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by nicoxz

外国人ドライバー採用に立ちはだかる3つの壁とは

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はじめに

日本の運送業界は深刻な人手不足に直面しています。2024年4月から始まったトラックドライバーの時間外労働規制、いわゆる「2024年問題」により、労働力不足は一層深刻化しています。

この状況を打開する切り札として期待されているのが、外国人ドライバーの採用です。2024年3月に特定技能制度に「自動車運送業」が追加され、制度的には外国人がトラック、タクシー、バスのドライバーとして働くことが可能になりました。

しかし、実際に外国人ドライバーを採用しようとする中小運送会社は、3つの大きな壁に直面しています。この記事では、外国免許切り替えの厳格化、採用コストの上昇、制度の不透明感という3つの課題について詳しく解説します。

運送業界の人手不足の実態

2024年問題の影響

2024年問題とは、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年960時間に制限されることにより発生する問題の総称です。国の検討会では、何も対策を講じなかった場合、営業用トラックの輸送能力が2024年には14.2%、2030年には34.1%不足する可能性があると試算しています。

高い有効求人倍率

国土交通省の資料によると、貨物自動車運転手の有効求人倍率は2024年9月時点で2.12倍です。全職業平均の1.20倍と比較すると約2倍の水準であり、求人を出しても応募者が集まりにくい状況が続いています。

高齢化の進行

トラック運送事業では50歳以上のドライバーが半数を占めており、今後も退職や離職が続く可能性が高いとされています。若年層の採用が難しい現状を踏まえると、将来的な人材不足は避けられません。

第1の壁:外国免許切り替えの厳格化

2025年10月の制度改正

外国人ドライバー採用における最大の障壁となっているのが、外国免許切り替え(外免切替)制度の厳格化です。2025年10月1日から施行されたこの改正は、外国人ドライバーの採用計画に大きな影響を与えています。

改正のきっかけ

制度改正のきっかけは、2025年5月に埼玉県三郷市で発生したひき逃げ事件です。小学生が外国人ドライバーにはねられるという重大な事故で、加害者は外免切替で免許を取得した外国人でした。日本の交通ルールをどの程度理解していたのかが疑問視され、制度の見直しが進みました。

具体的な変更点

1. 学科試験の難化

従来は10問構成(イラスト+2択式)だった学科試験が、50問構成の文章問題形式へと大幅に改訂されました。合格基準は90%以上と厳格化されています。

2. 技能試験の採点厳格化

実技試験においても採点基準が厳しくなり、日本特有の運転マナーや安全確認がより重視されるようになりました。

3. 住民票の提出必須化

申請時に住民票の提出が必須となり、観光などの短期滞在の在留資格で在留する外国人は免許を取得できなくなりました。

企業への影響

これまでであれば、来日直後に外免切替を済ませてすぐに業務運転へ移行できたケースも多く見られました。しかし今後は、筆記・技能試験の難化により、切り替えまでに一定の準備期間や再試験期間が発生する可能性があります。

第2の壁:採用コストの上昇

紹介会社への費用

外国人ドライバーを紹介会社経由で採用する場合、成功報酬型の紹介手数料は30万円〜60万円程度が相場です。日本人の紹介手数料に比べると安価ですが、追加のコストが多く発生します。

運転免許取得費用

外国人が日本の教習所で免許を取得する場合、合宿免許で20万円〜30万円程度かかります。追加で補習を受けたり、学科試験や卒業検定を再受験する場合は、さらに費用がかさみます。

日本語教育・研修費用

タクシー運転手とバス運転手については、日本語能力試験N3以上の高い日本語能力が求められます。乗客とのコミュニケーションが業務の重要な部分を占めるためです。

継続的な日本語教育は企業負担となりますが、中小企業の場合はIT導入補助金を活用してオンライン日本語学習システムを導入できる可能性があります。導入費用の最大50%、150万円までの補助を受けられます。

準備期間中の負担

特定技能で就労するまでの準備期間(特定活動)は、トラックが最長6か月、バス・タクシーが最長1年です。この間、外国人は就労ができないため、企業は人材確保の見通しが立ちにくい状況に置かれます。

第3の壁:制度の不透明感

受入れ企業の要件

特定技能の自動車運送業で外国人ドライバーを受け入れるには、企業側も複数の要件を満たす必要があります。

1. 運転者職場環境良好度認証制度の認証取得

「働きやすい職場認証制度」とも呼ばれるこの制度の認証を受けていることが条件です。

2. 新任運転者研修の実施体制

バス・タクシードライバーの場合、企業が実施する新任運転者研修(座学研修:法令、接遇、地理、安全に関する研修)の受講と修了が義務付けられています。

3. 特定技能協議会への加入

国土交通省が設置する「特定技能協議会」の構成員となることも必要です。

制度変更への不安

2025年10月の外免切替厳格化は、多くの企業にとって突然の変更でした。今後も制度が変わる可能性があり、中長期的な採用計画を立てにくいという声が上がっています。

受入れ上限との乖離

自動車運送業における特定技能外国人の受入れ上限は、2029年までに最大2万4,500人とされています。しかし、運送業の人手不足は2029年までに28万8,000人と想定されており、外国人採用だけでは人手不足の解消には程遠いのが現実です。

企業の対応策

事前準備の徹底

外免切替の試験に備え、交通ルールの学習支援を入国前から行う企業も増えています。やさしい日本語や視覚的な補助資料を活用することで、業務内容の理解度を向上させることができます。

日本での免許取得サポート

外免切替が難しい場合、日本の教習所で一から免許を取得するルートも選択肢となります。費用はかかりますが、確実に日本の交通ルールを習得できるメリットがあります。

複合的な人材確保策

外国人採用だけに頼らず、DX化による業務効率化や女性ドライバーの活用など、複合的な対策を講じることが重要です。配送ルート最適化システムの導入、デジタコ・ドラレコの活用、受発注のデジタル化なども有効な手段です。

今後の展望

制度の安定化に期待

2025年10月の厳格化から間もない現在、制度の運用状況を注視する必要があります。実際の合格率や企業の対応状況を見ながら、制度の微調整が行われる可能性もあります。

支援体制の充実

外国人ドライバーの採用を成功させるには、企業単独の取り組みだけでなく、業界団体や行政による支援体制の充実も求められます。全日本トラック協会なども情報提供を行っており、こうしたリソースの活用が重要です。

まとめ

外国人ドライバーの採用は、運送業界の人手不足解消に向けた重要な選択肢ですが、外免切替の厳格化、採用コストの上昇、制度の不透明感という3つの壁が立ちはだかっています。

特に中小運送会社にとっては、これらの課題への対応が大きな負担となっています。しかし、適切な準備とサポート体制があれば、特定技能外国人ドライバーの採用は十分に実現可能です。人手不足という構造的な問題に対し、外国人採用を含めた複合的な対策を講じることが、持続可能な運送体制の構築につながります。

参考資料:

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