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by nicoxz

円相場「5年周期説」とは?2026年円高転換の可能性を検証

by nicoxz
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はじめに

2026年1月、円相場は一時1ドル=159円台まで下落し、約1年半ぶりの円安水準を記録しました。衆院解散・総選挙を背景に円売りが加速する中、市場参加者からはため息が漏れています。

しかし、為替市場には「周期説」と呼ばれる経験則が存在します。過去のデータを分析すると、円相場には一定の周期でトレンドが転換するパターンが見られ、2026年は円高への転換点になる可能性があるという見方も浮上しています。

本記事では、為替の周期説の根拠と2026年の円高シナリオ、そして原発再稼働がエネルギー収支を通じて円相場に与える影響について解説します。

為替市場の「周期説」とは何か

8年周期説の存在

ドル円相場には「8年周期」が存在することが広く知られています。この周期に基づくと、約8年ごとにドル高・円安がピークをつける傾向があります。

過去の事例を振り返ると、1982年10月に278円台の高値をつけた後、1990年4月には160円台まで円高が進行しました。その後1998年8月に147円台をつけ、2011年には史上最安値となる75円台まで円高が進みました。

この8年周期は景気サイクルと連動しているという見方が主流であり、主要通貨のサイクルの中では最も信頼性が高いとも言われています。

16.5年周期という長期サイクル

さらに長期的な視点では「16.5年周期」も指摘されています。1949年4月の1ドル=360円を起点に、1978年10月に177円、1995年4月に79円75銭、2011年10月に75円53銭と、約16.5年ごとにドル最安値・円最高値をつけてきました。

年初のトレンド転換の経験則

特に注目すべきは「年初にトレンドが転換しやすい」という経験則です。毎年、年始には円相場の方向性が大きく変わることが多く、2026年も円高への反転が期待される根拠の一つとなっています。

2026年円高シナリオの根拠

日米金利差の縮小見通し

円高転換の最大の要因として挙げられるのが日米金利差の縮小です。野村證券は2026年末のドル円レートを140円と予想しており、その根拠として日米金利差の縮小を挙げています。

米連邦準備制度理事会(FRB)は2026年に利下げ姿勢を強めるとみられています。特に、2025年5月で任期が切れるパウエル議長の後任には、利下げに前向きな人物が選ばれる可能性が高いとされています。

一方、日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げ、30年ぶりの高水準となりました。2026年以降も経済・物価情勢を見ながら利上げを継続する方針を示しており、日米の金融政策の方向性の違いが円高圧力となる可能性があります。

専門家の予想レンジ

各金融機関のアナリストによる2026年のドル円予想は以下の通りです。

マネックス証券の吉田恒氏は130円〜165円という幅広いレンジを予想しています。三井住友DSアセットマネジメントは年末着地を150円と予想し、大和アセットマネジメントは146円までの円高を見込んでいます。

専門家の間でも見方が分かれていますが、多くのアナリストが年後半にかけての円高方向への調整を予想しているのが特徴です。

円需給の改善

野村證券の分析によると、需給面では貿易赤字幅が着実に縮小し、サービス収支も改善傾向にあります。基礎的収支に基づく円需給を推計すると、2025年にはほぼ均衡し、2026年以降は徐々に円買いに転じる可能性が示唆されています。

原発再稼働とエネルギー収支の関係

エネルギー輸入が円安圧力に

円安の構造的要因の一つとして、エネルギー輸入の増加があります。2011年の東日本大震災以降、国内の原発が停止したことで火力発電への依存が高まり、化石燃料の輸入量が大幅に増加しました。

みずほ証券の分析によると、54基の原発が稼働していた震災以前と比べて、年間数兆円規模のコスト増が発生しており、10年間で約50兆円の国富が流出したと試算されています。

円安とエネルギー輸入の悪循環

化石燃料はドル建てで取引されるため、円安になればなるほど輸入コストが膨らみ、貿易収支がさらに悪化するという悪循環が生じています。日本のエネルギー自給率は約11%と低く、燃料調達を輸入に大きく依存していることが、この悪循環を加速させています。

原発再稼働による収支改善効果

原発再稼働は、エネルギー輸入量の削減を通じて貿易収支・経常収支の改善に寄与し、円安圧力を緩和する効果が期待されます。ウランの燃料費は火力発電の化石燃料費より大幅に安いため、既存の原発を活用しない手はないという意見もあります。

ただし、SMBC日興証券のエコノミストは、貿易赤字の累計額は原発停止による燃料輸入増加分を上回っており、残りは日本経済の構造的問題であると指摘しています。原発再稼働だけで円安問題が解決するわけではありません。

円高転換を阻む要因

日本の財政悪化懸念

円高シナリオには不確実性も存在します。野村證券は、為替市場の関心が日本の財政悪化懸念に向かう場合、日米金利差が縮小しても円高へ一本調子に戻すのは難しいかもしれないと警告しています。

高市政権発足後、「責任ある積極財政」を主張する中で財政規律の低下を懸念した資本流出が起き、「長期金利上昇=円安」という流れが続いています。

政府と日銀の関係

高市政権は利上げによる経済への悪影響を懸念しており、日銀の追加利上げに対して慎重な姿勢を示しています。日銀の政策委員の多くが追加利上げに前向きな姿勢を見せる中、政府と日銀の軋轢が続く可能性があります。

波乱含みの展開

マネックス証券は、日本からの資本流出に伴う円安がさらに続くのか、それとも米国株のバブル破裂などにより米ドル安・円高に急転換するのか、どちらの場合もかなり波乱含みの展開になる可能性があると分析しています。

まとめ

円相場の「周期説」に基づけば、2026年は円高への転換点となる可能性があります。日米金利差の縮小、円需給の改善、原発再稼働によるエネルギー収支の改善など、複数の円高要因が重なりつつあります。

一方で、日本の財政悪化懸念や政府・日銀間の政策を巡る軋轢など、円高転換を阻む要因も存在します。専門家の予想も138円〜167円と大きく分かれており、2026年の為替市場は引き続き不透明な展開となりそうです。

投資家や企業にとっては、円高・円安両方のシナリオを想定したリスク管理が重要になるでしょう。

参考資料:

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