連合の支援先分裂で揺れる野党勢力の行方
はじめに
2026年1月、立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を結成し、日本の政治情勢は大きな転換点を迎えています。この動きを受けて、労働組合の全国組織である連合(日本労働組合総連合会)傘下の各産別労組は、支援先の選択を迫られています。
官公労系の労組は新党「中道改革連合」を支援する一方、民間労組の支援を受ける国民民主党は独自路線を歩む構えです。本記事では、連合内部の支援先分裂の背景と、2026年衆院選への影響を詳しく解説します。
「中道改革連合」結成の衝撃
立憲民主党と公明党の合流
2026年1月15日、立憲民主党と公明党は次期衆院選に向けて新党結成で合意しました。公明党の斉藤鉄夫代表は「右傾化が進む政治状況のなか、中道主義の大きなかたまりをつくる」と語りました。
翌16日には、野田佳彦代表と斉藤代表が共同記者会見を開き、新党名を「中道改革連合」(略称:中道)と発表しました。双方の衆院議員だけで結党し、野田氏と斉藤氏が共同代表に就く方向です。
新党の規模と戦略
立憲民主党の衆院議員は現在148人(副議長を含む)、公明党は24人で、仮に全員が新党に参加すれば172人となります。これは自民党の衆院勢力(196人)に迫る規模です。
衆院選では新党に参加する候補者による比例代表の統一名簿を作成し、公明党は小選挙区ではなく比例での戦いに移行します。立憲民主党は比例で公明党の候補を上位に優遇し、その代わりに公明党は小選挙区で立民候補を応援するという選挙協力が見込まれています。
連合内部の支援先分裂
官公労系と民間労組の違い
連合は正式名を「日本労働組合総連合会」といい、組合員は約704万人を擁する日本最大の労働組合ナショナルセンターです。しかし、傘下の産業別労働組合の支援先は、以前から立憲民主党と国民民主党に分かれていました。
立憲民主党系(官公労系中心)の主な労組:
- 自治労(自治体の公務員などの労働組合)
- 日教組(教員の労働組合)
- JP労組(日本郵政グループの従業員の労働組合)
- 情報労連(NTTやIT系の会社の産別労働組合)
- 基幹労連(鉄鋼・造船などの基幹産業の産別労働組合)
国民民主党系(民間労組中心)の主な労組:
- UAゼンセン(流通やサービス業などの産別労働組合)
- 自動車総連(トヨタ、日産など自動車関連の産別労働組合)
- 電機連合(パナソニック労組などのメーカー系の労働組合)
- 電力総連(東電や関西電力などの電力系の産別組合)
分裂の歴史的経緯
2018年5月、民進党が希望の党と合併して国民民主党が設立された際、同盟系組合の自動車総連・電力総連・UAゼンセン、電機連合の組織内議員は国民民主党に参加しました。
一方で、自治労・日教組・JP労組・情報労連といった総評系組合の組織内議員は国民民主党に参加せず立憲民主党に合流し、股裂き状態となりました。この構図が今日まで続いています。
国民民主党の独自路線
新党への不参加表明
国民民主党は「中道という結集軸が極めてあいまい」として、中道改革連合への参加を断りました。民間労組の支援を受ける同党は、自民党との距離を縮める動きも見せています。
政界関係者の間では、自民党内で「自民・維新・国民民主」の保守派連立政権を樹立させようとの期待が高まっているとも報じられています。玉木雄一郎代表については「穏健な中道勢力の結集を掲げる野党第1党である立憲民主党と完全にたもとを分かつことで、多党化時代の新たな政権の枠組みづくりに挑む」との見方も広がっています。
連合の芳野会長の姿勢
連合の芳野友子会長は「連合としては立憲民主党・国民民主党に組織内議員がおりますので、そことの連携を重視している」と述べています。また「立憲・国民が野党の立場で、政府・政権に対してしっかりと対峙していくという体制が必要だ」との立場を示しています。
しかし、国民民主党が模索する自民党との連立協議に対しては、連合は労働者の権利を主張し経営者側の団体に近い自民党と対峙する立場を取っているため、容認しない姿勢を示しています。
2026年衆院選の構図
対立軸の形成
今回の衆院選は、保守の自民党と日本維新の会の与党、中道新党「中道改革連合」の対決を軸に展開される見込みです。そこに第三極として国民民主党や参政党などが加わり、激しい議席の奪い合いが予想されています。
選挙プランナーの松田馨氏は、解散時期として「2026年6月(通常国会会期末)」が最も確率が高いと予測していましたが、高市首相は通常国会冒頭での解散を選択し、2月8日投開票の日程となりました。
国民民主党の公認候補
国民民主党は2026年1月16日、次期衆院選の第1次公認予定者46人を発表しました。内訳は現職25人、元職1人、新人20人で、各地で独自候補の擁立を進めています。
立憲民主党出身の現職がいる小選挙区への独自候補擁立も検討されており、野党間の選挙協力は難航が予想されます。
官公労系と民間労組の政策的対立
減税政策をめぐる温度差
官公労系と民間労組では、政策への姿勢にも違いがあります。例えば減税政策について、公務員系の自治労にとっては国のサービスが減り公務員への支給に影響が出ることが想定されるため、慎重な姿勢を取りやすいとされています。
一方、民間労組は賃上げや可処分所得の増加に直結する減税政策に前向きな傾向があり、国民民主党が掲げる「手取りを増やす」政策との親和性が高いとも言われています。
再合流の可能性
専門家からは、立憲民主党と国民民主党が再び一緒になるのは「もう無理なんじゃないか」との見方も出ています。「政治家で実際に今から再合流できると思っている方はあまりいないんじゃないか」という指摘もあり、両党の距離はさらに広がる可能性があります。
注意点・展望
連合の組織力低下
連合は労働組合の組織率の低下など課題が山積する状況です。芳野会長は3期目に入っていますが、支援する立憲民主党、国民民主党とは主要政策や候補者の擁立でぶつかる場面が目立っています。政党政治とどう向き合うかの岐路に立たされています。
今後の見通し
両党の対立が深まれば、組織内議員が立民に多い官公労組と国民民主に多い民間労組の亀裂がさらに広がりかねません。連合全体としての政治的影響力の維持が課題となっています。
中道改革連合が掲げる綱領には「極端主義に立ち向かい、責任ある中道勢力として立ち上がる」と記され、「専守防衛を基本に現実的な外交防衛政策を進める」などの方針が示されています。高市保守政権との対決姿勢を鮮明にする中、連合がどのような立場を取るかが注目されます。
まとめ
連合傘下の労働組合は、立憲民主党と公明党の新党「中道改革連合」結成を受けて、官公労系は新党を、民間労組系は国民民主党を支援するという構図がより鮮明になりました。
2026年2月8日の衆院選に向けて、野党勢力は一枚岩とはなれず、保守対中道の対立軸の中で第三極としての国民民主党がどのような立ち位置を取るかが焦点となります。連合の政治的影響力の行方とともに、日本の政党政治の新たな局面を注視する必要があります。
参考資料:
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