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by nicoxz

ドン・キホーテが税別1万円ママチャリ発売、機能削減PBの狙い

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はじめに

ディスカウント店のドン・キホーテ(東京・目黒)が、機能や装備を最低限にしたプライベートブランド(PB)の自転車を開発し、3月中旬に発売することを発表しました。荷台や鍵をなくすことで、税別1万円という価格を実現しています。

「荷台なんて使わないでしょ?」「カギはすでに持ってるでしょ?」「好きなライト付けたいでしょ?」——。こうした発想で従来の「当たり前」を見直し、本当に必要な機能だけを残すことで低価格を追求しました。物価高で消費者の財布のひもが固くなる中、ドン・キホーテのPB戦略を詳しく解説します。

1万円自転車の特徴

徹底した機能の絞り込み

今回発売される自転車は、従来のママチャリに標準装備されていた荷台、鍵、ライトなどを省略しています。これらは「必要な人が後から付ける」という発想で、製品価格から切り離しました。

ドン・キホーテの商品開発は、消費者の実際の使用実態を調査し、「使わない機能にお金を払っている」状況を解消することを狙いとしています。通勤・通学の短距離移動だけに使うユーザーにとって、荷台は確かに不要かもしれません。鍵も、既に別の鍵を持っている人や、自分好みのものを使いたい人にとっては余計な装備といえます。

税別1万円という価格設定

現在、日本で販売されるママチャリ(シティサイクル)の相場は2〜3万円程度です。有名メーカー製になると4万円以上することも珍しくありません。かつては1万円以下の自転車も多く販売されていましたが、原材料費の高騰などを受けて価格帯は上昇傾向にあります。

こうした中、税別1万円という価格設定は、市場において非常に競争力のある水準といえます。税込でも約1万1000円と、一般的なママチャリの半額以下で購入できることになります。

自転車価格高騰の背景

原材料費と輸送コストの上昇

自転車の価格が上がり続けている背景には、複合的な要因があります。鉄やアルミ、ゴムなどの原材料価格が全体的に高騰しており、製造原価が大幅に上昇しています。原油価格の上昇はゴムやプラスチックの価格にも影響し、ほとんどが海外生産となっている自転車は輸送費でも影響を受けています。

福岡市内の自転車専門店の事例では、最も手頃な26インチのママチャリが5年前は1万5800円だったものが、現在は2万5800円と、約1万円も値上がりしたといいます。特にこの数年の上昇幅が大きくなっています。

円安と輸入依存

国内で販売されている自転車の約89%は輸入品であり、そのほとんどが中国で生産されています。円安が進むと輸入コストが増加し、価格に転嫁せざるを得ない状況です。

2025年の為替相場は金利や経済成長率次第で変動が続く見込みで、メーカーによる安定的な価格設定が難しい状況が続いています。米中間の関税政策の影響も無視できず、自転車価格の先行きは不透明感が強まっています。

ドン・キホーテのPB戦略「情熱価格」

「プライベートブランド」から「ピープルブランド」へ

ドン・キホーテのPB「情熱価格」は2009年に誕生しました。リーマン・ショック後の景気後退で消費者の節約志向が強まる中、「安さ」という価値を追求してスタートしたブランドです。

2021年には大きな方向転換を行い、自社だけで開発する「プライベートブランド」から、顧客と一緒に商品をつくる「ピープルブランド」へとリニューアルしました。現在は約4000点もの商品が販売されています。

3層構造による商品展開

「情熱価格」は現在、以下の3層構造で展開されています。

  • 情熱価格(60%):低価格訴求型
  • 情熱価格+PLUS(35%):付加価値訴求型
  • 情熱価格PREMIUM(5%):オンリーワン訴求型

今回の1万円自転車は、最もベーシックな「情熱価格」ラインに位置づけられ、機能を絞り込んで価格を追求した商品といえます。

消費者の「ダメ出し」を活用

ドン・キホーテの特徴的な取り組みとして、2021年2月から商品に対する批評や要望を「お客様からのダメ出し」として募集しています。「パッケージがダサい」「色がイマイチ」「もっと安く」など、集まった約2万8000件のダメ出しをもとに様々な商品が改良されてきました。

商品の特徴やこだわりをそのまま商品名にすることで広告宣伝費をカットするなど、企業努力によって「情熱価格」の売り上げはリニューアル後の1年で約20%もアップしています。

既存の自転車ラインナップ

「ラクノリ」の特徴

ドン・キホーテでは既に、PB自転車「ラクノリ」を税込25,287円で販売しています。この自転車は、フレームの長さを短くすることで身長135cm〜180cmまで対応できるよう設計されており、「買い替えいらずで長く乗れて経済的」という点をアピールしています。

外装6段変速、26インチタイヤで、カラーはブラウン、グレー、グリーンの3色展開。いろんな世代、いろんな身長に対応することで、家族で共用できるというメリットがあります。

1万円以下の折りたたみ自転車も

ドン・キホーテでは1万円以下の自転車も販売されており、主に折りたたみ式のコンパクトな車種がラインナップされています。口コミによると、安くても品質に問題はなく、作りは頑丈で安全に走行できると評判です。

注意点・今後の展望

機能削減型商品の注意点

1万円自転車を購入する際は、省略されている装備を別途購入する必要があることを理解しておく必要があります。鍵やライトは道路交通法上必要な装備であり、夜間走行にはライトの装着が義務付けられています。

これらを別途購入すると、最終的な支出は1万円を超えることになります。ただし、自分の好みに合わせてパーツを選べるというメリットもあり、カスタマイズ志向の強い消費者には魅力的な選択肢といえます。

物価高時代のPB戦略

ドン・キホーテの今回の取り組みは、物価高が続く中で消費者に「選択の自由」を提供するものといえます。すべての機能が揃った高価な製品か、必要最低限の安価な製品か、消費者自身が判断できるようになります。

「驚安の殿堂」を標榜するドン・キホーテは、大容量系の食品PBも好調で、特に30〜40代の子持ち世代から支持を集めています。機能を絞り込んだ低価格商品は、自転車以外のカテゴリーでも展開される可能性があります。

自転車市場全体への影響

1万円という価格設定は、競合他社にも影響を与える可能性があります。ホームセンターやネット通販でも低価格帯の自転車が販売されていますが、ドン・キホーテの参入によって価格競争が激化するかもしれません。

一方で、自転車価格の高騰は今後も続く見通しであり、「今日買った自転車が来月セールになる可能性はあっても、一年後に今より安い可能性はほとんどない」という指摘もあります。

まとめ

ドン・キホーテの税別1万円自転車は、「本当に必要な機能とは何か」を問い直す商品といえます。荷台や鍵を省略することで実現した低価格は、物価高に悩む消費者にとって魅力的な選択肢となりそうです。

自転車価格が高騰を続ける中、機能を絞り込んだPB商品という発想は、他のカテゴリーにも応用可能です。「情熱価格」ブランドが消費者との共創によって進化を続ける中、今回の1万円自転車がどのような反響を呼ぶか注目されます。

参考資料:

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