ベネズエラ暫定大統領が米協力表明、急転換の背景

by nicoxz

はじめに

2026年1月5日、ベネズエラのデルシー・ロドリゲス暫定大統領が、米国との協力に前向きな姿勢を表明しました。マドゥロ大統領拘束直後には米国を「野蛮」と非難していただけに、わずか数日での急転換として注目を集めています。

マドゥロ政権の強硬派として知られたロドリゲス氏が、なぜ米国に歩み寄る姿勢を見せたのか。この記事では、ロドリゲス暫定大統領のプロフィール、協力表明の詳細、そしてベネズエラの今後について解説します。

ロドリゲス暫定大統領の就任

最高裁の決定

ベネズエラ最高裁判所は1月4日、マドゥロ大統領の「一時的不在」を認定し、デルシー・ロドリゲス副大統領に暫定大統領の権限を付与しました。

憲法上、大統領が「恒久的に職務遂行不能」となった場合は30日以内に選挙を実施する必要がありますが、最高裁はマドゥロの不在を「一時的」と判断。これにより、ロドリゲス氏は最大90日間(国民議会の承認で6カ月まで延長可能)暫定大統領を務めることができます。

宣誓式

1月5日、ロドリゲス氏は国民議会で正式に暫定大統領に就任しました。宣誓を執り行ったのは兄のホルヘ・ロドリゲス国民議会議長でした。

米国への協力姿勢

Telegramでのメッセージ

ロドリゲス暫定大統領は1月5日、Telegramに「米国とベネズエラの間で、均衡のとれた敬意ある関係を築くことを優先事項と考える」と投稿しました。

さらに「米国政府に対し、共同発展を目指した協力アジェンダに取り組むよう招待する」と呼びかけ、協力への意欲を示しました。

当初の強硬姿勢からの転換

この姿勢は、マドゥロ拘束直後の発言からは大きな転換です。ロドリゲス氏は当初、国営テレビで「この国の大統領はニコラス・マドゥロだけだ」と宣言し、米国の行動を「野蛮」と非難していました。

わずか2日での姿勢の軟化は、多くの専門家を驚かせました。

姿勢転換の背景

米国の圧力

ロドリゲス氏が姿勢を軟化させた最大の理由は、米国からの強い圧力とみられています。

トランプ大統領は当初、ロドリゲス氏を「礼儀正しい」と評していましたが、同氏が国営テレビでマドゥロ支持を表明した後、アトランティック誌のインタビューで「正しいことをしなければ、マドゥロより大きな代償を払うことになる」と脅しをかけました。

経済制裁の継続

米国はベネズエラ産原油に対する制裁を継続しており、これはベネズエラ経済の生命線を握っていることを意味します。制裁解除なしには経済再建は不可能であり、ロドリゲス氏は現実的な選択を迫られました。

軍事力の誇示

米軍がマドゥロを拘束したという事実自体が、ベネズエラ政府に対する強烈なメッセージとなっています。抵抗を続ければ、さらなる軍事行動もありうるという暗黙の脅しです。

デルシー・ロドリゲスとは

マドゥロ政権の重鎮

デルシー・ロドリゲス氏は2018年から副大統領を務め、マドゥロ政権の重鎮として知られてきました。外務大臣、通信情報大臣なども歴任し、政権内で大きな影響力を持っていました。

強硬派としての評判

ロドリゲス氏は米国や野党に対する強硬姿勢で知られていました。米国からは麻薬取引への関与を疑われ、制裁対象にも指定されています。

一族の影響力

兄のホルヘ・ロドリゲス氏は国民議会議長を務めており、ロドリゲス家はベネズエラ政界で大きな影響力を持っています。今回の暫定大統領就任も、兄が宣誓を執り行いました。

複雑な立場

二つの顔

ロドリゲス暫定大統領は、国内向けと対外向けで異なるメッセージを発しています。

国内向け: 「この国の大統領はマドゥロだけだ」「ベネズエラは自由であり続ける」 対外向け: 「米国との協力を優先する」「均衡ある関係を築きたい」

この「二つの顔」は、国内の支持基盤を維持しつつ、米国との関係も改善したいという難しいバランスを反映しています。

マドゥロ支持者への配慮

ロドリゲス氏がマドゥロを完全に見捨てれば、政権内の支持基盤を失うリスクがあります。表向きはマドゥロ支持を維持しながら、実質的には米国との協力を模索するという綱渡りを強いられています。

トランプ政権の反応

「完全な協力」を得たと主張

トランプ政権のスティーブン・ミラー上級顧問は、カラカスの新政権から「完全かつ全面的な協力」を得ていると述べました。

ルビオ国務長官もロドリゲス氏と連絡を取り合っていることを認め、「彼女は必要なことを実質的に行う意思がある」と評価しました。

引き続き圧力

一方で、トランプ政権はベネズエラへの圧力を緩める気配はありません。経済制裁は継続され、ロドリゲス氏が「正しい行動」を取らなければ厳しい措置を取ると警告しています。

ベネズエラの今後

政権移行の行方

ベネズエラの政権移行がどのように進むかは不透明です。ロドリゲス氏が米国の意向に沿って民主化を進めるのか、それとも別の展開を見せるのか、注視が必要です。

野党の立場

マドゥロ政権に対抗してきた野党は、現時点では傍観者の立場に置かれています。2024年の大統領選で勝利を主張したエドムンド・ゴンザレス氏の処遇も、今後の焦点の一つです。

選挙の可能性

最高裁がマドゥロの不在を「一時的」と判断したことで、近い将来の選挙は回避されました。しかし、米国が民主的な選挙の実施を求める可能性は高く、いずれ選挙をめぐる議論が浮上するでしょう。

国際社会の反応

慎重な見方

国際社会は、ロドリゲス氏の協力表明を慎重に見ています。彼女がマドゥロ政権の重鎮だった以上、本当の意味での民主化や人権改善につながるかは疑問視されています。

中国・ロシアの対応

ベネズエラと密接な関係を持つ中国とロシアは、今後の展開を注視しています。ロドリゲス政権が米国寄りに傾けば、両国との関係にも影響が出る可能性があります。

まとめ

ベネズエラのロドリゲス暫定大統領が米国との協力姿勢を表明したことは、マドゥロ拘束後の同国の政治状況に大きな変化をもたらす可能性があります。

強硬派として知られた彼女の姿勢転換の背景には、米国の圧力と経済制裁という現実があります。国内向けにはマドゥロ支持を維持しつつ、対外的には協力姿勢を示すという難しいバランスの中で、ベネズエラの政権移行がどう進むか、世界の注目が集まっています。

参考資料:

関連記事

最新ニュース