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by nicoxz

ロッテリア54年の歴史に幕、ゼッテリア全店転換の背景

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はじめに

外食大手ゼンショーホールディングス(HD)は2026年1月21日、ハンバーガーチェーン「ロッテリア」の国内全店を3月までに閉店し、新ブランド「ゼッテリア」に順次転換すると発表しました。

1972年の創業から54年間、日本のファストフード文化とともに歩んできたロッテリアの店名が、国内から消えることになります。エビバーガーやリブサンドなど独自メニューで親しまれてきたブランドの終焉は、多くの消費者に惜しまれています。

この記事では、ロッテリアの歴史、ゼンショーによる買収の経緯、ゼッテリアへの転換の理由、そして今後のバーガー事業の展望について解説します。

ロッテリア54年の歴史

1972年、アイスクリーム店として誕生

ロッテリアは1972年、ロッテグループのファストフード事業として創業しました。実は当初、ロッテのアイスクリームを食べてもらうためのアイスクリーム店として企画されていました。

1972年7月に埼玉県浦和市のロッテ浦和工場内にパイロットショップを開店。同年9月29日に東京都中央区の日本橋高島屋北別館と台東区上野の松坂屋上野店で1号店をオープンしました。

1970年代初頭は日本のハンバーガー市場の黎明期でした。1970年にドムドムハンバーガーが日本初のファストフードチェーンとして誕生し、1971年にマクドナルドが銀座三越に上陸。1972年にはモスバーガーとロッテリアが相次いで創業しています。

独自メニューで差別化

創業当初、ロッテリアのメニューは他社と大きな差がありませんでした。しかし、1977年のエビハンバーガー、1984年のリブサンドなど独自商品を次々と開発し、差別化を図っていきました。

1980年代後半からは新商品開発にさらに力を入れ、他社チェーンとの明確な違いを打ち出していきます。「絶品チーズバーガー」は特に人気を集め、ロッテリアを代表するメニューとなりました。

店舗数の減少と経営難

しかし近年、ロッテリアの経営は厳しさを増していました。2023年1月時点で358店舗あった店舗数は、2025年6月には222店舗にまで減少。2年半で約4割の店舗が閉店しました。

競合他社との競争激化、原材料費の高騰、人手不足など、外食産業全体が直面する課題に加え、ブランド力の低下も指摘されていました。

ゼンショーによる買収

2023年4月に子会社化

2023年2月16日、ロッテは保有するロッテリアの全株式をゼンショーHDの完全子会社に売却すると発表しました。同年4月1日付けでロッテリアはゼンショーグループの傘下に入りました。

ゼンショーHDは「すき家」を中心に、「なか卯」「ココス」「ジョリーパスタ」「はま寿司」など多数の外食ブランドを展開する国内最大級の外食企業です。売上高は1兆円を超え、外食業界のトップを走っています。

ゼンショーにとって、ロッテリア買収はバーガー事業への本格参入を意味しました。すでにグループ内でファストフードのノウハウを蓄積していたゼンショーにとって、既存店舗網を持つロッテリアは魅力的な買収対象でした。

ゼッテリア1号店のオープン

買収からわずか半年後の2023年9月20日、ロッテリアの新業態として「ゼッテリア」1号店がオープンしました。

「ゼッテリア」という名称は、メイン商品「絶品バーガー」と、気軽に楽しめるお店を意味する「カフェテリア」を組み合わせたものです。ゼンショーの「ゼ」も含まれており、新しいグループアイデンティティを示す名称となっています。

ゼッテリアへの全面転換

旧ブランドからの完全脱却

2026年1月21日、ゼンショーHDはロッテリア全店のゼッテリアへの転換を正式発表しました。2025年12月末時点で106店あるロッテリアは、3月末までに順次一時閉店し、最終的にゼッテリアは約280店舗となる見込みです。

転換の最大の理由は、旧親会社ブランドからの完全な脱却です。「ロッテ」という名を冠した屋号を使い続けることは、消費者のブランド認知に混乱を招き、独自のブランド価値構築の妨げになります。

ゼンショーグループとしての新しいアイデンティティを確立するため、旧ブランド名の完全廃止が必要と判断されました。

仕入れ・運営の効率化

ゼッテリアへの統合には、経営効率化の狙いもあります。ゼンショーは商品の開発・製造・輸送で自社グループのノウハウを活用し、原材料の仕入れや店舗運営の効率を高めることができます。

すでにゼッテリアでは、すき家やはま寿司などゼンショーグループで提供しているフェアトレードコーヒーが導入されています。グループ内でのシナジー効果を最大限に発揮する狙いです。

ゼッテリアの特徴

プレミアム路線を追求

ゼッテリアは、ロッテリアよりもプレミアム感のあるブランドとして位置づけられています。

看板メニューの「絶品チーズバーガー」は、焼く直前に塩・こしょうしたビーフ100%のパティに、チェダースライスと、ゴーダ・ゴルゴンゾーラをブレンドしたチーズソースをたっぷりとかけた商品です。しっとり柔らかなバンズのくちどけと、アクセントのからしが特徴です。

ロッテリアでも絶品バーガーは販売されていましたが、ゼッテリアでは大きめのレタスを使用したり、チキンやカルビを使った独自メニューを展開するなど、より高品質な商品ラインアップとなっています。単品価格も数十円高く設定されています。

今後の展開

ゼンショーグループでは、ゼッテリアを「ユニークで高い品質の商品をお届けするハンバーガーチェーン」と位置づけています。

将来的には、すき家とのコラボメニューが登場する可能性も指摘されています。グループ内の食材やノウハウを活かした新商品開発が期待されています。

消費者の反応と今後の展望

惜しむ声とネーミングへの反応

ロッテリア全店閉店の発表を受け、SNSでは「俺たちのロッテリアを返せ」といった惜しむ声が多数上がっています。54年間親しまれてきたブランドへの愛着は深く、ファンにとっては寂しいニュースとなりました。

一方で「ゼッテリア」という名称については、様々な反応があります。「ゼンショー+ロッテリア」を連想させるネーミングは、ブランドの出自を明確にする効果がある一方、「ロッテリアの方が馴染みがある」という声もあります。

バーガー市場での競争

日本のハンバーガー市場は、マクドナルドが圧倒的なシェアを持ち、モスバーガー、ロッテリア(ゼッテリア)、バーガーキングなどが競合しています。近年はシェイクシャックやファイブガイズなど海外の高級バーガーチェーンも参入し、競争は激化しています。

ゼンショーという強力な親会社を得たゼッテリアが、この競争環境でどのようなポジションを築いていくか、注目されます。

まとめ

1972年から54年間続いたロッテリアの国内ブランドが、2026年3月に姿を消します。ゼンショーHDによる買収から約3年、段階的に進められてきたゼッテリアへの転換が完了することになります。

エビバーガーやリブサンド、絶品チーズバーガーなど独自メニューで親しまれてきたロッテリア。その遺産はゼッテリアに引き継がれ、ゼンショーグループのノウハウと融合することで、新たなバーガーチェーンとして進化していくことが期待されます。

消費者にとっては馴染みの店名が消える寂しさがありますが、品質向上と効率化を両立させた新ブランドがどのような価値を提供していくか、今後の展開に注目です。

参考資料:

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