中南米に新たな火種、米ベネズエラ介入への反発

by nicoxz

はじめに

2026年1月3日、米軍がベネズエラを攻撃しマドゥロ大統領を拘束したことで、中南米地域に新たな緊張が走りました。メキシコ、ブラジル、コロンビアなど主要国が一斉に米国を非難し、地域の分断が深まっています。

1989年のパナマ侵攻以来、米国による中南米への最大規模の軍事介入となった今回の作戦。中南米諸国の反発は激しく、米国との関係悪化や地域の不安定化が懸念されています。

この記事では、中南米諸国の反応、地域への影響、そして今後の展望について詳しく解説します。

中南米諸国の反応

メキシコの強い非難

メキシコのシェインバウム大統領は、米軍のベネズエラ攻撃を強く非難しました。

5日の定例記者会見で大統領は「メキシコが自由な主権国家であることを再確認する必要がある。協力は肯定するが、従属や介入は拒否する」と述べ、米国による他国への介入を明確に批判しました。

メキシコ外務省も一連の米国の行動について正式に非難声明を発表。南北アメリカは「いかなる大国にも属さない」との立場を表明しています。

ブラジルの反発

ブラジルのルラ大統領は、米軍の攻撃とマドゥロ拘束を「越えてはならない一線を越えた」と厳しく批判しました。

「国際法に明白に違反して国を攻撃することは、暴力、混沌、不安定な世界への第一歩だ」と警告し、国際社会に冷静な対応を呼びかけています。

中国と密接な関係を持つブラジルにとって、米国の一方的な軍事行動は、自国への圧力とも受け取られています。

コロンビアの懸念

ベネズエラと国境を接するコロンビアのペトロ大統領は、国境沿いに治安部隊を配備し、難民流入に備える姿勢を示しました。

ペトロ大統領はSNSで「コロンビアは、平和、国際法の尊重、生命と人間の尊厳を守ることが、いかなる武力衝突にも勝る最優先事項であるとの信念を改めて表明する」と投稿しています。

国連安保理では、コロンビアのザラバタ国連大使が「米国の行動はベネズエラの主権や政治的独立、領土保全の明白な侵害であり、武力行使を正当化する根拠は存在しない」と批判しました。

キューバの強い反発

キューバのディアスカネル大統領は、米国の行動を「国家テロ」と断じ、国際社会による緊急の介入を求めました。

キューバはベネズエラからの石油供給に大きく依存しており、今回の事態は同国の経済にも深刻な影響を与える恐れがあります。

ホンジュラスの非難

ホンジュラスのカストロ大統領は、マドゥロ大統領の拘束を「誘拐行為」と表現し、「ラテンアメリカ・カリブ海諸国の主権と独立に対する侮辱」と強く非難しました。

6カ国共同声明

1月4日、ブラジル、スペイン、チリ、コロンビア、メキシコ、ウルグアイの6カ国は共同声明を発表しました。

声明では「米国がベネズエラ領内で一方的に行った軍事行動に対し、深い懸念と断固たる拒否」を表明。国際法の尊重と平和的解決を求めています。

米国を支持する国々

一方で、米国の行動を支持する国もあります。

アルゼンチン

ミレイ大統領はマドゥロ拘束を「自由の勝利」と称賛。トランプ政権との緊密な関係を維持する姿勢を示しています。

エルサルバドル

ブケレ大統領はSNSを通じて米国への支持を示唆しました。

エクアドル

ノボア大統領は、今回の作戦をベネズエラの「麻薬チャビスモ体制」への打撃と評価しました。

国連安保理での議論

緊急会合の開催

1月5日、国連安全保障理事会はベネズエラとコロンビアの要請を受け、緊急会合を開催しました。

各国の主張

グテレス国連事務総長 軍事作戦において国際法の規則が尊重されなかったとの懸念を表明しました。

中国・ロシア 米国の軍事作戦は法的根拠を欠くと強く非難。中国は「主権国家への公然たる武力行使に深い衝撃を受け、強く非難する」と声明を発表しています。

米国 米国はマドゥロ政権の麻薬取引への関与を根拠に作戦の正当性を主張。自国民保護の観点からも正当化しています。

地域への影響

難民危機の悪化懸念

すでに約800万人のベネズエラ人が国外に脱出しており、うち600万人以上が中南米諸国に再定住しています。今回の軍事介入により、さらなる難民流出が懸念されています。

コロンビアやブラジルなど周辺国は、新たな難民流入への対応を迫られる可能性があります。

地域の分断

米国を支持する国と非難する国の間で、中南米地域の分断が深まっています。

右派政権のアルゼンチン、エルサルバドル、エクアドルが米国を支持する一方、左派政権のメキシコ、ブラジル、コロンビアは強く反発。政治的なイデオロギーに沿った対立構図が鮮明になっています。

中国・ロシアの影響力

米国の一方的な軍事行動は、中南米における中国やロシアの影響力拡大を招く恐れがあります。

米国への不信感を持つ国々が、中露に接近する可能性も指摘されています。

トランプ政権の狙い

「新モンロー主義」

トランプ大統領は今回の作戦を「モンロー・ドクトリンの更新版」と位置づけました。19世紀のモンロー主義を現代に復活させ、中南米を米国の「勢力圏」とする意図が透けて見えます。

2025年国家安全保障戦略

トランプ政権は2025年12月に発表した国家安全保障戦略(NSS)で、中南米を中心とした「西半球」への対応を重視する姿勢を示していました。今回のベネズエラ攻撃は、この戦略の実行と位置づけられています。

次のターゲット

トランプ大統領は記者会見で、コロンビアへの軍事介入の可能性について「悪くなさそうだ」と発言。中南米諸国の緊張を高めています。

今後の展望

米国と中南米の関係悪化

今回の軍事介入により、米国と中南米主要国の関係は大きく悪化しました。メキシコやブラジルとの関係修復には、相当の時間と努力が必要になるでしょう。

地域の不安定化

ベネズエラの政治的不安定、難民危機、周辺国との緊張など、中南米地域全体の不安定化が懸念されます。

国際法と主権の問題

米国の行動が国際法に違反するかどうかは、今後も議論が続くでしょう。主権国家への軍事介入の「先例」が、他の大国の行動にも影響を与える可能性があります。

まとめ

米軍のベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領拘束は、中南米地域に新たな火種を投げ込みました。メキシコ、ブラジル、コロンビアなど主要国は一斉に米国を非難し、地域の分断が深まっています。

トランプ政権の「新モンロー主義」は、中南米諸国の反発を招き、中国やロシアの影響力拡大を招く恐れもあります。米国と中南米の関係は、重大な岐路に立たされています。

参考資料:

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