となり、統計開始以来初めて7000万人の大台を突破しました。人口減少と少子高齢化が進む中でのこの記録は、女性と高齢者の労働市場への参加拡大によって実現したものです。

就業者数も前年比47万人増の6828万人と過去最高を更新しました。しかし、喜ばしい数字の裏には、パートやアルバイトなど短時間勤務の労働者が増加し、1人当たりの就業時間が短くなっているという実態もあります。

本記事では、この歴史的な転換点となった2025年の労働市場の実態と、今後の展望について詳しく解説します。

労働力人口7000万人超えの実態

労働力人口と就業者数の推移

労働力人口とは、就業者と完全失業者を合わせた数値で、実際に働いている人と仕事を探している人の総数を示します。2025年の年間平均は7004万人で、内訳は男性3805万人(前年比5万人増)、女性3200万人(同43万人増)でした。

特に注目すべきは女性の増加幅です。女性の労働力人口は前年から43万人増加しており、全体の増加分のほぼ9割を占めています。これは、女性の社会進出が着実に進んでいることを示す明確な証拠です。

就業者数は6828万人で、こちらも過去最高を記録しました。労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は63.8%と、前年から0.5ポイント上昇しています。人口減少が進む中で労働力率が上昇しているという事実は、これまで労働市場に参加していなかった層が働き始めていることを意味します。

月次データで見る記録的な数字

月次データでは、2025年11月に労働力人口(原数値)が7033万人となり、月次ベースでも初めて7000万人を突破しました。これは、年間を通じて労働市場が活況を呈していたことを示しています。

完全失業率は2.5%と前年と同水準を保っており、労働市場は引き続き逼迫した状態が続いています。失業者が少なく、働きたい人のほぼ全員が仕事に就けている状況は、企業にとっては人材確保の難しさを意味する一方、労働者にとっては売り手市場が継続していることを示しています。

女性労働参加の拡大とその背景

賃金上昇と「年収の壁」改革

女性の労働参加が拡大している主な要因の一つは、賃金上昇です。2023年から2024年にかけて、日本では30年ぶりとなる大幅な賃上げが実施され、パート労働者の時給も上昇しました。この賃金上昇が、より多くの女性を労働市場に引き寄せています。

また、2025年には配偶者控除・扶養控除の所得要件が従来の103万円から123万円に引き上げられました。この「年収の壁」の引き上げは、これまで就業時間を抑えていた有配偶のパート女性が、より長く働けるようになる環境を整えました。

ただし、野村総合研究所の調査によると、制度改正後も有配偶パート女性の約6割が依然として就業調整を実施しているとのことです。社会保険の適用拡大(従業員数51人以上の企業で働く短時間労働者も対象)により、新たな「社会保険の壁」が意識されているためです。

働き方の多様化

女性の労働参加拡大を支えているもう一つの要因は、働き方の多様化です。在宅勤務やフレックスタイム制の導入、短時間勤務制度の充実などにより、育児や介護と両立しながら働ける環境が整ってきました。

企業側も、深刻な人材不足を背景に、女性が働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでいます。保育施設の設置、復職支援制度、キャリア形成支援など、女性のライフステージに応じた支援策が広がっています。

高齢者雇用の拡大

高齢者の就業率上昇

労働力人口の増加に大きく寄与しているもう一つの層が、高齢者です。2023年のデータでは、70〜74歳の就業率は34.0%、75歳以上でも11.4%に達しており、10年前と比較すると大幅に上昇しています。

2025年はいわゆる「2025年問題」の年でもあります。団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が全員75歳以上の後期高齢者となり、75歳以上の人口が総人口の約18%を占めるようになりました。この層の一部が引き続き労働市場に留まっていることが、労働力人口の維持に貢献しています。

高齢者が働く理由と働き方

マイナビキャリアリサーチLabの調査によると、65歳以上のアルバイト就業者のうち67.0%が「アルバイト・パート」を本来的に最も希望していたと回答しており、3人に2人以上が現在の就業が希望通りの働き方であることがわかりました。

アルバイトの目的は「自分の生活費のため」が46.9%で最も高く、次いで「健康維持のため」が38.1%、「健康的な生活リズムを作るため」が33.7%となっています。年金だけでは生活が厳しいという経済的理由に加え、健康維持や社会とのつながりを求めて働く高齢者が増えているのです。

高齢者雇用安定法の改正により、企業は70歳までの就業機会確保に努める義務を負っており、定年後の再雇用制度や定年延長を実施する企業が増えています。これも高齢者の労働参加を後押ししています。

短時間勤務の増加と労働時間の短縮

1人当たり就業時間の減少

労働力人口が増加する一方で、1人当たりの就業時間は短くなっています。これは、パートやアルバイトなど非正規雇用の労働者が増加していることを反映しています。

総務省の労働力調査によると、雇用形態別では非正規雇用労働者の割合が上昇傾向にあります。非正規雇用労働者の多くは週の労働時間が短く、フルタイム労働者と比べて総労働時間が少なくなります。

短時間勤務増加の背景

短時間勤務が増加している背景には、いくつかの要因があります。第一に、前述の女性や高齢者の労働参加拡大です。これらの層の多くは、家庭や健康上の理由から、フルタイムではなくパートタイムでの就業を選択しています。

第二に、企業側の雇用戦略の変化です。人手不足が深刻化する中、企業は柔軟な働き方を提供することで、より幅広い層から人材を確保しようとしています。また、人件費の抑制という観点からも、正社員ではなくパート・アルバイトでの採用を増やす企業が増えています。

第三に、労働者側の価値観の変化です。特に若い世代では、長時間労働を前提としたフルタイム雇用よりも、ワークライフバランスを重視した短時間勤務を選ぶ人が増えています。

人口減少下での労働力確保の課題

2025年問題と労働力不足

日本の総人口は2025年時点で1億2317万人と、前年から61万人(0.49%)減少しました。働き盛りの生産年齢人口(15〜64歳)は7356万人(59.6%)で、前年から20万人減少しています。

労働力人口が増加しているとはいえ、それは主に女性と高齢者の参加拡大によるものです。若年労働力は少子化により減少を続けており、中長期的には深刻な労働力不足が避けられません。

企業は人材確保のため、賃上げや労働条件の改善、外国人労働者の活用など、さまざまな対策を迫られています。2025年時点で外国人人口は362万人(前年比10.24%増)と過去最高を記録しており、労働市場を下支えする存在として存在感を増しています。

質的な労働力不足への対応

量的な労働力不足に加えて、質的な労働力不足も深刻化しています。デジタル化やAI活用が進む中、高度なスキルを持つ人材の不足が企業の成長を制約しています。

政府や企業は、リスキリング(学び直し)やアップスキリング(技能向上)への投資を拡大しています。中高年労働者や非正規雇用労働者に対する職業訓練の機会を増やし、デジタルスキルの習得を支援する取り組みが広がっています。

また、生産性向上も重要な課題です。1人当たりの就業時間が短くなる中で、経済成長を維持するためには、労働生産性を高める必要があります。ITツールの導入、業務プロセスの効率化、AI・ロボットの活用など、テクノロジーを活用した生産性向上の取り組みが求められています。

今後の展望と政策課題

女性と高齢者の活躍推進

今後も女性と高齢者の労働参加を拡大していくことが、労働力確保の鍵となります。そのためには、働きやすい環境の整備が不可欠です。

女性については、保育や学童保育の充実、男性の育児参加促進、キャリア形成支援の強化などが必要です。また、「年収の壁」問題の抜本的な解決も求められます。税制と社会保険制度の整合性を取り、就業調整を意識せずに働ける環境を整えることが重要です。

高齢者については、健康寿命の延伸とともに、年齢に関わらず能力を発揮できる社会の実現が必要です。定年制の見直し、高齢者向けの職業訓練、年齢差別の撤廃など、エイジレスな労働市場の構築が求められます。

多様な働き方の促進

短時間勤務、在宅勤務、フレックスタイムなど、多様な働き方を認める企業文化の醸成が重要です。正社員と非正規雇用の待遇格差是正(同一労働同一賃金)も引き続き推進する必要があります。

また、副業・兼業の促進も労働力の有効活用につながります。複数の仕事を組み合わせることで、個人のスキルや時間を最大限に活用できる社会を目指すべきです。

外国人労働者の受け入れ拡大

人口減少が続く中、外国人労働者は日本の労働市場にとって不可欠な存在になりつつあります。技能実習制度に代わる新たな外国人労働者受け入れ制度の整備、日本語教育の充実、多文化共生社会の実現など、外国人が働きやすく暮らしやすい環境を整える必要があります。

まとめ

2025年の日本の労働力人口が7000万人を超えたことは、画期的な成果です。女性と高齢者の労働参加拡大、賃金上昇、働き方の多様化などが、人口減少というマイナス要因を打ち消す形で作用しました。

しかし、短時間勤務の増加により1人当たりの就業時間は短縮しており、総労働投入量は必ずしも大きく増えていません。また、若年労働力の減少は今後も続くため、中長期的な労働力不足は避けられない見通しです。

持続的な経済成長を実現するためには、労働参加率のさらなる向上、多様な人材が活躍できる環境整備、生産性向上への投資が不可欠です。政府、企業、個人が一体となって、人口減少時代の労働市場の課題に取り組む必要があります。

参考資料:

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