人手不足倒産が過去最多、建設・物流で2024年問題が直撃

by nicoxz

はじめに

日本の人手不足が深刻な局面を迎えています。2024年の人手不足倒産は累計342件に達し、前年の260件から約1.3倍と大幅に増加して2年連続で過去最多を更新しました。

特に打撃を受けているのが建設業と物流業です。2024年4月から時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」に直面したこの両業種で、倒産件数の4割強を占めています。

本記事では、人手不足倒産の現状、2024年問題の影響、高齢化の進行、そして今後の見通しについて解説します。

人手不足倒産の現状

2024年は342件で過去最多

帝国データバンクの調査によると、2024年の人手不足倒産は累計342件に達しました。前年の260件から約1.3倍と大幅に増加し、2年連続で過去最多を更新しています。

人手不足が直接的な原因となって事業継続が困難になるケースが増えています。

2025年上期も202件で高水準

2025年上期(1〜6月)の人手不足に起因する企業倒産は202件となり、前年同期比20件増で2年連続の過去最多更新です。

年間ペースでは400件を超える可能性もあり、問題の深刻化が続いています。

建設業・物流業で4割強

業種別では、建設業が99件(前年比+8件)で最も多く、物流業も46件(同+7件)と高水準でした。この両業種で全体の4割強を占めています。

2024年度通期では建設業が111件となり、初めて100件を超えました。全体の約3割を占める深刻な状況です。

2024年問題の影響

時間外労働の上限規制

2024年問題とは、働き方改革関連法に伴う時間外労働時間の上限規制が適用されることで生じる問題です。

2024年4月1日以降、長時間労働が慢性化していた物流や建設などの業種に、年間時間外労働960時間の上限が設定されました。これを超えて働かせた業者には罰則が科されます。

人手確保がより困難に

上限規制により、これまで長時間労働で人手不足を補っていた企業は、追加の人員確保が必要になりました。しかし、労働市場では人材の奪い合いが激化しており、中小企業にとって人材確保はますます困難になっています。

価格転嫁の難しさ

コスト上昇分を価格に転嫁することも容易ではありません。価格転嫁率は全業種平均40.6%に対し、建設業は39.6%、物流業は32.6%と厳しい状況にあります。

コスト増を吸収できず、資金繰りが悪化して倒産に至るケースが増えています。

高齢化の進行

建設業は60歳以上が24%

就業者に占める60歳以上の割合は、建設業で23.9%と全業種を大きく上回っています。ベテラン技術者の引退が進む中、若手の入職が追いついていません。

物流業は50歳以上が約半数

物流業では60歳以上の割合は18.6%ですが、50歳以上の割合では49.5%と約半数に達しています。

特にトラックドライバーの高齢化は深刻で、2030年には約25万人のドライバーが不足するとの予測があります。

2025年問題との重なり

いわゆる「団塊の世代」のほとんどが75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」も重なり、労働者の高齢化による人手不足はさらに深刻化する見通しです。

賃上げ圧力と中小企業

最低賃金1,500円へ

政府は最低賃金を2020年代に全国加重平均1,500円へ引き上げると表明しています。賃上げ機運は加速しており、人材確保のためには賃金引き上げが避けられない状況です。

「賃上げ難型」倒産の増加

しかし、賃上げ余力を持たない小規模事業者にとって、人件費の上昇は致命的な負担となります。

「賃上げ難型」の人手不足倒産が高水準で推移すると見込まれており、体力のない企業の淘汰が進む可能性があります。

大企業と中小企業の格差

大企業は賃上げに踏み切る一方、中小企業は対応が難しい状況です。この格差が人材流出を加速させ、中小企業の人手不足をさらに深刻化させる悪循環が生じています。

今後の見通し

問題は長期化

2024年問題の影響は一時的なものではなく、構造的な問題として長期化する見通しです。時間外労働の上限規制は恒久的な制度であり、人手不足解消なしに事業継続は困難です。

省人化・効率化の必要性

人手不足への対応として、DX(デジタルトランスフォーメーション)による省人化や業務効率化が急務です。自動化技術の導入、業務プロセスの見直しなど、生産性向上への投資が求められます。

外国人労働者の活用

外国人労働者の受け入れ拡大も選択肢の一つです。特定技能制度の対象業種拡大など、政策的な対応も進められています。

まとめ

2024年の人手不足倒産は342件で過去最多を更新しました。建設業99件、物流業46件と「2024年問題」が直撃し、両業種で全体の4割強を占めています。

就業者の高齢化(建設業の60歳以上24%、物流業の50歳以上約50%)に加え、最低賃金引き上げによる賃上げ圧力も中小企業を苦しめています。価格転嫁率は物流業で32.6%と低く、コスト増を吸収できない構造が続いています。

省人化・DXへの投資や外国人労働者の活用など、抜本的な対策なしには問題の長期化は避けられません。

参考資料:

関連記事

最新ニュース