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by nicoxz

首都圏の単身向けマンション家賃が軒並み最高値を更新

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はじめに

首都圏の単身向け賃貸マンションの家賃が、過去最高水準を更新し続けています。不動産情報サービスのアットホームが発表した2025年12月のデータによると、専有面積30平方メートル以下の賃貸マンション平均募集家賃は、首都圏(1都3県)の全エリアで2015年1月の集計開始以来の最高値を記録しました。

東京23区では19カ月連続で最高値を更新しており、上昇に歯止めがかかる気配はありません。この記事では、家賃高騰の実態とその背景、そして今後の見通しについて詳しく解説します。

首都圏全エリアで最高値を記録した家賃の実態

東京23区は月額10万円超が定着

2025年12月時点で、東京23区のシングル向き(30平方メートル以下)賃貸マンションの平均募集家賃は10万6,854円です。前月比で1.5%上昇し、19カ月連続で過去最高値を更新しています。

東京23区のマンション家賃は、シングル向きだけでなく全面積帯で6カ月連続の最高値を記録しています。大型ファミリー向き(70平方メートル超)の平均家賃は40万円を超えており、家賃水準の上昇が幅広い物件タイプに波及していることがわかります。

東京都下・神奈川・埼玉・千葉も軒並み上昇

家賃の上昇は東京23区にとどまりません。東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県の全エリアで最高値を更新しました。都心の家賃上昇を受けて、周辺エリアへの需要が流入していることが背景にあります。

賃貸マンションだけでなく、アパートについてもカップル向き・ファミリー向きが全13エリアで前年同月を上回っており、賃貸市場全体が上昇基調にあります。

春の需要が前倒しで発生

2025年12月の家賃上昇には、季節的な要因も加わっています。通常、賃貸市場は1月から3月にかけて繁忙期を迎えますが、近年は物件の早期確保を目指す入居希望者が増加しており、需要の前倒しが12月の相場を押し上げました。

家賃が上がり続ける5つの背景

分譲マンション価格の高騰が賃貸需要を押し上げ

東京23区の新築マンション平均価格は1億1,632万円に達し、2年連続で1億円を超えています。マンション購入のハードルが急激に上がったことで、購入を諦めて賃貸にとどまる世帯が増加しています。分譲市場の高騰が賃貸市場の需要増加に直結している構図です。

都心回帰と人口流入の継続

コロナ禍で一時的に広がったリモートワークから、出社勤務への回帰が進んでいます。通勤利便性の高い都心物件へのニーズが再び高まり、家賃の上昇圧力となっています。

シングル向きマンションの家賃の上昇・下落は、東京都の転入超過数の推移とほぼ一致しているとの分析があります。東京への人口集中は収まる気配がなく、外国人の流入も含め、需要面からの上昇圧力は続く見通しです。

供給不足が深刻化

賃貸市場の供給側にも問題があります。用地取得費と建築費の高騰により、新築分譲マンションの供給量が減少しています。また、家賃の上昇を嫌って現在の物件に住み続ける入居者が増え、既存物件の退去率が低下しています。分譲・賃貸ともに供給量が絞られる状況が、家賃の下がりにくい市場環境を作り出しています。

建築コストの上昇

建設資材価格は全体平均で約37%上昇し、全建設コストでは約25%から29%の上昇となっています。これらのコスト増は最終的に家賃に転嫁されます。円安による輸入資材の値上がりや、建設業の人手不足に伴う人件費の上昇も、コスト増の要因です。

世帯収入の増加が家賃負担力を底上げ

共働き世帯の増加に加え、近年の賃金上昇傾向が世帯あたりの家賃負担力を高めています。より高い賃料帯の物件を選択できる世帯が増えたことが、家賃相場全体を押し上げる要因となっています。

賃貸市場の構造変化

アパートへの需要シフト

マンション家賃の高騰を受け、消費者の物件選びにも変化が現れています。2025年には、賃貸物件の反響(問い合わせ数)でアパートがマンションを逆転しました。より手頃な家賃の物件を求めて、築年数の古い物件やアパートに注目する動きが広がっています。

オーナーによる値上げの波

大手不動産管理会社では、管理する約130万戸の賃貸住宅のうち約50万戸に値上げの通知を実施し、すでに約8割の入居者が応じています。市場全体の上昇トレンドを背景に、個別物件レベルでも家賃改定が進んでいます。

外国人の存在感

千代田区、港区、渋谷区では、マンションの外国人による取得割合が20%から40%に達しているとの調査結果があります。外国人投資家や入居者の増加も、特に都心部の家賃水準を押し上げる一因です。

注意点・展望

2026年も上昇は続くのか

不動産価格や物価の上昇が続く限り、家賃の上昇トレンドも継続すると見られています。ただし、いくつかの不確実性も存在します。

米国の関税政策による企業業績への影響が、国内の賃上げを抑制する可能性があります。消費者の実質可処分所得が目減りすれば、家賃水準の上昇余地は限定的になるかもしれません。

消費者ができる対策

家賃負担を抑えるためには、物件探しの時期をずらす(繁忙期を避ける)、築年数にこだわりすぎない、駅からの距離を柔軟に考える、といった工夫が有効です。また、家賃補助や住宅手当のある企業を選ぶことも、長期的な家計の安定につながります。

まとめ

首都圏の単身向けマンション家賃は、分譲マンション価格の高騰、都心回帰、供給不足、建築コストの上昇、世帯収入の増加といった複合的な要因により、過去最高水準を更新し続けています。この傾向は2026年も続く可能性が高く、賃貸市場の構造的な変化として捉える必要があります。

物件探しを控えている方は、早めの情報収集と柔軟な条件設定を心がけることをおすすめします。家賃相場の動向を定期的にチェックし、自身の家計に合った住まい選びを進めてください。

参考資料:

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