品川駅大改造の全貌:リニアからメトロまで交通結節点へ
はじめに
東京の南の玄関口・品川駅が、かつてない規模の大改造を迎えています。リニア中央新幹線の始発駅としての整備に加え、東京メトロ南北線の延伸による新駅建設、京浜急行電鉄の線路移設、さらには京急とトヨタ自動車による大型複合ビルの建設など、複数の大型プロジェクトが同時に進行しています。
これらの工事は2040年ごろまでに段階的に完了する予定で、完成すれば品川駅は新幹線・リニア・地下鉄・私鉄・在来線が集結する日本有数の交通結節点へと生まれ変わります。本記事では、品川駅周辺で進む大改造の全体像を、各プロジェクトごとに整理して解説します。
リニア中央新幹線の品川始発駅
地下40メートルに建設される巨大駅
リニア中央新幹線の品川駅は、東海道新幹線の品川駅直下、地下約40メートルの大深度地下に建設されています。JR東海が進めるこの工事は、品川駅の東口(港南口)側で行われており、非開削工法を用いた難工事です。
品川―名古屋間の開業は当初2027年を予定していましたが、静岡県内のトンネル工事の遅延により、現在は2034年以降に延期されています。しかし、品川駅側の工事は着実に進んでおり、完成すれば東京と名古屋を約40分、大阪を約67分で結ぶ高速交通の起点となります。
交通ネットワークへの影響
リニア開業後は、品川駅を起点に名古屋・大阪へのアクセスが飛躍的に向上します。羽田空港にも近い立地を活かし、国内外の移動拠点としての役割が一段と強まることが期待されています。
東京メトロ南北線の延伸
白金高輪から品川へ約2.5キロ
東京メトロ南北線の品川延伸は、白金高輪駅から品川駅までの約2.5キロメートルを新たに建設するプロジェクトです。品川駅の地下に新駅が設けられ、六本木や永田町など都心部と品川を直結します。
開業は2030年代半ばを予定しています。現在、白金高輪駅は南北線と都営三田線の終点となっていますが、延伸が実現すれば品川駅から都心各方面へのアクセスが大幅に改善されます。
ビジネス拠点としての価値向上
南北線が品川駅に乗り入れることで、品川エリアのオフィス需要はさらに高まる見通しです。六本木・赤坂・溜池山王といったビジネス街との直結は、品川を拠点とする企業にとって大きなメリットとなります。
京急品川駅の地平化と駅前再編
2階から1階へ線路を移設
品川駅の大改造で最も大掛かりな工事のひとつが、京浜急行電鉄の線路移設です。現在、京急品川駅のホームは2階の高架上にありますが、これを1階(地平)に移す連続立体交差事業が進められています。
対象区間は泉岳寺駅から新馬場駅までの約1.7キロメートルで、3カ所の踏切を除去します。新設ホームの完成は2029年を予定しています。
東西を結ぶ2階デッキ
京急の線路が地平化されることで、品川駅の高輪口(西口)側と港南口(東口)側を結ぶ歩行者動線が大幅に改善されます。駅と駅前の再開発ビルを2階レベルのデッキで接続する計画も進んでおり、雨の日でも傘を差さずにアクセスできる歩行者ネットワークが構築されます。
これまで鉄道によって分断されていた東西の地域が一体化し、駅前広場の整備と合わせて、品川駅周辺の回遊性が飛躍的に向上します。
京急×トヨタの新複合ビル
シナガワグース跡地に29階建て
品川駅西口(高輪口)の正面に位置するシナガワグース跡地では、京浜急行電鉄とトヨタ自動車による大規模複合施設の建設が進んでいます。地上29階・地下4階、高さ約152メートル、延べ床面積約31万平方メートルの超高層ビルで、2025年5月に着工し、2029年1月末の竣工を予定しています。
設計・施工は大成建設が担当し、外観デザインは米国の建築設計事務所KPF(ニューヨーク本社)が手がけています。
トヨタの新東京本社が入居
注目すべきは、トヨタ自動車がこのビルのオフィスフロアの一部を取得し、新たな東京本社として2029年度に開業する点です。品川駅は愛知県豊田市の本社や名古屋市のオフィスへのアクセスに優れ、将来的なリニア中央新幹線の発着も見据えた戦略的な立地選択です。
フロア構成は、地下2階〜地下1階に多目的ホール、地下1階〜4階に商業施設、5〜6階にカンファレンス、7〜22階にオフィス、23〜29階にホテルが配置されます。MICE機能を備えた多目的ホールやバスターミナルも整備され、ビジネスと観光の両面で品川の拠点性を高めます。
注意点・今後の展望
工事の長期化リスク
品川駅周辺の大改造は2040年ごろまでの長期プロジェクトです。リニア中央新幹線の開業延期が示すように、工事の遅延リスクは常に存在します。周辺住民や通勤利用者にとっては、長期にわたる工事の影響も無視できません。
周辺ではさらに、西武不動産による地上31階のツインビル(2032年度竣工予定)や、高輪三丁目品川駅前地区の地上30階の超高層ビル(2028年度竣工予定)なども計画されており、品川エリア全体の開発規模は極めて大きなものとなっています。
日本の交通の未来を左右する結節点
すべての計画が実現すれば、品川駅はリニア中央新幹線・東海道新幹線・JR在来線・東京メトロ南北線・京急線・都営地下鉄が集まる巨大ターミナルとなります。羽田空港とも直結する立地を考えれば、東京の都市構造そのものに影響を与える可能性があります。
まとめ
品川駅周辺では、リニア中央新幹線の始発駅建設、東京メトロ南北線の延伸、京急の地平化、京急×トヨタの新複合ビル建設など、複数の大型プロジェクトが同時進行しています。2029年の京急×トヨタビル竣工を皮切りに、2030年代半ばの南北線開業、そして2040年ごろの全体完成へと段階的に姿を変えていく品川駅。日本の交通結節点としての存在感は、今後ますます大きくなっていくでしょう。
参考資料:
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