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by nicoxz

海外の日本人学校が直面する生徒減少と存続の危機

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はじめに

世界各地に設置されている日本人学校が、児童生徒数の減少という深刻な課題に直面しています。文部科学省が認可する日本人学校は2025年4月時点で50カ国・地域に設置されていますが、この10年間で生徒数は約2割減少したとされています。

背景には、日本企業の海外駐在員の減少、現地校やインターナショナルスクールを選ぶ家庭の増加、そして国内の少子化が重なっています。一部の学校では外国籍の子どもを受け入れる「国際学級」を設けるなど、存続に向けた新たな取り組みも始まっています。

本記事では、日本人学校が直面する構造的な課題と、今後の展望について解説します。

日本人学校の現状と生徒減少の実態

在外教育施設の概要

日本人学校は、海外に住む日本人の子どもが国内と同等の教育を受けられるようにするための教育施設です。外務省によると、2023年10月時点で海外に在住する日本人は約129万人で、日本人学校や補習授業校に通う児童生徒(日本国籍保持者)は約4万人です。

このうち全日制の日本人学校には約1万6,000人が在籍しています。日本の検定教科書を使い、国内と同じカリキュラムで授業を行うため、帰国後の学校生活にスムーズに移行できることが最大の利点です。

生徒数減少の3つの要因

日本人学校の生徒数が減少している背景には、主に3つの要因があります。

第一に、日本企業の海外駐在員の変化です。企業のグローバル戦略の見直しや、リモートワークの普及により、長期駐在員を配置する従来型のモデルから、短期出張やオンライン対応にシフトする企業が増えています。駐在員の家族帯同率も低下傾向にあり、日本人学校に通う子どもの数が減少しています。

第二に、現地校やインターナショナルスクールを選ぶ家庭の増加です。グローバル教育への関心が高まる中、子どもに英語力や異文化理解を身につけさせたいと考える保護者が増えています。特に欧米やアジアの主要都市では、質の高いインターナショナルスクールが多数あり、選択肢の幅が広がっています。

第三に、日本国内の少子化です。そもそも子どもの数が減っているため、海外に出る子どもの絶対数も減少しています。国内の出生数は2025年に約66万5,000人と過去最少を更新する見通しで、この傾向は今後も続くと予想されます。

インターナショナルスクール志向の高まり

保護者の選択が変わった

海外駐在員の子どもの学校選びには、大きく3つの選択肢があります。日本人学校、インターナショナルスクール、そして現地校です。かつては日本人学校を選ぶのが主流でしたが、近年はインターナショナルスクールを選ぶ家庭が明らかに増えています。

その理由として、帰国後の進路の多様化があります。英語力を武器にした国内のインターナショナルスクールへの編入や、海外大学への進学を視野に入れる家庭が増えており、日本人学校よりも国際的なカリキュラムを提供する学校が好まれる傾向にあります。

地域による違い

アジアには日本人学校が多く設置されている一方、北米にはほとんどなく、代わりに補習授業校が設置されています。欧州ではインターナショナルスクールの人気が高く、日本人学校に通う生徒数は相対的に少ない状況です。

地域によって状況は異なりますが、全体的な傾向として、日本人学校を選ばない家庭が増えていることは共通しています。

補習授業校の役割

現地校やインターナショナルスクールに通う子どもたちの日本語力を維持するため、土曜日や放課後に授業を行う「補習授業校」の役割も重要です。日本人学校に通わない場合でも、補習授業校を併用することで、日本の教育課程の一部をカバーできます。

存続に向けた新たな取り組み

外国籍の子どもの受け入れ

生徒数の減少に対応するため、一部の日本人学校では「国際学級」を設け、外国籍の子どもを受け入れる動きが出ています。日本語や日本文化に関心のある現地の家庭にとっては、日本人学校は魅力的な選択肢です。

国際学級の設置は、日本人生徒にとっても異文化交流の機会が増えるというメリットがあります。多様な背景を持つ子どもたちが一緒に学ぶことで、国際的な視野を養うことができます。

カリキュラムの柔軟化

一部の日本人学校では、英語教育の強化やIB(国際バカロレア)プログラムの一部導入など、カリキュラムの柔軟化を図る動きもあります。日本の教育課程を維持しながらも、国際的な教育ニーズに応えることで、インターナショナルスクールとの差別化を図ろうとしています。

日本政府の支援

文部科学省は在外教育施設の教育環境の整備を進めており、教員の派遣や教材の提供、ICT環境の整備などを支援しています。しかし、生徒数の減少が続けば、学校の統廃合も検討せざるを得ない状況です。

注意点・展望

帰国後の教育を考慮した選択を

海外で子どもの学校を選ぶ際には、帰国後の進路を見据えた慎重な判断が重要です。インターナショナルスクールに通った場合、日本の教育課程との乖離が大きくなる可能性があり、帰国後の学校生活への適応に課題が生じることもあります。

日本人学校の価値の再定義

日本人学校は単に「日本と同じ教育を海外で受けられる場」ではなく、海外にいる日本人コミュニティの核としての役割も果たしています。生徒数の減少は学校の運営だけでなく、現地の日本人社会全体にも影響を及ぼす問題です。

今後は、日本人学校の存在意義を「日本の教育の維持」から「日本と世界をつなぐ教育拠点」へと再定義する動きが求められるでしょう。

まとめ

海外の日本人学校は、駐在員の減少、インターナショナルスクール志向の高まり、国内の少子化という三重の課題に直面しています。生徒数はこの10年で約2割減少し、一部の学校では存続そのものが危ぶまれる状況です。

外国籍の子どもの受け入れやカリキュラムの柔軟化など、新たな取り組みも始まっていますが、抜本的な解決には至っていません。日本人学校の価値を再定義し、時代のニーズに合った教育を提供できるかどうかが、今後の存続のカギとなります。

参考資料:

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