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by nicoxz

工作機械受注1兆7000億円予想、半導体と車が鍵

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はじめに

日本工作機械工業会(日工会)は2026年の工作機械受注額が1兆7000億円に達するとの見通しを発表しました。2025年の実績(1兆6039億円)から約1000億円、6%の上積みです。

工作機械の受注額は設備投資や製造業の景況感を先取りする「先行指標」として知られています。世界的な貿易摩擦や地政学リスクが高まるなかで、業界はどこに「勝算」を見出しているのでしょうか。本記事では、2026年の設備投資をけん引する3つの柱と、工作機械業界の見通しを解説します。

2025年実績が示す回復基調

3年ぶりのプラスに転換

2025年の工作機械受注額は前年比8%増の1兆6039億円となり、3年ぶりにプラスに転じました。2022年のピーク後、2023〜2024年は調整局面が続いていましたが、ようやく底打ちから回復基調に入った形です。

けん引役は海外向けでした。海外受注は前年比12%増の1兆1634億円に達し、北米の航空機産業や自動車向けが堅調に推移しています。一方、国内向けは前年比0.3%減の4404億円にとどまり、自動車関連企業の投資が伸び悩みました。

12月の受注額は高水準

2025年12月単月の受注額は1582億4000万円(前年同月比10.6%増)で、2022年3月以来の高水準を記録しました。海外需要が前年同月比15.1%増と力強く伸びており、回復の勢いは年末にかけて加速しています。

2026年をけん引する3つの柱

半導体製造装置向け

半導体産業の設備投資は2026年の工作機械受注を支える最大の柱です。AIやデータセンター向けの半導体需要が世界的に拡大しており、製造装置メーカーの設備投資は引き続き旺盛です。

中国では半導体やデータセンター関連の投資が工作機械の需要をけん引しています。また、日本国内ではRapidusが北海道千歳市で先端半導体工場の建設を進めており、2026年から関連ツールのリリースを開始する計画です。こうした半導体関連の設備投資は、工作機械の精密加工需要を押し上げます。

自動車関連の設備更新

自動車産業は工作機械の最大のユーザーです。EV(電気自動車)シフトに伴う生産ライン変更や、次世代パワートレインに対応するための設備更新需要が見込まれています。

オークマの家城社長は以前から「2025〜2026年に半導体製造、自動車、航空機などの需要が盛り上がり、次の受注のピークが来る」と予測してきました。2025年は国内の自動車向けが伸び悩みましたが、2026年は設備更新サイクルの本格化が期待されています。

自動化・省人化投資

日本は人口の28%以上が65歳以上という超高齢社会であり、今後10年で労働人口が550万人純減すると予測されています。製造業の現場では深刻な人手不足に直面しており、自動化・省人化への投資は構造的な成長ドライバーです。

工作機械にロボットやIoTセンサーを組み合わせた「スマートファクトリー」化の流れが加速しており、単純な機械の置き換えではなく、工場全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する投資が増えています。

主要メーカーの動向

DMG森精機

DMG森精機の2025年1〜9月の連結受注額は3819億円で、前年同期とほぼ横ばいでした。ただし第3四半期(7〜9月)は前年比16%増と回復が鮮明です。1台あたりの平均受注単価は7900万円と前年比11%上昇しており、高付加価値機への需要シフトがうかがえます。

受注残は9月末時点で2540億円に積み上がっています。UBSは2025年度が業績の底となり、2026年度から拡大フェーズに入ると予想していますが、納期問題などの課題も指摘しています。

オークマ

オークマは半導体・自動車・航空機の3分野を2026年の成長ドライバーと位置づけています。同社の強みである高精度旋盤やマシニングセンタは、半導体製造装置の部品加工で高い需要があります。

注意点・展望

リスク要因

2026年の見通しにはいくつかのリスク要因があります。まず、米中貿易摩擦の激化です。トランプ政権の関税政策次第では、中国向け輸出に影響が出る可能性があります。

次に、為替変動です。円安は海外受注の円建て金額を押し上げますが、急激な為替変動は事業計画を不安定にします。また、半導体サイクルの変調が起きれば、製造装置向け需要が急速に冷え込むリスクもあります。

JIMTOF 2026に注目

2026年10月26〜31日には東京ビッグサイトで「JIMTOF 2026」(第33回日本国際工作機械見本市)が開催されます。工作機械業界の最新技術や市場動向を確認できる重要なイベントであり、2026年後半の受注トレンドを占う材料にもなるでしょう。

まとめ

日工会が予想する2026年の受注額1兆7000億円は、半導体製造装置、自動車の設備更新、自動化・省人化という3つの柱に支えられています。2025年の3年ぶりプラス転換を足がかりに、業界は回復軌道の継続を見込んでいます。

ただし、貿易摩擦や半導体サイクルの変調といったリスク要因も存在します。工作機械受注の動向は日本の製造業全体の先行指標となるため、今後の月次データにも注目する価値があります。

参考資料:

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